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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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55 地上100メートルの防衛戦①

 あー、寝た。
 うん。
 寝たは寝たね。
 けど、なんだろう?
 もうちょっと爆睡する予定だったのに、不意に目が覚めた感じ?
 んー?
 なんか全身の毛が逆だってるようなこの感覚。
 やばいかも。

 岩からチョロっと顔を出して下を覗き込む。

『アノグラッチ LV6 ステータスの鑑定に失敗しました』
『アノグラッチ LV3 ステータスの鑑定に失敗しました』
『アノグラッチ LV8 
 HP:165/168(緑)
 MP:38/38(青)
 SP:127/127(黄)
   :109/118(赤)
 ステータスの鑑定に失敗しました』
『アノグラッチ LV5 ステータスの鑑定に失敗しました』
 ……

 猿の群れが眼下に布陣していた。
 ざっと数えて50匹くらいいる。

 え?
 嘘でしょ?
 あいつら、確実にこっちを認識してる。
 なんで!?
 岩のカモフラージュは完璧なはず。
 私も外側から見たからよくわかる。
 パッと見ではちょっと飛び出した壁にしか見えないはずだ。
 なんでなんで!?

 考えられるのは、この前倒した同種の猿のせい。
 あいつがなにかしてたのか?
 特殊な匂いとか?
 わからない。
 けど、現実に猿どもはこうして私のことを待ち構えてる。
 今にも壁を登ってこようとしてるかのようだ。
 というか、登り始めた。

 うわ、まずい!
 流石に垂直の壁を登るのは猿といえど苦戦するらしく、登る速度はかなり遅い。
 これならここまでたどり着くまで数分はかかるはず。
 その間にこっちも何かしらアクションを取らなきゃならない。

 ここは、天井伝いに逃げるのが一番でしょ。
 あの数の猿とやり合うなんて、ムリに決まってる。
 よし、そうと決まればさっさと逃げよう。
 あれ?
 天井の色が途中から変わってる?
 嘘!?
 すっごい滑る!?
 糸もほとんどくっつかない!?
 そんな…。

 天井は壁から1、2メートルくらいのところで岩質が変わってる。
 私の足はおろか、粘着力マックスにした糸さえほとんど貼り付かないようなツルツルした岩に。
 これじゃ、天井を伝って逃げることはできない。

 それなら、壁伝いに横に逃げるしかない。
 多分あいつらは追ってくると思うけど、そこは根気の勝負だ。
 よし、行こ…ガンッ!

 うえ!?
 なになに!?
 石!?
 うわ、あいつら、石投げてきやがった!?
 ていうか、地上からここまで相当な高さがあるのに届いた!?
 うわ、また投げてきた!?

 慌てて岩の中に退避する。
 遅れて私がいた場所に石が当たる。
 流石に地上からここまで遠投されてきた石は、そんなに威力はなさそう。
 けど、垂直に壁に張り付いた状態で当たったら、多分、落とされる。
 私がいた場所に正確に当ててるところを見ると、投擲か命中か、あるいはその両方のスキルを持ってそう。

 ヒヤリと、嫌な感覚がした。
 これは、逃げられない。
 どうする?
 いや、もう残った道は一つ。
 迎撃するしかない。

 幸い、簡易とはいえここにホームはある。
 あの猿が到達する前に、できる限りここを強化して迎え撃つしかない。
 同じ壁に張り付いた状態の戦いでも、蜂の時と違って、今回は向こうも地の利がない。
 むしろ、簡易ホームがある分、足場兼要塞として使えるから地の利はこっちにある。
 やるしかない。

 まずは糸をばらまく。
 それを操糸で壁に貼り付けていく。
 単純だけど、これで壁を登るのが難しくなるはず。
 投げつけられる石を避けながらだから、作業がなかなか進まない。
 そうこうしてるうちに、登ってきている猿の第一陣は壁の半分位まで来てしまった。

 まずい。
 予想より猿の壁を登るスピードが速い。
 今ばらまいた糸の量じゃ、猿全部を足止めするのはムリだ。
 どうする?
 ああ、こっちからも向こうを攻撃できるような何かがないかな?
 投擲と命中があるんだし、何か投げつけられるものでもあればいいんだけど…。

 あ、投げるわけじゃないけど、落とせるものならある!

 岩から顔を出して毒合成を発動させる。
 もちろん出すのは弱毒じゃない。
 私がこれまでの蜘蛛生で鍛え上げた、強力な毒、蜘蛛毒だ。

 私の目の前に出現した蜘蛛毒の玉は、重力に引かれてそのまま落下していく。
 壁を登っている猿にこれを避けることはできない。
 見事顔面に命中し、猿は苦しそうに悶えながら落下していく。
 これは、いける!

 素早く消費MPを確認する。
 消費したMPは、たったの1。
 つまり、最大で40発も撃てるわけだ。
 操糸で使う分と合わせて考えれば、25発くらい。
 全部命中させることができれば、約半数の猿を脱落させることができる!

 すぐに2発目を落とす。
 これもまた命中し、猿が落下していく。
 どんどんいく。
 こういうのは落とせるときに落としとくべきだ。

《熟練度が一定に達しました。スキル『毒合成LV1』が『毒合成LV2』になりました》

 スキルレベルが上がったけど、確認するのは後回し。
 どうせ追加された毒よりも蜘蛛毒の方が強い。

 結構な数の猿を落とすことに成功したけど、猿の方も対応してきた。
 巣の真下付近を避け、横の方に移動を開始した。
 横に移動し切る前にありったけの毒を落とす。

《熟練度が一定に達しました。スキル『命中LV2』が『命中LV3』になりました》

 よしよし。
 面白いように猿が落下していく。
 けど、だいぶ横に移動された。
 もう毒落としは使えそうもない。
 MPの残り的にも不安があったし、ちょうどいいタイミングだったかもしれない。

 横に移動した猿の進行方向に糸を出す。
 まだまだ、この戦いは始まったばかりだ。
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