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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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272 会議は踊る

本日、と言っていいかあれだけどとりあえず三話目
 第一軍アーグナー氏の証言。
 滞りなく問題なし。

 第二軍サーナトリア女史の証言。
 うふふ、画策しちゃうわよー。
 何やら作戦がある模様。
 まあ、その作戦が成功しようが失敗しようが大勢に影響なし。
 放置してもいいかな。

 第三軍コゴウ氏の証言。
 戦争したくねえだー。
 ふざけんな。
 魔王さんチョイギレ。

 第四軍メラゾフィス氏の証言。
 バルトさん、心配しないでください。
 メラ、あんたなんだかんだ言いつつかつての上司の体調心配してたのね。
 泣けるぜ。
 なお、その元上司は元部下のこと不気味な奴だと思っている模様。

 第五軍ダラド氏の証言。
 魔王様! やってるやりますぞ!
 あーはいはい、がんばってー。

 第六軍ヒュウイ氏の証言。
 頑張りますから殺さないでくださいマジホント。
 内心での魔王へのビビリ具合がハンパじゃない。
 いつぞやのおっぱい星人の腕を魔王がモグモグした光景がよっぽどトラウマになってるらしい。

 第七軍ブロウ氏の証言。
 あんたが魔王とか何の冗談だオラ!
 兄であるバルトのブラックすぎる労働環境についにブチギレたようです。
 うん、それはキレていい。
 なんて言ったってバルトが身を粉にして働いてる最中、魔王はゴロゴロしてたんだもん。
 とは言え、今ここでキレなくてもいいだろと。
 空気を読めよ。

 第五軍の武士もどきとチンピラが口論になり、それを魔王が止めるというハプニングが発生。
 もう、よそでやってくれよ。
 私は早く帰って美味しいもの食べたい。

 鬼くんと目があった。
 鬼くんもこのやりとりには呆れていたらしく、肩をすくめている。

 その鬼くんの証言。
 問題ナッシング。
 軽いな、おい。

 鬼くんは、私が隠していたことを話した後、色々と吹っ切れたのか活発に行動していた。
 第八軍を使って周辺の掃除をね。
 小規模な人族の武装組織、いわゆる盗賊だとか冒険者だとか、魔族領に入り込んでいたそれらを容赦なく処分していった。
 その際、一切の慈悲はかけない。
 皆殺し。
 あまりにも残酷なその仕打ちに、仲間内にさえ恐れられる始末。
 加えて、兵を使い捨てるかのようなやり方をするから余計に。
 実際バルトも少し問題視していたみたい。
 鬼くんからしてみれば、それこそが相手にかける慈悲なんだろうけど、それを理解できる奴はそういないわな。

 会議は進み、第九軍黒氏の証言。
 問題なし。
 うん、君んところの軍団が問題あったらそれ、世界規模で大問題だから。
 龍やら竜、挙句それを率いる神が対処できない問題とか起きちゃ困るからね?

「では、第十軍の報告を」

 おおっと!
 やべえ、私の番じゃねーか。
 落ち着け、私。
 大丈夫だ、私。
 一言だけでいいんだ、私。

「第十軍、問題なし」

 おっし!
 言い切った!
 これで私がここでしなきゃいけない仕事は全て終わった!
 あとは誰も私に話題を振るんじゃねーぞ?

 私の願いが届いたのか、会議はその後すぐに終了した。
 あとは進軍するだけだし、各々軍団に戻って指揮をしたほうがいいとの判断なのかな?
 そこら辺、現代日本と違って無駄な会議がなくスムーズでいいね。

 会議終了後、黒はとっとと出て行ってしまった。
 黒の第九軍は魔王直属軍と一緒に行動することが決まっている。
 ていうか、戦力的に温存しなきゃ、人族がやばい。
 あんまり戦力を傾けすぎると、両陣営の被害が均一にならない。
 第九軍は秘密兵器ということなのだよ!

「白さん」

 鬼くんとメラが近づいてくる。
 戦争が始まればおいそれと会えなくなるし、最後の挨拶ってところかな。
 鬼くんが死ぬとは思えないし、メラも実はなにげに下位龍とタイマン張れるくらいに強いし死ぬことはないだろうから、最期の挨拶にはならんしょ。

「おい、コイツに用か?」

 鬼くんとメラを遮るチンピラ。
 なぜに?

「コイツはこれから俺と進軍に関する相談がある。用がないのなら時間を取らせるな」

 なんだって?
 私そんな話聞いてないぞ?
 あ、だからこれから話すのか。
 イヤ、でも話すことなんかあるっけか?
 大体はフェルミナちゃんがこなしてくれてるはずだけど。

「挨拶くらいはいいんじゃないかな?」
「じゃあ、もう済んだだろ?」

 鬼くんのことをぞんざいに扱うチンピラ。
 なんでコイツはこう、私の周辺でいざこざを起こすんだ。
 いい加減にして欲しい。

「少し話をする時間もないのかい? それはそれは。第七軍は随分と行動に余裕がないようで」

 鬼くんが小馬鹿にするように言い、鼻で笑った。
 チンピラがギリっと歯を食いしばり、メラがなおも挑発しようとする鬼くんを引き止める。

「白さん、邪魔者がいるんで今日はこのへんで」
「お嬢様のこと、よろしくお願いします」

 去り際、鬼くんがチンピラにボソッと耳打ちして行った。
 「相手の気持ちも考えずにそんなことして、振り向いてもらえると思ってるの?」と。
 ……鬼くんにしては辛辣な。

「行くぞ!」

 チンピラは怒気も顕に私の了承も得ずにズンズンと歩き出す。
 そういう身勝手なところがモテない理由だとなぜに気づけないのか。
 実際私の好感度は下がる一方だというのに。

 その後進軍に関するあれやこれやの話とやらは、意外とまともな相談となった。
 仕事に関してはオンとオフがきっちりできるようである。
 まあ、あのバルトの弟だし、それくらいできて当たり前か。

 その話の結果、第七軍が前面に出て、第十軍は遊撃を担当することとなった。
 チンピラの中で第十軍はまっとうな兵士ではなく、裏方の仕事をこなす特殊兵と勘違いされてる模様。
 まあ、いいけどさあ。
 勇者が出てくるまで、後方でのんびりやらせてもらいましょうか。
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