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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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226 暗躍暗躍暗躍

 チンピラインしました。
 蜘蛛が退室しました。

「なっ!? 消えた!? 空間魔法か!?」

 なんか聞こえた気がするけど、きっと気のせい。
 真面目な感じのバルトと違って、見るからにチンピラ風味な男の相手なんかしてられん。
 適当に躱して、帰った頃に戻ればいいや。
 無駄な争いを回避するのも大人の処世術の一つ。
 断じて野郎の見た目にビビッたわけではない。
 ないったらない。

 部屋にこっそり残した分体の目から、男の様子を観察する。
 しばらく立ちすくんでいた男は、部屋の中を軽く物色しだした。
 ベッドの下覗きこんだり、クローゼットの中開けたり。
 イヤ、そんなところに隠れてないから。
 明らかに私が入るはずのないサイズの場所まで探すなや。

 おい、ちょっと、そこは下着入れ!?
 あ、速攻で閉めた。
 おう、すごい真っ赤。
 見た目に反して初心?
 あー、イヤ、硬派な感じだしむしろ見た目通りなのか?

 結局男は私を発見できずに部屋から出ていった。
 ふう。
 私はいないから見つかりようがないけど、分体の方は見つかってもおかしくなかったなー。
 まあ、見つかってもどうとでもできるけどさ。
 すぐに戻るのは危険だから、ほとぼりが冷めるまではどっかで時間潰そう。

 ふむ。
 せっかくだから放置してた案件をやりに行くか。

 異空間を渡って、やってきたのは懐かしのエルロー大迷宮。
 上層と中層の間。
 私が一時期拠点にしてた場所。

 そこにデーンと転がる巨大な物体。
 クイーンタラテクト、の抜け殻。
 私が神化する際に、魂を引っこ抜いちゃったやつ。

 元々は私の並列意思の一つが宿ってたこのクイーンだけど、今は魂がないので仮死状態になってる。
 脳死ならぬ、魂死状態。
 体は生きてるけど、魂が死んでるせいで、生物としては終わってる。

 そのクイーンの体に、分体の要領で微量の魂を注入する。
 ただし、活性化はさせない。
 こんなでかいのを活性化させて動かしちゃうと、エネルギーの消費がバカみたいに跳ね上がる。
 普段は仮死状態にしておいて、使いどころを決めたら活性化させる。
 対黒の戦力としてはあんまり期待できないけど、元はこの世界でも最強クラスの魔物なんだし、黒以外には対処できないと思う。
 まあ、抜け殻に私の力を注いだ感じだから、スキルの恩恵もないし、元の強さとは違っちゃってるけどねー。
 うーん。
 若干弱くなったかな?
 けど、上位の龍種クラスの力はまだあるはずだし、この世界では十分通用するでしょ。

 他のクイーンに関しては、魔王に任せよう。
 他のクイーンは、まだ微かに魂が残ってるはず。
 私が乗っ取りを成功させてたのはこいつともう一体だけで、他はまだ途中だったからね。
 もう一体仮死状態になってる魂死クイーンがいるけど、そっちは遠い上に一度も行ったことがないから転移するのも大変だし。
 しばらくは放置で。
 その他のクイーンは魂死にまでは至ってないはずだから、まだ生きてるはず。
 大幅に弱体化はしてるだろうけど、それでも大質量の生物ってだけで脅威になるだろうし。

 クイーンに関してはこのくらいかな。
 転移で次の場所に移動する。

 やってきたのは森の中。
 分体によって発見した、エルフの森。
 その中央ら辺に存在する、結界の前。

 分体を通して、ある程度調査はしたけど、やっぱり本体で確認しておくべきだと思った。
 ということで、結界をじっくり観察する。
 うん、これ、スキルによるものじゃないね。
 システムが与える力の限界を超えてる。
 ステータスで言えばカンスト間近の魔王でも、この結界を壊すことはできないでしょうね。

 どう考えても、MAエネルギー使って作動させてるよね、この結界。
 でなければ、こんだけの出力の結界を維持できるわけがない。
 黒はどうしてこれを放置してんの?
 うむむむむ。
 わからん。

 今すぐぶっ壊して発生装置だけでも停止させるべきか?
 んー、けど、それやるとなんか世界の情勢がものすごい勢いで動いちゃいそう。
 それは、今の怠惰生か、もとい、準備期間をなくすことにもなりかねないし、あんまり歓迎すべき事態じゃないか。
 千里眼で四方八方から監視されてるし、エルフって敵が多そうだし。
 結界壊れたら袋叩きになるんじゃね?
 まあ、エルフも結界だけが切り札ってわけじゃなさそうだし、逆に返り討ちってパターンもあり得る。
 どっちに転ぼうと、大規模な戦闘が行われるんじゃないかと思う。

 そうなると、戦争の準備を進めている魔王の邪魔をしちゃいかねない。
 今はまだ、魔王の行く道を塞ぐわけにはいかない。
 結果的に死人が多く出れば私の目標は到達できるだろうけど、黒に気取られないように、ギリギリまで魔王の意向に従ってるふりをしないと。

 その黒が放置してるエルフを襲う。
 絶対勘付かれる。
 やめとくのが無難か。

 けど、ここまできて何もしないで帰るのもなー。
 せめて、結界の中がどうなってるのか、分体を潜り込ませることができればいいんだけど。

 周囲を探る。
 いた。

 結界の外にもエルフが少ないながら存在していた。
 外の見回りだと思う。
 その中でも、少人数で動いている連中に狙いをつける。

 3人。
 こっちには気づいていない。
 目を開けて邪眼を開放。
 途端、エルフの3人組は固まったように動かなくなった。
 静止の邪眼を模したもので、私が見た相手の動きを固めてしまう。
 固まった3人組に近づき、口を無理矢理開かせる。

 その口の中に、ピンポン玉くらいの大きさの玉をねじ込み、飲み込ませる。
 これでよし。

 私は3人組から距離をとり、邪眼の効果を解除する。
 3人組は何事もなかったかのように見回りに戻っていった。
 この邪眼のいいところは、効果を受けている間の記憶が一切残らないことだ。
 私が何をしようが、邪眼をかけられている相手は一切抵抗できないし、何をされても覚えていない。
 顔に落書きされても、誰かに指摘されるか、鏡を見るまで気づかない。

 これで、あとはあの3人のうち、誰か一人でも結界の中に入ればいい。
 腹の中の卵が孵化し、結界の中で分体が生まれる。
 そうすればこっちのもの。
 騒ぎになるといけないから、寄生主は殺さないように、寝ているうちに口から這い出そう。
 いい仕事をした私は、満足して屋敷に帰った。
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