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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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42 蜘蛛VS蜂④

 ついにこの時が来たかー。

『フィンジゴアット LV6 ステータスの鑑定に失敗しました』
『フィンジゴアット LV4 ステータスの鑑定に失敗しました』
『フィンジゴアット LV5 ステータスの鑑定に失敗しました』
『フィンジゴアット LV5 ステータスの鑑定に失敗しました』
『ハイフィンジゴアット LV1 ステータスの鑑定に失敗しました』

 私の目の前の上空には蜂の隊の一つが飛んでいる。
 いつもの様子見とは明らかに違う雰囲気。
 確実にこっちを敵とみなして、戦闘する気でいる。

 巣の高さは目標地点まで半分くらいのところまで来てた。
 そこまで来ると、蜂の様子がちょっとずつ変わってきてたんだけど、どうやらついに向こうもこっちのことを放置できなくなったっぽい。

 とはいえ、まだ1隊。
 舐められてるのか、こいつらは先遣隊で様子見なのか。
 とにかく、たかだか1隊で巣を作った私に勝てると思うなよ。

 クモーニングスターを構える。
 網目状に作られた巣だけど、中からクモーニングスターを投げられるくらいの隙間はある。
 その隙間にしても、体長2メートル半くらいもある蜂が侵入できるような大きさじゃない。
 向こうは網を突破することはできないけど、こっちは網の中から攻撃し放題。
 まあ、あっちもいつでも飛んで逃げることができるから、おあいこだよね。

 レベル5の2匹が突っ込んでくる。
 ふん。
 2匹同時に突っ込まれようと、私の巣はびくともしない。
 蜘蛛糸のスキルレベルは8。
 低レベルの時ですら凄まじい耐久力を誇った私の糸だけど、レベルが上がってその頑丈さにも磨きがかかってる。
 案の定、2匹の蜂は巣の表面に体当りをして、びくともしないその糸に体を取られることになった。
 あの巨体で結構なスピードで体当たりを行ったにもかかわらず、私の巣は全くダメージを受けていない。
 文字通り、びくとも振動してない。

 私の巣に張り巡らされた糸は、とんでもない耐久力と、衝撃を吸収するようにゴムのような弾性を有している。
 ある程度の負荷が掛かると、糸は伸縮して衝撃を逃がすのだ。
 蜂の体当たりはそれすらなかった。
 つまりはその程度。
 衝撃を逃がすまでもなく、単純な耐久力だけで耐えられるような攻撃力しかなかったということになる。

 別に蜂の体当たりがお粗末だったわけじゃない。
 観察しててわかったことだけど、この蜂、なんだかんだ言ってかなり強い。
 蜂が持ち帰ってくる魔物の中には、あの蛇すら含まれていることがあったくらいだ。

 空中からの一方的な攻撃、毒針による攻撃、恵まれた体格からの攻撃。
 どれも普通ならかなりの脅威だ。
 上空にいるおかげで普段は攻撃が届かないし、一方的に先制攻撃ができる。
 まあ、だからこそ対空攻撃には弱いんだろうけどね。
 私のクモーニングスターが百発百中なのも、そこらへんの警戒心っていうものが薄いおかげだと思うのよ。

 そういうわけで、蜂は普通に戦えばかなりの強敵だ。
 そう、普通に戦えばね。
 私の切り札、マイホームは普通じゃない。
 普通じゃない防御力、普通じゃない拘束力、普通じゃない篭城戦力。
 きっと蜂はこんな戦術見たことないだろうね。
 蜘蛛という生き物が持つ最強の切り札を、人間の頭脳で運用してんだから。

 体当りしたまま巣に引っかかった2匹の蜂は放置する。
 未だに事態を飲み込めていない残りの3匹に向けて、クモーニングスターを投げつける。
 クモーニングスターを避けることもできずにまともに食らう、リーダー蜂。
 狙うならまず頭からでしょ。
 ブチ当たったそのままに、遠心力と落下力に物を言わせて、リーダー蜂の体を巣の下方に向けて叩きつける。
 これでリーダーの排除完了。

 残った2匹はリーダーがやられてどうしたらいいのか分からずに、その場で固まっている。
 いい的だね。
 先にレベルの高い方からクモーニングスターで始末する。
 そこで、最後に残った蜂がやっと我に返ったけど、そのあとの行動がお粗末すぎた。
 起死回生を狙ったのかどうかわからないけど、私目掛けて体当たりを敢行した。
 前の2匹がやられたことがわかってないのか?
 まあ、そんな破れかぶれの攻撃が私に届くはずもなく、最後の1匹もあえなく巣に激突して動きを止めた。

 呆気ない。
 落ちてくる時はあれだけ恐ろしかった蜂どもが、巣を張った私に為す術もなかった。
 体当たりで巣がびくともしなかったことを考えると、何匹来ようとも私に到達することはできないだろうと思われる。
 それだけ巣の防御力は高いことが証明された。

 ゲームなんかだと、あまりにも防御力が高いと、雑魚キャラからの攻撃を食らってもダメージを貰わなくなったりする。
 私の巣と蜂とではその関係が成り立ってしまう。
 想像では蜂の攻撃を食らえば、突破は無理にしても補修くらいは必要になるだけのダメージは貰うと思ってたんだけど。

 上空にはまだまだ百は下らないだろう数の蜂が飛び交ってる。
 最初はあの数の暴力に恐怖を覚えたけど、どうあっても巣を突破できないとわかれば話は変わってくる。
 たとえ百匹いようと、千匹いようと、巣を突破できなければ私にその針が届くことはない。

 これはいよいよ脱出できる公算が大きくなってきた。
 私は気分良く捕えた蜂に止めを刺すべく、行動し始めた。
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