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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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43 蜘蛛VS地龍………え?

 最初の1隊を難なく撃退したあと、ひっきりなしに蜂に襲われるようになった。
 2番目に来た隊も問題なく全滅させることができたんだけど、その後が問題だった。
 同時に複数の隊が襲いかかってくるようになった。
 ないわー。
 いや、蜂からしてみれば正しいんだけどさ。
 こう、襲われる側としてはそんな大量に来ないで欲しいわけよ。
 いくら巣の中は安全て言ってもね、絵面的に圧迫感があるわけですよ。
 何、この寝ても覚めても周りを巨大な蜂がブンブン飛び回ってる状況?

 溜め息を吐きつつ周りを見回す。
 見渡す限り蜂、蜂、蜂。
 もうね、なんなのお前ら?
 ここまでいっぱい集まると、ブンブン飛び回ってる音が半端ないんですけど。
 めっちゃうるさい。
 うるさすぎて眠れない。

 それに、こんだけの量を律儀に仕留めていくと、食べきれないのよ。
 スキル過食のおかげか前よりいっぱい食べられる気がするけど、それでも限度があるでしょ。
 ただでさえ1匹1匹がでかいんだから、それが5匹一塊でゲットしちゃうともうね。
 おかげで過食のスキルレベルが3に上がっちゃったじゃないか。

 一番困るのは、蜂の対応に追われて巣の拡張が滞ってることだ。
 私の一番の目的はここからの脱出。
 蜂の相手じゃない。
 それなのに、蜂がひっきりなしに襲いかかってくるせいで工事が進まない。
 向こうから襲ってこなければ、もう十分すぎるくらい食料は確保したし、放っておいてもいいのに。
 まあ、そんな事情、向こうに判るわけもないんだけどさ。

 襲撃の合間を縫ってちょっとずつでもいいから進めていくしかないかな。
 ここまで警戒されちゃうと、巣から出るのはもう自殺行為だし。
 前に考えてた素早さに物を言わせて突貫する方法はムリそう。
 いくら私のスピードが369あろうと、垂直の壁ではそこまでの力は発揮できないし、登ってる最中に蜂に捕まってぶっ刺される未来が見えるわ。

 あー、ちくしょう。
 あんまここでモタモタしてたくないんだけどなー。
 いつあの地龍がフラッと来るかわかんないし。
 地龍が、フラッと?

 不意に、とんでもない悪寒が走った。

 何、これ?
 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!
 見たくない。
 見たくないけど、見なきゃならない。

『地龍アラバ LV31 ステータスの鑑定に失敗しました』

 恐れていた奴が、来た。
 しかも、その目は確実に、私の巣を捉えている。

 ど、どうする?
 いや、どうもできない。
 どうもできるはずがない。
 あれ相手にできることはない。
 私に出来ることといえば、見逃してくれる事を祈るくらいしかできない。

 そんな祈りも、虚しく砕け散った。

 地龍がその口を開く。
 龍の最大の武器といえば、ブレスによる攻撃と相場が決まってる。

 轟音が響いた。
 爆風が舞い上がった。
 破壊の渦が吹き荒れた。

 何が起こったのか、正確にはわからない。
 わからないけど、これだけははっきりしてる。
 私の巣が、土台にしていた大岩ごと消失した。
 大岩どころか、その背後の壁が大きく抉れている。
 爆心地から離れた壁にも、大きなヒビが走っている。
 それにつられてどんどん壁から岩が剥離していく。
 文字通りの崩壊。
 私の巣は一撃で半分以上が吹き飛んだ。
 残った上部も、壁の崩落に巻き込まれて壊れていく。

 私はその上部にいた。
 恐らくブレスと思われる攻撃の直撃は免れた。
 周りの網と一緒に落下していく。
 何もできずにそのまま地面に叩きつけられた。
 痛い。
 HPがごっそり減った。
 でもまだ生きてる。
 生きてるけど、このあとはわからない。
 全ては地龍の気分次第だ。

 私は糸の網に覆い被さられる。
 私自身の糸だけど、粘着性のある部分に触れば私自身もくっついてしまう。
 けど、そんなことは今は問題じゃない。
 これは逆に運がいいかもしれない。
 私の体は糸の束に覆われて外からは見えない。
 降ってくる岩が直撃することもなかった。
 このままここに隠れていれば、もしかしたら見逃してくれるかもしれない。

 淡い期待を持って息を潜める。
 恐怖で震える体をなんとか押さえつける。

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV1』を獲得しました》

 震えが若干収まった。
 それでも怖い。
 体はどうしようもなく震える。
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV2』が『隠密LV3』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV1』が『恐怖耐性LV2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV3』が『隠密LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV2』が『恐怖耐性LV3』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV1』が『HP自動回復LV2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV3』が『恐怖耐性LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV4』が『隠密LV5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV4』が『恐怖耐性LV5』になりました》




 いつまでそうしていたのか、天の声(仮)が私の意識を正気に引き戻してくれた。
 あるいは、震えている間に一気に上がった恐怖耐性のおかげかもしれない。
 どのくらいジッと身を隠してたのかはわからない。
 スキルの上がり方からして、かなり長い間息を潜めてたのはわかる。
 スタミナの減り具合で時間がわからないかとも思ったけど、何故かスタミナは減っていなかった。

 私は操糸で体にまとわりついた糸を引き剥がす。
 蜘蛛糸は操糸と合わせればある程度性質を変えられることが分かっていた。
 粘着性を落として体から取る。
 ゆっくりと糸の束から這い出す。
 そこに、地龍はもういなかった。

 私は、助かった。
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