10.「それ、僕ですって言ったらなんて言いますか?」
そうだ、彼女に告白しよう。と本堂は今決めた。
「本堂・・・」
「七海さん」
「何でここに来るんだよ!」
銃弾のような、ようじゃないような彼女の冷たい言い方・・・。
「景斗君に聞いて。あの・・・それって」
「もういい、もういいんだ。どうなったっていい。もうなんもないもん」
「七海さん」
本堂は顔を伏せた。
「聞いたんでしょ、昔ジャケットくれた男の子がいたんだ。泣いてたときくれたの」
「あ・・」
「H.Hってイニシャルで平次のこと気になっただけだし」
「あっあの」
「何だよ」
「それ、僕ですって言ったらなんて言いますか?」
「は?」
───え?ええええええ!?
「僕もショートヘアの子にジャケットを昔あげて・・・」
「え?・・・大阪弁だよ」
「僕は昔大阪にいたから大阪弁が癖になってて・・・」
嘘。じゃあもしかして・・・ん?でも。
「H.Hはどういう証明をすんのよ」
「僕の姉、何て名前か知ってます?」
「知らん」
「本堂瑛海」
何も言葉が出ない七海。
「お下がり?」
「はい」
「信じていい?」
「はい」
七海は笑った。本堂は隣に座った。
「私ね」
「ん?」
立った七海。そして本堂を思いっきり抱きしめて、
「ありがとう」
そう一言言った。小さい背の七海がやっとできる事だった。
平次は病院の廊下を歩いていた。目に入ったのはうずくまって泣いている少女。
「姉ちゃん?」
「は、服部君!」
哀はかなり驚いていたっぽい。瞳には涙が溢れている。いやこっちが驚くから。
「姉ちゃん」
「バカみたい。どうせこうなるって分かっていたのよ。でもでも・・・」
泣き崩れる。平次は分からない。
「何があったん?」
「私・・・江戸川君が好きなの」
「え?」
何ていうことだ。こういう時なんて言葉かけたらいいか、平次はまったく分からなかった。
「でも、私工藤君になった工藤君は好きじゃない。江戸川君の存在がいいの」
「戻って欲しくないんか」
「だけど、蘭さんはお姉ちゃんに似てるから。幸せになって欲しい。分からない」
「解毒剤は?」
哀は俯いて言った。
「告白して渡した」
「返事は」
哀は答えなかった。恋は叶うものあれば叶わないものもある。
「俺、七海を振ったんや」
「え?」
「あいつはライバルやから。好きとかそう言うもんにきっとなれんかったんやな。きっと姉ちゃんもそうや。相棒とか・・・」
哀はまた俯いた。無理して笑ったような気がした。
「でも、私いいの」
「え?」
「工藤君を奪ったのはあたし。返さなきゃいけない」
「偉いな」
「服部君も、工藤君と仲直りしてよ」
平次は少しして返事をした。
病室37号室。『黒羽怪菜様』
「でわ」
「うん」
怪菜はベットで寝ていた。今出て行ったのは白馬探。怪菜の好きな人。
「高校生探偵に何て言ったらいいの?」
私が海外に行くこと?違う。謝る。催眠術かけられてた事?撃った事?いや何か違う。
「はぁ」
「全く何なんだよ」
自分が呼びだした癖に自分で文句を言っている。メールでの返事は「丁度いいわ。今行く」だった。
「待たせたな」
彼は振り向いた。
「工藤」
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