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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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301 半年くらい出番がないという悪夢にうなされた

 おはようございます。
 朝です。
 残念ながら爽やかな、という形容詞はつかないけど。

 私が一晩寝た場所は、エルフの里で無事だった家。
 物語に出てくるエルフの家っぽい、木の中をくりぬいて作ったツリーハウス。
 ツリーハウス? うん、まあ、間違っちゃいない。たぶん。
 実にファンタジーでファンシー。
 そんでもってメルヘン。
 普段寝る時はマイホームに引きこもる私だけど、こんなものを見せられちゃ、一晩くらい泊まってみたくなるじゃん。

 が、残念ながらあんま居心地はよろしくなかった。
 なんて言ったって戦後だもんよ。
 ポティマスの秘密兵器、ウニだとか三角錐だとかが派手にやらかしてくれたおかげで、元は緑あふれる森だった場所が、現在は焼け野原。
 ぶっちゃけ焦げ臭い。
 焼け野原になっちゃった場所からはだいぶ離れてるんだけど、それでも臭ってくるっていうね。

 それに、ここにもともと住んでいたのはエルフ。
 それだけでなんかちょっと胸糞悪くなる。
 しかも、元の住民は私の手で殺してるわけだし。
 幽霊とか怨念とか、そういうのが怖いってわけじゃないけど、それでもやっぱなんか気分的によろしくはないわな。

 結論、家の住み心地云々の前に、時期が悪すぎてあかんかった。
 旅行とかで一泊するんだったらまた違った感想になっただろうけど、この状況じゃねえ。
 寝心地も悪くてなんか夢見も悪かったし。
 せっかく大仕事を終えたあとなんだから、気分よく寝れてもよかったと思うんだけどなあ。
 その大仕事っていうのが、エルフの大虐殺だったわけだし、やっぱ気分よくお目覚めってわけにはいかんか。

 エルフの里を攻め滅ぼすという大仕事。
 その目的はもちろんポティマスをぶっ殺すこと。
 この星がこんな滅茶苦茶な状況になっているのは大体あいつのせいだからね。
 その元凶をぶっ倒して、歪みを少しでも矯正する。
 それが今回のお仕事。
 まあ、ポティマスについては魔王の因縁、っていう側面もあるわけだけど。

 魔王にポティマスの始末を譲ったことは、正直複雑な気分。
 ポティマスとの戦いで、魔王は念願かなって奴に止めを刺すことができた。
 けど、その代償はでかい。
 魔王は戦いの反動で、ほとんど戦えない体になってしまった。
 それだけじゃない。
 むしろそんなことよりも、こっちのほうが重要で、魔王の寿命はもう残り少なくなってしまった。

 もともと魔王は自分の寿命を悟って、魔王という役に就いた。
 魔王は肉体的には不老だけど、魂はもう限界近くにまでなっていた。
 近い将来、自分は死ぬと予見。
 とは言え、それはアホみたいに長生きしてきた魔王の感覚でのこと。
 普通の人間の感覚からすると、まだまだ十分な時間があったはず。
 それが、ポティマスとの戦いで一気に減った。

 今の魔王の様子を見ると、いつ死んでもおかしくないように見える。
 それを見ちゃうと、はたしてポティマスと戦わせてホントによかったんだろうかって思っちゃう。
 それが魔王たっての頼みでも、断固として拒否しておけばよかったんじゃないかって。

 けど、それと同時に、魔王がポティマスと当たってくれたおかげで、私は無駄にエネルギーを浪費せずに済んだっていう、計算も頭の中に浮かんじゃうんだよね。
 魔王が死にかけて得た、価値ある勝利だっていうのに、それを数字で計ろうとしている。
 こういうところは我ながらゲスイなー。
 自己嫌悪。

 ん、まあ、気持ち切り替えていこう。
 起きた過去は変えられん。
 反省はする。
 だが、後悔はしない。
 後悔するってことはそれまでの自分を否定することだからね。
 何があっても、受け入れて、それを糧にして前に進んでいかなきゃ。

 さてさて。
 そんじゃあ、前に進むためにまずは捕虜の様子でも見てくるかな。

 今回の戦いで捕虜になったのは、山田くんを始めとした勇者一行。
 そしてこのエルフの里に保護という名の監禁をされていた転生者たち。
 それと、エルフでは唯一の生き残りである先生。
 以上。
 つまり、ほぼほぼ転生者だけ。
 エルフは皆殺しにしちゃったしね。

 エルフっていうのはポティマスのクローンがベースの種族。
 ポティマスのクローンがいて、そのクローンとエルフに改造された人、あるいはその子孫が、エルフと呼ばれる種族。
 どうもエルフは転生者たちを拉致って来る前から、そういう拉致をしでかしていたらしい。
 で、拉致ってきた人をエルフに改造して、ポティマスのクローンと子供を作らせる。
 ポティマスのクローンだけだと遺伝子的に偏りが出すぎちゃうからね。
 そうやって生まれてきた子供をエルフとして育てる。

 その性質上、エルフはその大半がポティマスの血縁者ってことになる。
 種族っていうか、血族?
 まあ、そんなわけで、エルフは根絶やしにしたほうが何かといいのだよ。
 例外は先生と、ハーフ。
 先生はもちろんだけど、ハーフにまで手を回していたらメンドイ。
 私の目も万能じゃない。
 行き届かないところもあるし、見逃しもある。
 なるべくエルフは根絶やしにしたほうがいいと思うけど、このエルフの里の外にいる連中全部を始末するのは骨が折れる。
 ある程度取りこぼしても、まあ、しゃあなし。
 というわけで、エルフとは関係なしに野に下った連中はスルー。
 だから、山田くん一行にいるハーフエルフもスルーすることにした。

 なんかそのハーフエルフ、一回死んだらしいけど、ノーカンノーカン。
 生き返ったからいいんだよ。
 それで山田くんがぶっ倒れたみたいだけど、私は知らん!
 知らんぞ!
 どうなっても知らんぞ!

 うん。
 山田くんがどうなったのか、ちょっと怖いけど見ないとダメだよなー?
 たぶん、山田くんがぶっ倒れたの私のせいだしー。
 あれだよね?
 たぶん禁忌カンストしたんだよね?
 どうしよう、見に行ったら発狂してたりしたら……。
 あー、怖い。

 ていうか、他の転生者たちへの説明とか、しなきゃダメかなー?
 鬼くんに丸投げしちゃダメ?
 口を開くのが億劫でござる。
 ある意味エルフの里を落としたのよりも難易度の高いクエストがこの後待っている。
 憂鬱だ。
 とりあえず、様子見に行くか。
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