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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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非公式会談①

 流れでなんか鬼くんも参加することになったけど、なんとかなるさー。
 ということで、まだ状況を理解してない吸血っ子を拉致して転移。
 やってまいりました神言教総本山!
 前回と同じく教皇の執務室に突撃。

 転移でやってきた私たちを歓迎するかのように、教皇は書類を捌いていた手を止め、控えていた護衛がすばやく反応し、従者やら文官やらがキョトンとする。
 前回来た時は草間くんと話しをしていたから人払いをしてたのか。
 普段は結構人いるのね。

「あ6」

 護衛が動き出そうとした瞬間、教皇が声を出す。

「ケース3だ。そのように周知しろ」
「はっ!」

 教皇の言葉に護衛の人が返事をし、私たちを置いて部屋を出て行った。
 教皇の言葉は暗号みたいでいまいち理解できないけど、多分ケース3っていうのは私が現れたことだよね?
 想定されるケースをいくつか予測して、どの場合でも対応できるように訓練してたってことか?
 こりゃ、破談かな?

「できれば転移でいきなり現れるのではなく、正面からお出でいただきたいものだ」

 教皇の文句は無視。
 正面から来てもいらっしゃいませーって歓迎されるわけがないし。
 どう説明して通してもらえと?

「ここではなんです。今、会議室を用意させています。それまで控え室でお待ち頂けますかな?」

 なんか、言外に「いきなり来たんだからちょっとくらい待てや、こっちにだって準備があるんじゃボケ」って聞こえた気がしたけど、きっと気のせい。
 了承の意味で頷く。

「では、こちらへどうぞ」

 教皇に指示された従者が私たちを先導する。
 言われるがままに控え室に案内され、出されたお茶を飲みつつくつろぐ。

「ねえ、ここどこなの?」

 吸血っ子がそんな今更な質問をしてきた。

「聖アレイウス教国。さっきの人は教皇」

 聖アレイウス教国は神言教の総本山。
 そんでもって教皇は神言教のトップ。
 それだけ言えばいくら吸血っ子でも現状を認識できるっしょ。

「え? どういうこと?」

 訂正。
 余計混乱させたっぽい。

「白さん。神言教とやらはどこまで知ってるんです?」

 あてにしていた吸血っ子がポンコツのかわりに、鬼くんが鋭い意見をしてくる。
 もう、教皇との交渉役は鬼くんに任せたほうがいいんじゃないかな?

「ほぼ全部」

 元から結構知ってたっぽいけど、そこからさらに私が教えたからね。
 今日はそれを踏まえた上で、神言教が私らと足並みをそろえる気があるのかどうかを聞きに来たのだよ。

「じゃあ、今回ここに来たのは、魔族と神言教が秘密裏に手を結ぶということかな?」

 鬼くんがエスパー優秀すぎて怖い。
 まあ、ちょっと飛躍しちゃってるのは仕方ない。
 厳密にはその前段階だからね。

「できれば」
「つまり、その交渉の場ということか」

 鬼くんが現状を理解して、難しい顔をした。
 自分がどれだけ重要な場所にいるのか、理解が追いついて気を引き締めてるっぽい。
 場合によっちゃ、魔族と人族が秘密裏に結託するっていう歴史的な場面になるかもしれないし。

「ちょっと! どういうことよ!? わかるように説明して!」

 吸血っ子が騒いでるけど、無視。
 こいつに期待した私がバカだったのだ。
 交渉役は鬼くんにお任せしよう。
 なるようになるさー。
 まあ、吸血っ子も神言教には浅からぬ因縁があるし、ここらで一度そのトップと相まみえるのは無駄じゃないさ。
 吸血っ子が暴走した結果、破談になる可能性もあるけど、なんとかなるさー。
 ならなかったら魔王の胃に穴が開くだけだ。
 あと、バルトが過労死するかも。
 私には被害はないのだから何の問題もない。

 その後、出されたお菓子を独り占めしてる間、鬼くんが吸血っ子に現状をとつとつと教えていた。
 なんか、仲が悪いのかいいのか、よくわからんなこの二人は。
 まあ、なんか昨日の件で仲違いしてるけど、もともとそこまで相性が悪いわけじゃないだろうし。
 きちんと向き合えば仲直りもできるんでない?
 仲介なんて面倒なことする気はサラサラないけど。

 三十分くらいでようやく準備ができたらしい。
 吸血っ子と鬼くんはお互いの情報交換会な感じになってたけど、私に一切質問しなかったのは賢明だ。
 議論を交わし合う二人はなかなかに熱く語り合ってたけど、私はそのほとんどを右から左へ聞き流していたので、聞かれても答えられなかったし。
 何より聞かれて素直に答えられる私じゃねーし。
 それを理解してる二人はこの私のことをよくわかってると褒めてしんぜよう。

 従者に案内されたのは、結構立派な会議室。
 しかも、防音やら透視やらを防ぐ結界も張ってあって、神言教側がこの会談に本腰を入れて臨む姿勢が窺える。
 あちらさん本気だわ。
 なんか、適当な気分で臨むのが申し訳ない気持ちになるわー。
 だったら気合入れろと言われても、私の意識はどうやって極力喋らないで済むか、その一点に集中してるので他にさく余裕はない!

 会議室は中央にでかいテーブルが置かれ、従者に案内されるがまま席に座らされる。
 有無を言わさず私が真ん中で、両脇に吸血っ子と鬼くんが座る形になってしまった。
 イヤ、まあ、そりゃそうなんだけど、私真ん中かよ。
 対面するのは教皇を中心に、お偉いさんとわかる感じの方々。
 その中に若干場違いな感じで若いのが。
 神言教の転生者代表なのか、草間くんがカチコチに緊張しながら座ってた。
 普段バカみたいにテンション高いけど、いざという時ビビりまくる小市民草間くん。
 そんな調子で大丈夫か?

 さてさて、どうなるかな。
 鬼くん頑張れ。
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