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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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238 学園×2

 おじい様はよく頑張った。
 圧倒的なステータスの差を、根性だけで埋めてみせた。
 まさかあそこまで粘るとは思っていなかったわ。
 ちょっとこんな世界に居させておくには惜しいくらい。
 最後はすべてを出し切り、オーガくんに切り伏せられた。
 立派過ぎる最期だったとだけ言っておく。

 気になるのはオーガくん、最後の方で一瞬正気を取り戻していたっぽい。
 ふむ。
 まだ完全に憤怒に飲み込まれたわけじゃないっぽい?
 今ならまだ引き返させることもできなくはないかも。
 といっても、その方法がわからんし。
 黒なら知ってるかもしれないけど、封印しちゃったし。
 ごめん、オーガくん。
 私が君にできることはない。
 ガンバ。

 そんな感じでオーガくんはしばらく放置で。
 問題は、人族の学園と、魔族の学園。

 魔族の学園での問題は、吸血っ子が逆ハー形成して、そのメンバーの血を吸ってることか。
 見た感じ、血を吸ってる時は催眠だか魅了だかしてるっぽい?
 どうもやられた方は血を吸われたことを覚えてないっぽいなー。
 うーん。
 だったらまあ、問題ないか?

 吸血っ子は吸血鬼だしね。
 吸血鬼なんだから血吸ってなんぼだし。
 むしろ、今までが吸わなすぎただけでしょ。
 私が飲ませてた分以外は自分から飲むってこともしてなかったし。

 体の成長に伴って、そこらへんの吸血鬼としての本能でも開花した?
 なんとなくだけど、血を吸うって若干エロい感じするし、思春期とかそこらへんの時期に変化が起きるっていうのはありえそう。
 まあ、なんにせよ直接聞いたほうが早いか。

「血? ええ、吸ってるわよ」

 それが何? みたいな軽い感じで答えが返ってきた。
 あ、なんか聞かなくてもわかっちゃった。
 吸血っ子、吸血鬼本格デビューっすわ。
 この軽い返事がそれを物語ってる。
 つまり、吸血っ子は人間としての意識より、吸血鬼としての意識の方が強くなったってこと。

 魂は肉体に引っ張られる。
 同じ魂でも、肉体が変わり、その肉体で長く暮らせばそれに引っ張られて魂も徐々に変容していく。
 吸血っ子は元人間。
 だけど、今は吸血鬼。
 人間だった時の記憶もあるし、その感覚も残っているけど、今は吸血鬼として暮らしている。
 当然、魂も人間より吸血鬼に近くなっていく。

 吸血っ子はもう吸血鬼としての思考が強い。
 血を吸うってことに抵抗がなくなっている。
 おやつ感覚で逆ハーメンバーの血を吸ってると思われ。
 だいぶ染まってるわー。

 これ、私にも原因があるかも。
 吸血っ子がここまで違和感なく吸血鬼としての意識に覚醒してるのは、人間だった頃との乖離が強すぎるからかも。
 小さい頃から私に鍛えられて、魂をグレードアップさせ続けてきたからねー。
 そりゃ、元の人間だった頃からは変わりすぎちゃって原型とどめてないよねー。
 はっはっは。

 まあ、悪くはない。
 吸血鬼に生まれちゃったからには、吸血鬼として一生過ごさなきゃならないわけだし。
 いつまでも人間としての意識が残ってても邪魔なだけだしね。
 いつぞやのメラみたいに思い悩むくらいなら、すっぱりと吸血鬼としての自覚を持って行動させたほうが何倍もいいでしょ。
 というわけで、もっとやれー。
 吸血っ子の方はこれでよし。

 先生は、どうやら誰かに会うようだ。
 先生の横にはポティマスの操作体がある。
 どうもアナレイト王国とかいう国で何らかの活動を始めるっぽい。
 それがなんなのかは具体的にはわからないけど、ろくなことじゃないのは目に見える。
 監視を強化しなきゃ。
 こっそりと二人のあとを分体に追わせる。
 向かった先は、なんと王城だった。
 先生とポティマスが王城の一室で、二人の子供に会う。

「先生自己紹介されたら自分も名乗るのが礼儀だと思うのですよぉー。そこらへんどうなんですぅー?」
「失礼しました。この国の第4王子、シュレイン・ザガン・アナレイトと申します」
「アナバルド公爵家が長女、カルナティア・セリ・アナバルドと申します」

 うむ。
 転生者なんじゃね? ってマークしようとしてた二人だ。
 先生の方を優先してたから、まだ王城に踏み込めないでいたけど、思わぬところで思わぬ方向に転がって言ってる感じがするわ。
 王城に踏み込めなかった理由は、もう一個あるんだけどね。

「うんうん。王子様と公爵様ですかぁー。いいわぁー。萌えるぅー」
「まさか、岡ちゃん!?」
「先生にちゃん付けはいけませんよぉー?けど正解ですぅー」

 確定。
 あー、王子様と公爵様が転生者かー。
 何その生まれた瞬間勝ち組確定。
 こちとら迷宮生まれの蜘蛛型モンスターよ?
 落差酷くない?

「で、二人の前世の名前を教えて欲しいんですけどぉー?」
「あ、俺は山田俊輔です」
「俺は大島叶多」

 ブフウッ!?
 ゲフッ、ゴフッ!
 思わずむせってしまった。

 何さらしとんのじゃDー!!??

 うぉおい!
 大島くん?
 なんで性転換してんの?
 イヤ、まあ、生まれ変わるんだから性別変わっててもおかしくないけどさー。
 でも、これ、絶対Dわざとやってるよね?

 ええー?
 先生、「萌えるぅ」じゃないです。
 大問題です。
 どうすんのさこれ?
 イヤ、どうもできないけどさー。




 あー。
 大島くんってどういうキャラだったっけ?
 うーん。
 あ、思い出した。
 一回私に告ってきたことあったわ。
 正確に言うと若葉姫色に、だけど。

 その記憶、あんま愉快な記憶じゃないなー。
 大島くん、玉砕すること前提で告ってきてるんだもんなー。
 断ったら「ですよねー」って言ってあっさり引き下がってるし。
 ただ、大島君にとって不幸だったのは、この時点でDに目をつけられたことか。

 正同一性障害、ってわけじゃないんだろうけど、大島くんは異性に対する興味が薄い。
 男子は野獣。
 だっていうのに、大島くんはそういう欲求が薄かった。
 それは、告白されてから後の観察でよくわかった。
 女の子を見る目線が他の男子とは違う。
 そして、そんな自分の異質さを、誰よりも大島くん本人が自覚してたんじゃないかな。

 だから、断られること前提で若葉姫色に告白した。
 女子に告白したって事実を作りたくて。
 かつ、断られることが当たり前の相手に。
 告白したって事実を作れば、女子に興味が持てないっていう異質さを隠すことができる。
 断られれば付き合う必要もないし、逆に好都合。
 ダメ元で告ったけど、やっぱ玉砕しちったー。
 そんなネタにできる。

 やっぱり気分がいいもんじゃない。
 要は本気で好きでもないのに、告白して利用したってことなんだから。
 それがたとえ私じゃなくても、その記憶はちゃんとあるんだから。
 Dも私と同じ気持ちだったのかな?
 だから、ちょっとした嫌がらせのつもりで大島くんの性別を変えたのかも。
 あいつなら、そのくらいやりかねない。

 んー。
 とはいえ、Dが特別視してることは間違いないんだよなー。
 それがおもちゃ扱いだったとしても。
 なんか変なスキル仕込んでてもおかしくないなー。
 厳重監視対象に追加っと。

 それと、もう一人気になるのがいる。
 山田くんの妹だ。
 私がこの国で噂を元に転生者なんじゃないかと目星をつけていたのは三人。
 ほぼ同じ時期に生まれて、天才と称されている三人。
 その二人が転生者だったわけだけど、最後の一人を先生は除外していた。
 多分支配者権限を使って調べたんだろうけど。

 転生者じゃないのに、転生者に匹敵する天才。
 気になる。
 ちょっとその妹ちゃんのことも調べてみようかな。
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