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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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60 地上100メートルの防衛戦終結

 最後の猿が私の目の前で糸に捕われる。
 伸ばした手はギリギリ私に届かない。
 その手にも糸を巻きつけ、完全に動きを封じる。

 周りを見回す。
 そこらじゅうに糸に捕われた猿がいる。
 自由な猿はいない。
 念のため地上の方も見える範囲をざっと見回すけど、猿の援軍は来ない。
 耳を澄ませても、それらしき音は聞こえてこない。

 私はついに、すべての猿を行動不能に陥れた。

 勝った、そう思って気が緩みそうになるけど、まだダメだ。
 行動不能にしただけで、まだ殺しきったわけじゃない。
 眼下にはもはや数えるのも億劫なくらいの、糸に捕われた猿たち。
 その中には一際大きな巨猿の姿もある。

 最後の巨猿はまだ糸を引きちぎろうともがいている。
 実際、巨猿の力は糸の耐えられる限界を超えてる。
 すぐに切れるわけじゃないけど、放っておくとそのうち抜け出してくる。
 だからその度に糸を追加して拘束し直していた。

 猿を迎撃しつつ、巨猿の拘束を続行する。
 予想以上にハードだった。
 巨猿2匹を倒した時点で気を抜かなくてよかった。
 巨猿の拘束に思った以上の力を割かれたせいで、MPもSPももうカツカツだ。

 先に止めを刺さずに、そのまま巨猿を生かしていた理由は、単純に止めを刺してる余裕がなかったからだ。
 猿が迫って来る状況で、巨猿に止めをさせる時間がなかった。
 巨猿がいたのがちょうど猿の進軍ルートだったというのもある。
 巨猿に止めを刺そうとすれば、必然的に猿どもに自分から近づくことになる。
 そんな自殺行為、できるわけがなかった。

 一番恐れていたのは、猿が巨猿の拘束を解くのを手伝わないかということだった。
 巨猿の力に、猿の協力があれば、もしかしたら私の拘束を突破するかもしれないと、かなり不安だった。
 けど、猿はそれをしなかった。
 あれだけ死ぬのすら厭わず効率を優先させる猿が、何故か巨猿を助けるという、この場で取れる最も効果的な戦法を選ばなかった。
 ホッとしたけど、猿の行動原理が謎だ。

 まあ、それを言っちゃうと、この襲撃自体よくわかんないし。
 まさか私を食料と見做してるわけじゃないだろうし、私を襲ってきた理由がよくわからん。
 考えられるのは、やっぱりこの前1匹の猿を返り討ちにしたことだけど、それだけでここまでするかとなると、うーん。
 うむ。
 考えても仕方ないね。
 魔物の考えることなんてわかるわけないし。

 とりあえず巨猿に止めを刺す。
 流石に、あんな危険生物に直接噛み付く度胸はない。
 てなわけで、他の2匹同様上から毒合成で蜘蛛毒を作り、口の中にぶち込んでいく。
 2発文字通り毒を食らった段階で、巨猿はぐったりと動きを止めた。

 最大の懸念が消えたので、残った猿どもを毒牙で1匹ずつ確実に仕留めていく。
 毒牙もSPをごくわずかに消費するけど、今まで気になることはなかった。
 コストも低いし、SPがなくなるような状況に今までなったことがなかったしね。

 けど、流石に猿の数が多すぎ。
 流石の毒牙でも、数撃ちゃ尽きる。
 仕方なく、途中で猿を食べてスタミナを回復させた。

 動けなくなった猿たちは、せめてもの抵抗なのか、私が近付くと威嚇してきた。
 若干そこに怯えが混じっているような気もしたけど、そんなこと知るかい。
 お前ら私を殺す気で喧嘩吹っかけてきたんだから、自分も殺されることを覚悟しろっての。
 殺される段になって泣き寝入りなんかすんなし。
 というわけで、気にせず止めを刺す。

《条件を満たしました。称号『無慈悲』を獲得しました》
《称号『無慈悲』の効果により、スキル『外道魔法LV1』『外道耐性LV1』を獲得しました》
《『外道魔法LV1』が『外道魔法LV2』に統合されました》

 なんか称号もらった。
 また物騒な感じのやつだ。
 外道魔法持ちの称号これで2つ目かい。
 これは遺憾の意を表明せざるを得ない。
 私そんな外道じゃないよ!
 ホントだよ!

 とりあえず新しいスキルの確認は後回しにしよう。
 戦ってる最中もなんかバンバンレベルアップやら新スキル獲得やらしまくってたし、後で時間のある時に全部まとめて確認したほうがよさげ。

《経験値が一定に達しました。個体、スモールタラテクトがLV9からLV10になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『毒合成LV2』が『毒合成LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『投擲LV2』が『投擲LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『魔量LV1』が『魔量LV2』になりました》
《スキルポイントを入手しました》
《条件を満たしました。個体、スモールタラテクトが進化可能です》

 猿を作業的に始末している最中に、レベルが上がった。
 そうかー。
 もうレベル10か。
 早!?
 確かに戦ってる最中ガンガン上がってたけど、もう次の進化できんの!?

《進化先の候補が複数あります。次の中からお選びください。
 タラテクト
 スモールポイズンタラテクト》

 ん?
 スモールが名前から取れたタラテクトはまあ予想通りだけど、スモールポイズンタラテクト?
 ポイズンて付くくらいだから毒特化?

 まあ、これも後回しだね。
 こんな安心できない状況で進化なんか出来たもんじゃない。
 とっとと猿を全部始末しなければ。

《条件を満たしました。称号『魔物の殺戮者』を獲得しました》
《称号『魔物の殺戮者』の効果により、スキル『剛力LV1』『堅牢LV1』を獲得しました》
《『強力LV3』が『剛力LV1』に統合されました》
《『堅固LV3』が『堅牢LV1』に統合されました》

 んん?
 また称号?
 これまた物騒な名前だこと。
 魔物殺しの上位版?
 強力と堅固が違うスキルに統合された?
 後で忘れずに確認しなきゃ。

 そのあとは淡々と猿を処分する作業だった。
 毒牙、毒牙、たまに食事して糸で補強して。

 そして、その場から、私以外の命が全て潰えた。
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