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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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教えてD先生! その1

メイドさんの出番はないといったな。
あれは嘘だ。
D「ごきげんよう。みんな大好きDです」
冥「世界のほぼ全てから嫌われているあなたが何を言いますか。というか、私の名前おかしくありませんか? 冥ってなんですか、冥って」
D「冥土さんゆえ仕方ないのです」
冥「何が仕方ないのか意味不明です」
D「細かいことは置いておいて、ここからは新コーナー、教えてD先生! が始まります。この私が世界のありとあらゆる疑問に答えていくという、真理へと至る素晴らしいコーナーです」
冥「いわゆる説明回です」
D「もうすこしオブラートに包めませんか? ぶっちゃけ過ぎだと思います」
冥「遊びに付き合ってる暇はないので。さっさと終わらせて仕事に戻りますよ」
D「隣人がワーカーホリックで困っています。どうすればいいですか?」
冥「働けばいいと思います」
D「しくしく」
冥「無表情で泣き真似しても気持ち悪いだけですのでやめてください」
D「はい、やめました」
冥「……」
D「痛いです。無言で殴らないでください」

D「気を取り直して、記念すべき第一回は、魔術と魔法についてです」
冥「意外とまともな内容ですね」
D「私はふざける時は全力でふざけますが、人にものを教える時は割と真面目ですよ?」
冥「ああ、そういえばうんちくを垂れるのが好きでしたね」
D「うんちくではありません。世界の真理です」
冥「はいはい。それは良かったですねー」
D「隣人の性格が悪くて困っています。どうすればいいですか?」
冥「そのまま困ってればいいと思います」
D「しくし……」
冥「しつこい」
D「だからといって殴って止めるのはどうかと思います」
冥「はいはい。痛かったですねー。これ以上痛い思いしないように真面目にやりましょうねー?」
D「仕方ありません。真面目にやりましょう」
冥「初めからそうすればいいのです」

D「まず、魔術と魔法の違いは何かというと、厳密にはどちらも同じものです」
冥「というと?」
D「魔術の中でもシステムの補助を受けたもの、これを魔法と呼びます」
冥「つまり、魔法も魔術の一種であるということですね」
D「そうなります。魔法に限らず、スキルなどの力はほぼ魔術によるものです。魔術という大きな枠組みの中に、魔法という小さな枠組みがあると思ってください。システムによって魔術の発動を簡略化し、扱いやすいようにしたものが魔法です。魔術が自分の力だけで一から十まで全て完成させなければならないところを、魔法は一と十だけで発動が可能になっています」
冥「便利ですね」
D「便利です。尤も、システムの恩恵がなければ使用できないので、限られた状況でしか活かせませんが」
冥「ちなみに、一と十はなんですか?」
D「選択と発動です。使う魔術を選択する、発動させる。これだけです」
冥「お手軽ですね」
D「魔術の場合、選択、起動、把握、構築、接続、注入、飽和、変化、発動。この九種が基本となり、残りの一枠は使い手によって変動します。起動は自身の魔力を制御する、準備段階です。把握は魔術を構築する下地を認識すること。構築が一番重要で、魔術の基を作り上げる作業となります。接続は作り上げた魔術の基をつなぎ合わせる作業。そうして完成した魔術回路に、魔力を注入します。そして、満たします。これで発動の準備が整いました。ここから状況を見て変化させたりしますが、そのままでも発動はできます。この一連の流れは、本編103話でしていますね。魔導の極みのおかげでやたら細かいところまでこなしていますが、実はシステムの補助が働いているうちは、魔力感知と魔力操作と魔法スキルさえ持っていれば、あとはスキルレベルに応じて自動で魔法を発動させてくれていたりします。まあ、ちゃんとした魔術の発動の仕方をこの段階で理解していたからこそ、後々見て覚えるなんてシステム内では考えもつかないような方法で魔法を覚えることができたのでしょうけれどね」
冥「基本十種の残りの一種は、記憶やら停止やら複製やら、流派によって変わってきます」
D「基本十種のうち、手馴れた魔術師なんかは工程を飛ばしたり、同時進行したりしますね。蜘蛛は起動から接続までをほぼセットで行い、注入から発動までもかなり短縮しています。本人は魔導の極みのおかげだと思っていますし、最初は確かにそうだったのですが、神化した今は自分自身の力のみでシステムの補助と同等以上の速度で魔術を発動させています。神なら驚く程のことではありませんが、魔術の魔の字も知らなかった蜘蛛がそんなことをしているのは異常ですね」
冥「それもあなたの魂が混じったからでしょうに」
D「それなんですが、私の魂なんてほとんど混じってませんよ?」
冥「そうなんですか?」
D「そうなんです。確かにちょっとだけ混じりましたが、影響はごく小さなものです。蜘蛛並みの魂が人並みになったのは大きいでしょうが、その他はスキルの適正が多少上がった程度で、本人が思い込んでいるほど多大な影響があったわけではありません」
冥「では、あれはほとんどが本人の資質だと?」
D「そうとも言えますし、そうでないとも言えますね」
冥「なんですか、その煮え切らない答えは?」
D「本人にスキルの適性があったのは事実ですが、あそこまで規格外な存在になったのは傲慢のスキルの影響が大きいでしょう」
冥「ああ、確か成長しやすくなるという微妙な効果のスキルですね」
D「効果の説明だけ聞くと、他の七大罪系スキルや七美徳系スキルに劣るように見えますが、実際は一番とんでもないスキルなんですがね。あのスキル、要は無理矢理魂の上限を引き上げるスキルですから」
冥「なんですか、それは? 普通そんなことされたら魂が悲鳴あげて最悪消滅しませんか?」
D「しますね。急激な成長は歪みを生みますので、傲慢のスキルに食いつぶされていてもおかしくありませんでした。それを、あの蜘蛛は歪みもなくついて行った。傲慢と本人の資質が合わさり、異例の大躍進を遂げたのでしょう」
冥「やはりあなたの魂が影響しているのでは?」
D「ないとは言いませんが、微々たるものでしょう。さて、横道に逸れてしまいましたが、そろそろお時間となりましたので、今回はお開きとなります。次回の開催をお楽しみに」
冥「では、仕事に戻りましょう」
D「しくし……」
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