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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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S5 鑑定石

 今日は待ちに待った鑑定石によるステータスのチェックの日だ。
 この世界にはステータスがある。
 ゲームじゃなくて現実でそれはどうなんだ?って、思わなくもないけど、そこはもう諦めた。
 ここはそういう世界と、割り切って考えたほうが楽しいことに気づいた。

 そう、楽しい。
 この世界は本当にゲームみたいだ。
 努力すればするだけ報われる。
 もちろん才能なんかの差はあるだろうけど、地球に比べて努力が認められやすい世界であるのは間違いない。
 なにせ、努力の証がスキルという形になって返ってくるのだから。

 スキルはそのスキルに合った一定の行動を取ることによって、熟練度と呼ばれる数値が上昇していき、それが貯まると獲得ができる。
 獲得したスキルはすぐに自分の力として行使が可能だ。
 しかも、使えば使うほど熟練度が上がって行き、スキルのレベルも上がっていく。
 努力をすればするほど、そのスキルはより強力になるのだ。
 努力しても報われないなんてことがない。
 素晴らしい世界だった。

 そして俺は生まれてから今まで、アナやクレベアに教わり、いろいろなスキルを身につけていた。
 やればやるだけ自分に返ってくる。
 俺はその快感にはまり、貪欲にスキルを獲得していった。
 俺の真似をして、スーが俺と同じくらいスキルを獲得してしまったり、やりすぎてアナとクレベアがドン引きしてたりもしてたけど、ご愛嬌だ。

 ゲームは強いほうが楽しい。
 縛りプレイだとかそういうことをする人もいるけど、俺はガンガン強くなっていくことのほうが好きだ。
 それがゲームのキャラじゃなくて、自分自身だったらなおさらだ。

 けど、そうやって強くなっていくのはいいけど、この世界にも不便なことがあった。
 ステータスが見れない。
 この世界にはステータスという概念はあるのに、それを見るためには厳しい条件をクリアしないといけない。

 鑑定というスキルがある。
 この鑑定というスキルを使う事によって、ステータスを見ることが出来るのだが、このスキルを持っている人間は少ない。
 鑑定のスキルを獲得するためには、地球の鑑定士と同じように、そのものの価値を判断する深い教養や、それがどんな物質で形成されているかを見極める観察力など、素人では手が出ないような高度な技能が要求されるからだ。
 そしてもう一つ、たとえこのスキルを獲得できたとしても、スキルのレベルを上げるのが非常に困難だというのも、鑑定のスキル持ちが少ない理由だ。

 実はスキルをただ獲得するだけなら、できなくはない。
 スキルポイントと呼ばれるものを消費することによって、スキルは獲得することができる。
 なので、鑑定のスキルも、スキルポイントさえ支払えば獲得できる。
 できるのだが、獲得した後が続かない。

 鑑定のスキルレベルを上げるには、鑑定を発動すればいい。
 鑑定を発動する毎に熟練度が上がっていき、一定値に到達すればレベルが上がる。
 ただ、この鑑定を発動するというのが厄介なのだ。

 鑑定は発動しても魔力や気力を消費しない。
 じゃあ、発動し放題なのかというと、そうじゃない。
 そこには落とし穴があって、鑑定を発動すると、頭痛と酩酊感に襲われるのだ。
 その度合いは個人差があるようだが、酷い人などは、一度鑑定を発動させただけで気を失ってしまうこともあるそうだ。
 才能のある人でも、2つ以上のものを同時に鑑定するとなると、酷い頭痛に襲われ、気分が悪くなるそうだ。

 一度の発動でそれだけの被害が出るのだから、何度も何度も発動して熟練度を稼ぐというのは、とんでもない苦行なのだ。
 しかも、この鑑定のスキルは、高レベルにならないと使い物にならないというおまけ付き。
 そういうこともあって、鑑定のスキルをわざわざ獲得しようという人は少ない。
 代々鑑定士を生業にしている家の跡取りくらいのものだ。

 じゃあ、どうやってステータスを確認するんだというと、ここで登場するのが鑑定石だ。
 鑑定石は特殊な製法で作られる魔道具で、所持している間、一時的に鑑定のスキルを使用可能にするというものだ。
 使用可能になる鑑定のスキルレベルは、その鑑定石の質によって異なり、王家が所有する鑑定レベル10に相当する物は世界でも数える程しか存在しない。
 当然その使用には特別な許可を取る必要があり、基本的に王家に近しい大貴族などしか使用することはできない。

 俺は王家の人間なので、使うことに問題はない。
 ただ、王家の人間だからといって、好き勝手に使えるようなものでもない。
 俺はアナに散々鑑定石が使いたいと駄々をこねたが、許可が下りるには、一定の年齢にならないとダメらしい。
 なんでも、ステータスを生まれて初めて鑑定するのは特別な行事らしく、貴族ともなれば、きちんとした式典にして、厳かな雰囲気のなか鑑定を執り行うのだとか。
 俺もまたその式典をしなければならなかった。

 この式典には鑑定の他に、その子供のお披露目の意味合いもあるのだとか。
 衆人環視の中鑑定結果が晒されるわけで、その時点で大人たちに値踏みされるというわけだ。
 俺は年齢に比べて規格外のスキルを保持しているので問題ないが、あまり低いステータスだと最悪見限られることもあるそうなので恐ろしい。

 ともあれ、俺とスーも晴れてデビューと相成るわけだ。
 俺とスーは式典用の子供服に着替えさせられ、式の段取りを何度も聞かされた。
 式典には現国王、つまり、俺とスーの父親も出席する。
 その他にもそうそうたるメンツが出席するらしく、ここでミスをやらかして恥をかくことは許されない。
 子供でもそこは王家の一員。
 式典の主役として参加するからには、王家の威信を背負って望まなければならない。
 元小市民の俺には荷が重い。
 が、隣で堂々とした佇まいを見せる妹の姿を見てしまうと、やらなければならないという焦燥感にも似た決意が沸き起こる。

「準備はよろしいですか?」

 アナの最後の確認の言葉に、俺は無言で頷く。

「では、どうぞ」

 アナに背中を押され、俺とスーは並んで会場への扉をくぐった。
予想以上に長くなったので一旦切ります。続きはS6で。
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