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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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魔王と管理者の定時報告

白織神化初日の深夜

[聞こえるか?]
[およ?黒ちゃん?]
[聞こえているようだな。やはりあれの見張りができないといろいろ不安なのでな。この時間に毎日連絡をしようと思うのだが大丈夫か?]
[ああ、いいよいいよー。お互い連絡取り合ってたほうがよさそうだしねー]
[それで、あれは別れたあと妙なことはしていないだろうな?]
[あー]
[まさか、したのか?]
[あー、うん。したっちゃした、かなー?]
[何をした!?言え!]
[ああ、うん。ちょっと説明し始めたら長いんだけど、黙って聞いててね?]

 魔王説明中……。

[つまり、エルフと神言教の手のものに誘拐ないし殺害されそうになっていた転生者を保護したと]
[そういうことになるねー]
[少々意外だな。あれは自分以外にはなんの興味も示さない自己完結型だと思っていたが]
[白ちゃんはいい子だよー?普段の行いが支離滅裂でわかりにくいけど]
[その普段の行いが問題なのだ]
[ですよねー]
[今回の件はわかった。むしろよくやった。エルフと神言教については私の方から接触しておこう]
[頼める?]
[ああ。尤も、色よい返事が返ってくるとは思えんがな]
[だよねー]
[一応釘は刺しておくが、それでどうにかなるとは思えん。そちらでも警戒は続けてくれ]
[了解]
[では、今日のところはこれで。また明日同じ時間に連絡をよこす]
[はいはーい]



1年後、とある日の定時報告

[またあれは酒を飲んでやらかしたのか?]
[うん。宿屋が吹っ飛んだ]
[まったく。どうしてそんな事態になるのだ?]
[イヤー、この件に関しては白ちゃんに酒の味を覚えさせちゃった黒ちゃんにも責任があると思うんだ]
[む。しかし、それならば酒を取り上げれば済むのではないか?]
[そんな恐ろしいことを私にしろと?白ちゃんは殺してでも奪い取るを迷わず選択すると思うんだけど、いかに?]
[そうだな。あれはそういう奴だな]
[でしょ?私は身の安全を確保するためにも酒を与え続けるしかないのだよ]
[せめて周囲の被害を抑える努力はしてくれ]
[まあ、目立ちたくはないしそれくらいはするよ]
[頼んだぞ]



2年後、とある日の定時報告

[それで、そのトランプはどうしたのだ?]
[私が責任を持って預かってる]
[そうか。しかし、それが本物だとすると、Dのところに行ったということか]
[でしょうね。時々フラッとどこかに消えてることはあったけど、まさかDのところだったとは]
[何を企んでいるのか]
[何も考えてないに1票]
[それもあり得るが、会いに行っているのがあのDだ。油断はできんな]
[前から気になってたんだけど、Dってそんなにすごいの?]
[そうだな。Dと私の力関係を端的に表すならば、天地がひっくり返っても私に勝ち目はない、とだけ言っておこう]
[そんなに?]
[ああ。どうあがいたところであの方が動くならば、私にはどうすることもできない。そういうお方だ]
[怖いね]
[だが、あの方が動くことはそうそうない。ある条件を満たさなければな]
[何その条件って?]
[眷属を害されること]
[うぇ?]
[Dは眷属やそれに類するものが害されることを許さない。それをした相手には必ず報いを受けさせる。Dがあの時あれのことを眷属にすると宣言したのは、私への牽制の意味合いが強い。純粋にあれのことを気に入ったというのもあるだろうがな]
[ああ、なるほど]
[私としてはあれに手を出すつもりはなかったのだが、保険だろうな。今後あれがどういう道に進むのか、それによっては私と敵対することも十分あり得るのだから]
[その時はどうするつもり?]
[無論、私は私の道を行く。たとえその後、Dに消されることになろうともな]
[この堅物め]
[自覚はある]
[とりあえず、1回こっちに合流できない?もしかしたら黒ちゃんならトランプの呪いも解けるかもしれないし。というかこんな危険物持ってたくないから黒ちゃんに預かっててもらいたいんだけど]
[わかった。手が空いた時に合流しよう]



3年後、とある日の定時報告

[また死んだ施設が見つかった]
[これで何件目だっけ?]
[生きている施設が2。死んだ施設は7だ]
[これまでの私たちの目がザルだったのか、巧妙に隠した当時の連中が優秀だったのか]
[両方だろう。死んだ施設はまだしも、生きている施設が例の場所を含めて3つだ。私の落ち度は言い逃れできない]
[この件に関しては黒ちゃん1人の責任ってわけでもないけどね。システム稼働後にそういった施設は私たちも潰してまわってたんだから]
[あるいは、そういった動きがあるからこそ、隠蔽工作も念入りにされたのかもしれんな]
[それ、システム稼働後にも施設が作られてたってこと?]
[可能性の話だ。限りなくありえる可能性のな]
[やるせないね]
[ああ]
[そっちの作業は後どのくらいで完了しそうなの?]
[できればあと3年以内には終わらせたいところだが、念入りに調査を進めていきたいからあまり急ぎすぎるのも考えものだ]
[そうだね。わかった。年月をかけてもいいから今度こそ稼働している施設を全部見つけて]
[無論、そのつもりだ]
[回収したコアは?]
[コアのエネルギーはゆっくり世界に還元させている。急激に元に戻すと危険だからな]
[そっか。どっかの誰かはそれをいきなり吸収して神になったりしたけどねー]
[そんな真似ができるのはあれだけだ。私でもそんなことはできん。それができるならばこの世界には少なくともあと3人は神が誕生していただろう]
[だよねー。そんな簡単に神になれるならポティマスなんかはとっくの昔に神になってそうだし]
[実際奴はそれを試して失敗したからこそ今のような状態になっているのだがな]
[そのまま死んでおけばよかったのにね]
[正論だ]
[しっかし、白ちゃんはなんでそんな無茶なことができたんだろうね?]
[さてな。普通はできないことだが、あれは色々と特殊ゆえ私にも理由は分からぬ。あのような真似は神の中でもひと握りの存在しかできないはずだが]
[白ちゃんが規格外って事?]
[わずか1年と少しで神に至ったものが規格に収まっているとでも?]
[ないね]
[そのような特殊な才能がDに見込まれた所以やもしれぬな]
[あと、飽きさせない性格とか。トラブルメイカーとか]
[それもあるだろうな]
[これから魔族領に突入するけど、トラブルの予感しかしないぜ]
[手綱はしっかりと握っておけ]
[それができたら苦労はしないって]
[確かにな]
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