挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
364/496

235 た、助けて!

 吸血っ子に嫉妬のスキル取った理由の確認と、スキルを使うことを禁止させに学園の寮に顔を出した。
 私の対人能力は未だに低いけど、吸血っ子相手だとそこそこ話せる。
 アーグナーの時みたいに丸一日話し合いで終わるなんてことはないはず。
 そう思って、寮の面会室で吸血っ子と対面した。

「なんで私がそんなこと話さなきゃならないの?」

 嫉妬のスキルどうして取得したのか、という問いに、吸血っ子はそう苛立たしげに返答した。
 え?
 イヤ、どうしても知りたいわけじゃないけど、そこまで拒否せんでも良くない?

「用件はそれだけ?」

 困惑していると吸血っ子はそう言って自分の自室に引っ込もうとする。
 んん?
 なんでこんな機嫌悪いの?
 あの日でもあるまいに。
 分体の目から見て、今日はそんな機嫌が悪くなるようなことはなかったはずなんだけど。

 とりあえず、これだけじゃわざわざ会いに来た意味がない。
 スキルを取った理由は気になるけど、どうしても知りたいわけじゃないし、ここは妥協してスキルの使用禁止だけ言い渡しておこう。

「はあ? どうして私がそんな指示を聞かなきゃならないのよ?」

 お、おう。
 今日はホント機嫌悪いね。
 でも、こっちもこればっかりは引き下がるわけにもいかない。

「どうしても、ダメ」
「うるさいわね。私がどんなスキルを使おうが私の自由でしょ?」

 え、ええー?
 マジでどうしちゃったの?
 ここまで反抗されるなんて予想外なんですけど?

 ここは、あれだ。
 最終手段。

「どうしても」

 ちょっと語気を強くして目を開ける。
 途端、吸血っ子がビクッと体を震わせる。
 アーグナーの時に学びました。
 私に細々とした口での交渉なんてムリだと。
 だったら、始めっからこうして脅して、有無を言わせずこっちの命令だけを聞かせればいい。

「わ、わかった」

 うん。
 効果は抜群だ。

「それで終わり? なら戻るから」

 けど、今日の吸血っ子は一味違う。
 私が止めるまもなくさっさと出て行ってしまった。
 しかも、すぐさま自室に戻り、分体を引っ掴んでクローゼットの中に投げ込んだ。
 な、なにをするだー?

 イヤ、ホントなにすんのさ?
 荒れすぎじゃね?

 気づくと私は屋敷に戻っていた。
 道中の記憶がない。
 吸血っ子の態度に、自分でもビックリするほどショックを受けていた。
 どうしよう。
 吸血っ子が反抗期になってしまった。

 誰か、相談できるやつはいないか?
 反抗期の鎮め方なんか私は知らんぞ?
 魔王、却下。
 あのアンポンタンに反抗期の娘の扱いなんて、繊細なことができるとは思えない。
 いくら子、孫沢山だろうと、基本育児放棄してるんだしあてにはできない。

 黒。
 イヤ、あれ妻に尻に敷かれるタイプのダメ親父っぽいしムリっしょ。
 バルト。
 ただでさえ多忙で日々ストレスで死にそうな顔してるのに、これ以上何か負担を増やすと冗談抜きで死にかねない。
 チンピラ。
 吸血っ子をあんなのに見せられるか!
 アーグナー。
 比較的まともそうだけど、あいつまだなんか狙ってるふしがあるしダメ。
 その他の軍団長。
 そもそもそこまでの親交がない。

 あれ?
 こうやって考えると、私ってば頼れるんやつが少なすぎじゃね?
 というか、味方らしい味方が魔王しかいない件。
 さ、寂しくなんかないぞ!

 イヤ、真面目な話、別に交友関係なかろうが普段はどうでもいいんだけど。
 困った。
 相談できるのがいない。
 ふと、Dの顔が思い浮かんだけど、あいつこそ頼っちゃいけない筆頭でしょうよ。
 絶対面白がって事態をさらに悪くするのが目に見える。

 D?
 うん?
 あ!
 いるじゃないか!
 なんでも知ってる偉大なお方が!

 早速転移。
 懐かしの若葉姫色宅へ。

 助けて、○ーグル大先生!

 ふむふむ。
 反抗期は幼児期と青年期の二回あり、それぞれ第一反抗期と第二反抗期と呼ぶ、と。
 幼児期は、とっくに過ぎてるから吸血っ子のは第二反抗期ってことなのかな?
 うーむ。
 肉体的なこと言えばまだギリギリ幼児と言えなくもないけど、中身はもういい大人なはずだしなー。
 けど、それ言ったら中身的には第二反抗期も過ぎてなきゃおかしいんだけどね。

 第二反抗期は、自立心が先立って、親にああしろこうしろと言われることに反抗してしまう。
 むう。
 まさに今の状況とピッタリじゃないか。
 そうか。
 学園っていう新たな環境で私から離れて、一人で自立しかけていたところに、今回の件。
 そりゃ、いきなりスキル使うな、なんて指示だされたら誰だって反抗するか。
 けど、これも吸血っ子のためだ。
 親の心、子知らず。
 自立を応援したくもあるけど、ここは心を鬼にしなければ。

 で、肝心の対処法は?
 なになに?
 一方的に叱る、押さえつけるのは逆効果?
 あ、あかん。
 やってもうたかもしれん。

 イヤ、まだ挽回できる、はず!
 えーと。
 大きな心をもって見守ることが肝心?
 子供の言うことを軽く受け流し、ある程度は放置するのも手の一つ?
 なるほど。
 子供を信用し、本人に任せるってことか。
 そこから自立心を正しい方向で持ち、立派な大人になっていくってことね。
 決定的に間違った時だけ叱って、元の道に戻せばいいのか。
 奥が深いな。

 よし。
 ありがとう、大先生。
 しばらくは吸血っ子の自立心を尊重して、過度な干渉は控えることにしよう。
 うん。
 吸血っ子も人生二回目なんだし、きっと自分で成長してくれる。
 そう信じよう。
 私はそれをただじっと見守っていればいいのだ。
 変な方向に進もうとした時だけ、修正してあげればいいんだよね。

 よーし。
 そうと決まったら、吸血っ子が変なスキル取らないように見守っていこうか。
 変なもの取ろうとしてたら、その都度こっち取れって指示すればいいってことだよ。
 うんうん。
 反抗期、恐るるに足らず!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ