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第4話 女神の凶宴
割れた隙間から、炎が空高く舞い上がり…その中から、1人の少女が現れる。

「ネーナ」

アルテミアは、その女を睨んだ。

「あらあ〜。久々に会った姉に対して、呼び捨てだなんて」

ヒラヒラのメイド姿に、猫耳。

大きな栗色の瞳に、両手についた巨大な鋼鉄の爪。

「てめえ!あたしを呼ぶ為に!あいつらを囮にしたな!」

「てめえ?やっぱり…口のきき方を知らないようね」

ネーナの爪が伸びる。

「あのお…あの人は…」

「黙っていろ!集中できない」

僕は初めて…アルテミアが焦っているのを感じた。

鼓動が、激しくなる。今までの余裕がない。

「だけど…もうあんたは!妹ではないわ!」

ネーナの言葉に、鼻を鳴らして、

「フン!てめえを姉と!思ったことなんてない!」

アルテミアは、大きく深呼吸して、構え直した。

「やはり…家畜とのハーフなんて、生かすべきでは、なかったのよ」

ネーナは一瞬にして、間合いを詰める。

アルテミアは、目の前に現れたネーナに驚き…急いで後方に、ジャンプした。

だけど、ネーナの爪が、胸元を切り裂いた。

「逃がすか!一族の恥が!」

ネーナは、爪をクロスし、

「A Blow Of Goddess!」

女神の一撃を放った。

「モード・チェンジ!上位進化!」

アルテミアのいた所を中心に地面が裂け、その割れ目から、マグマが吹き出した。

そのマグマが龍のような姿になり、空中に逃げたアルテミアを追う。

「しつこい!」

エンジェル・モードになったアルテミアを、何匹もの龍が追いかける。

「相殺するしかない!」

チェンジ・ザ・ハートを槍へと変え、アルテミアは空中を飛び回りながら、女神の一撃の構えに入ろうとした。

しかし、その瞬間、まったく別の方向から、攻撃を受けた。

長い氷柱が、アルテミアの翼に突き刺さった。

「クッ!」

痛みに顔をしかめながら、アルテミアは、氷柱が伸びてきた方を見た。

地上から伸びる…氷の階段。

その天辺に佇む…1人の少女。

「マリー!」

アルテミアは苦々しく、その少女の名を叫んだ。

マリーは微笑みながら、手のひらを差し出し、フゥと軽く息を吹きかけた。

ただ…それだけで、無数の氷柱ができ、アルテミアに向って襲いかかってくる。

「モード・チェンジ」

アルテミアの体が、赤いジャケットを羽織ったラフな姿になる。

槍状態のチェンジ・ザ・ハートが炎を纏い、氷柱を叩き壊す。

「甘〜い」

マリーがにやりと、笑った。

アルテミアの後ろから、マグマのドラゴンが迫る。

「チッ」

何とか避けたが、少し左腕をかすってしまった。

アルテミアの赤いジャケットの肘辺りが、焦げる。

「同じ炎属性に、変わりながら…お前のモード・チェンジは、あたし達には及ばない」

「くそ」

アルテミアは再びエンジェル・モードになり、炎と氷柱をただ…かわしていく。

その間にも、ポイントが減っていく。

「哀れな子。本当は…この空は、お前のものなのに」

マリーの姿が、変わる。

「人間で、いようとし…お父様の娘で、ありながら…天使を、気取るなんて」

「所詮!人間とのハーフなんて」

地上から、ネーナが飛んできた。

「悪魔…」

僕は思わず呟いた。

巨大な蝙蝠の翼に、口元からこぼれる牙…。

その姿は、人間ではなかった。

赤い瞳をぎらつかせ、マリーとネーナは、先程とは比べものにならないくらいのプレッシャーをかけながら、アルテミアと対峙した。

「死になさい」

魔物の姿になった…マリーの魔力が、跳ね上がる。

「てめえ!赤星だったな」

アルテミアの全身は、汗だくになっていた。

ポイントの残高が、反撃する力がないことを示す。

そして、もう逃げることも。

「A Blow Of Goddess」

マリーの突き出した両手から、巨大な津波が発生する。

空なのに。

地上からは、マグマの龍が、絶え間なく襲いかかてくる。

「は、はい」

僕は怯えながらも、返事をした。

「起きろ!目を覚ませ!」

アルテミアはそう叫ぶと、

「Wind Of Thunder!」

ありったけのポイントを消費し、女神の一撃を放った。

「お前の雷撃は、あたしの水には通用しない」

マリーが、冷笑した。

「死ね!」

炎を纏ったネーナが、背後から迫る。

雷撃は…誰にも放たれなかった。


「自爆?」

アルテミアは、自らの目の前で、技を爆発させたのだ。

その光と爆風に…僕は目をやられ、意識を失った。


雷撃に包まれたアルテミアを、津波が飲み込み、炎が襲いかかった。

しかし…技が消えた後、空中にはマリーとネーナしかいない。

「めくらましか」

「逃げた?どこに!?」

もうどこにも、この世界のどこにも、アルテミアの気配はなくなっていた。




「うわあああっー!!」

叫びながら、僕はベットから飛び起きた。

慌てて、周りを確認した。

ここは、いつもの僕の部屋だ。

少し間をあけて、安堵の息を吐く。

全身が汗だくだ。

体に疲労感と、まだ緊張感が…残っている。

左腕が痛んだ。

顔をしかめて、腕を押さえる。

僕は、はっとした。

(炎の龍が…かすったところだ…)

思い出すだけで、僕はまた震え出した。

また寝るのが、怖い。


だけど、

僕はいつの間にか、寝てしまった。

でも、朝を迎えても、僕は…異世界にいくことはなかった。




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