挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
374/487

243 これだから頭のネジが飛んだ奴は……

 先生と山田くんたちが学園に引き返していく。
 夏目くんは取り押さえられ、暗殺者たちも駆けつけた他の教師の手によって捕縛された。
 その前に私の邪眼で弱体化してたから、教師の手であっさりと捕まった。
 あと、懸念していた地竜だけど、結局暴れることもなく、そのまま檻ごと教師陣に回収されていった。
 かなりおっかなびっくりだったけど。
 あの地竜はなんだったんだか。

 で、現在夏目くんは絶賛自室に監禁され中。
 問題を起こしたって言っても、夏目くんは他国の王子様。
 そうそう処分することなんかできない。
 まあ、そうそうであって、絶対に処分できないってわけじゃないだろうけどね。
 このままいけば、そのうち処分されるのは間違いない。
 その前に、なんとかしないと。

 転移で夏目くんのところに行く。

「クソが! このままで終われるかよ! この世界は俺のもんだ! 俺の、俺だけの、俺のためだけの世界だ! こんな終わり方は認めねえ! 認めねえぞ! 全部をこの手に入れるまで、終われるかよ! あのクソエルフが! 絶対に復讐してやる! 許さねえ、絶対に許さねえ! いつかあいつのものをすべて奪ってやる! 俺が奪われたのと同じようにな! 待ってろよ! あいつが大切にしてるもの、全部ぶっ壊してやる! その上で泣き叫ぶあのクソアマを笑いながらグチャグチャに犯してやる! 待ってろよ! 俺はこの世界を取り戻してやる!」

 うーわー。
 帰っていい?
 何、この、何?
 完全にイっちゃってるよこれ。
 なんか、色々と見なかったことにして帰りたい気分。
 これ、私がどうこうしなくても七大罪系スキル獲得しそうな勢いじゃん。

 うー。
 そういうわけにもいかないか。
 これ、放置してたらえらいことになりそうだし。
 イヤ、えらいことっていうか、エロいこと?

 うん。
 現実逃避はこれくらいにしとこう。

 ていうか、私がすぐそばにいるのに気づきやしない。
 もう色々と周りが見えてないっぽいなー。
 こっちとしては好都合だけど。

 そろーりと糸で拘束。
 そのままこっちに向き直させて、はい、邪眼発動。
 意識を奪う。

 そんでもって取り出しましたのは、小指の先サイズのちっちゃい分体。
 これを、夏目くんの耳の穴にグリグリ。
 夏目くんの体がビクンビクン痙攣するけど無視。
 大丈夫大丈夫。
 死にはしないから。
 ただちょっと、どこからともなく電波受信するようになるだけだから。
 その電波に従ってればあら不思議。
 転落人生が待ってるよ。
 やったね!

 分体がちゃんと脳に到達したのを確認して、夏目くんの耳を治療してあげる。
 そりゃ、耳の色々なもの突き破って脳まで行ってるからね。
 わざわざ治してあげるなんて、私ってば超優しい。

 さて、これで夏目くんは私の傀儡同然になった。
 完全に支配することもできなくはないけど、その場合魂の成長はきっと遅くなる。
 それなら、ある程度思考を誘導するだけにとどめておいたほうがいい。
 緊急事態になったらその限りじゃないけど。
 おっと、私のことは記憶から消しておかないとな。
 ポチポチッとな。

 当面は引きこもったままスキル獲得に向けて動かそう。
 この分だと、強欲は獲得できそうだし。
 うまくすれば色欲も。
 そうしたらこっちのもの。
 支配者権限を確立する前に、私が横から介入して乗っ取ることができる。
 今のところ私が掌握できているのは、傲岸、怠惰、忍耐の、元々私が持ってた支配者スキルと、吸血っ子が獲得した嫉妬、オーガくんが獲得した憤怒。

 逆に掌握されちゃってるのは、節制と勤勉と救恤、それに暴食。
 救恤は元々私が持ってたものだけど、支配者権限に干渉する前に、早々に次の持ち主が決まっちゃった挙句、支配者権限を確立されちゃったから手出しできない状態。
 その次の持ち主が、先生。
 まったくもって厄介な状況になったもんだわ。

 あと手つかずなのは、強欲と色欲と、謙譲、慈悲、純潔か。
 強欲と色欲は夏目くんに頑張ってもらおう。
 そのあとは使い捨てる方針で。
 問題は、謙譲と慈悲と純潔か。
 誰かに取ってもらうのが一番だけど、取っても支配者権限を確立させちゃ意味がない。
 昔の私みたいに権限確立させる方法が分からなければいいんだけど、もしエルフの中で取得者が出てくると厄介だな。

 一番いいのはこっちで手持ちの誰かが取得してくれるのが安全なんだけど。
 吸血っ子は、謙譲、そんな精神持ち合わせてるわけがない。
 慈悲、ないない。
 純潔、微妙なラインだけど、あいつこの頃男侍らせ始めてるしムリくさい。
 アーグナーは、あれ完全な手持ちとも言い難いし、長く生きててもそこまでたどり着いてないしなー。
 今更スキル取れって言ってもムリじゃね?
 どっかに才能豊かで条件に合致しそうな子が落ちてないかなー。

 魔力の発動を感知。
 部屋の前の見張りが昏倒させられたっぽい。
 ゆっくりと慎重に開けられる扉。

 入ってきたのは、一人の少女。
 どこか山田くんと似た面影のある、女の子。
 そりゃ、そうだ。
 片方だけとはいえ、血が繋がってるんだから。

 名前は、スーだったっけ?
 物騒な気配から推測するに、夏目くん暗殺にでもしに来たのかな?
 この子、かなりアレな感じのブラコンだからねー。
 そりゃ、お兄ちゃんである山田くんを殺しかけた相手なんて、放っておかないか。

 いるじゃん。
 才能豊かで支配者スキル獲得できそうなのが。

「あなた、誰?」

 こっちに警戒の視線を向ける妹ちゃん。
 ふむ。
 どうやって口説き落とそうか。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ