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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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血5 生存戦略

 自分が吸血鬼であるということを知ってからの私の行動は早かった。
 貴族だし、見た目も多分美形になるし、人生勝ち組だと思ってたのが一転、いきなり崖っぷちに立たされたのだもの。
 何とかして私が吸血鬼であるということを隠さなきゃならない。

 そのためにも、今まであまり気にしてこなかったスキルというものを考え直さなくちゃならない。
 魔法には多少の憧れがあったから少し練習したけど、それ以外のスキルにはあまり興味がなかった。
 便利そうなものがあればとってもいいかなー、程度で。
 貴族に生まれたんだし、スキルとかなくても生きていけそうだったし。

 けど、そんなことは言っていられなくなった。
 何とかして私が吸血鬼であるということを誤魔化せるスキルを取得しなきゃいけない。
 鑑定がスキルとしてあるんだから、その鑑定を妨害するようなスキルがあるはず。

 問題は、そのスキルをどうやって取得するのかってこと。
 鑑定を取得した時みたいにスキルポイントを消費して取得できないかどうか試してみたけど、できなかった。
 どうもこの方法だと、ちゃんとしたスキルの名称を言い当てないと神様は反応してくれないらしい。

 けど、スキルの名前なんかわからない。
 鑑定妨害とか、単に妨害とかいろいろ試してみたけど、ヒットはなかった。
 スキルの名前から調べないとならない。
 とにかく、情報が欲しい。

 そのためにも本がいる。
 従者とかの会話を盗み聞いても、大した情報は得られない。
 蜘蛛の話題ばっかで。
 そっちの方も気にならないかと言われると気になるけど、今はそれどころじゃない。
 時事ネタを拾うには会話の盗み聞きもいいけど、知識を得るのなら本に頼ったほうがいい。

 私はそう方針を固め、夜中のみんなが寝静まった時間に活動をすることにした。
 昼間だと従者がつきっきりで妙な行動は起こせない。
 けど、元々夜型の私なら、夜のうちにコソコソするのもお手の物。
 睡眠耐性のスキルも地味に効いてる。

 思えば、私が夜型だったのは吸血鬼だったからなのね。
 そう思って振り返ってみると、昼間は意識がフワフワして怠かったし、盗賊の死体を見て喉が鳴ったり、思い当たる節は結構ある。
 ただ、私は生まれてから血なんて飲んだこともないし、日光を浴びても灰にはならない。
 こっちの世界の吸血鬼と、地球の吸血鬼では生態が違うのかしら?
 もし、吸血鬼に関する本があれば、それも読まなきゃね。

 私は部屋からこっそりと抜け出す。
 人前では披露したことはないけど、私はもう立って歩くこともできる。
 鍵のついてないドアを開けることなんて造作もない。

 大きな屋敷だから書斎がどこにあるのか私は知らない。
 加えて、夜の警備のため、全員が全員寝てるわけじゃない。
 こっそりと、見つからないように移動する。
 1部屋ずつ慎重に確認して回って、目的の書斎を探す。
 体力的に辛くなってきたら引き返して、部屋に戻ってなに食わぬ顔で眠る。
 それを数日繰り返した。

 そんなことを数日続けていたおかげで、「隠密」なるスキルを獲得した。
 気配が薄くなるとかそういう類のスキルかしら?
 今の状況だと非常にありがたい。
 他にも「暗視」のスキルがレベル3にまで上昇。
 生まれながらなのか、それとも気付かなかっただけか、どっちかはわからないけれど暗視はもともと持っていたらしい。

 そして、ようやく目的の書斎を探し当てた。
 そこからは毎日書斎に通い続けて本を読みあさった。
 初めは文字が読めなくて苦労したけど、自分の命がかかっていると思えばやる気は出た。
 まるで暗号のように見える文字の法則を1から解読していったらとんでもない時間がかかったでしょうけど、幸い書斎には子供向けの本も置かれていて、そこから割と簡単にこの世界の文字を覚えることができた。
 結構古めの絵本なので、もしかしたら父が子供の頃に読んでいたものなのかもしれない。
 内容も男の子向けのものが多かったし。

 そうして、文字を覚えている間に、暗視のレベルは6に、睡眠耐性がレベル2に。
 隠密のレベルは3になり、新しく無音と気配感知いうスキルも覚えた。
 着実に暗殺者っぽいスキルが集まっているわ。

 そこからは本を片っ端から読みあさることにした。
 この世界の本ってタイトルが書いてなかったりするのよ。
 そのせいでパッと見はなんの本なのかよくわからない。
 目的の本が見つかるまで、とにかく読み進めていくしかなかった。

 そのおかげか、集中、記憶、演算処理、並列思考というスキルも獲得した。
 赤ん坊のうちからこれだけの数のスキルを持っているのは、どう考えてもおかしいわよね?
 これ、やっちゃった感があるわね。
 けど、生き残るためには仕方ないのよ。
 鑑定の儀で吸血鬼であるということさえ隠し通せれば、多少悪目立ちすることくらい我慢しなくちゃ。

 そうして、日々昼間は適当に過ごし、夜書斎にこもる生活を続けていた。
 蜘蛛の騒動のせいで最近うちに泊まるどこぞのお偉いさんが多くなってきたせいで、書斎にたどり着くのが難しくなってきている。
 人口が増えればその分見つかる危険も増す。
 時には書斎にたどり着くのを諦めて引き返さなきゃならない時もあった。
 なんてはた迷惑な蜘蛛だろう。

 けど、最近どうもあの蜘蛛のことが気にかかる。
 行動がなんというか人臭いというか。
 盗賊は容赦なく壊滅させたりするのに、街の住民には治療を施したり。
 母は聖獣様だと言っているけど、実物を見た私からすると、邪悪な魔物に人の意思が宿ったかのような感覚がする。

 まさかとは思うけど、あれ、私と同じ転生者じゃないでしょうね?
 まさかね。
 いくらなんでもそれは妄想が飛躍しすぎてるわよね。

《熟練度が一定に達しました。スキル『予測LV1』を獲得しました》
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