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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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203 人外魔境

「やあやあ。新生魔王少女アリエルちゃん参上!」





 おい、誰か突っ込んでやれよ。
 スマホ、無言。
 ギュリギュリ、そっと目を背ける。
 私、見なかったことにしよう。

「あれ?すべった?」

 はい。
 大ゴケです。

 やっべー、これ、やっべーっすわ。
 魔王様ちょっと予想以上に残念なことになってんですけど、どう責任取るつもりっすか?
 私?
 ノーノーノー。
 私関係ないよー。
 無罪だよ。

「おい、どうするのだあれは?」

 ギュリギュリさん、私に聞かないでおくれ。
 そしてD、なんか言え。

「あれ?どうしてかな?なんか登場しただけですごい失礼な扱いされてる気がするぞ?」

 シーン。

「もういい。もう喋るな。貴様が喋るだけで私の中の何かが悲しみを訴えてくる」
「酷くね!?」
「酷いのは貴様だ!」

 膝からがっくりと脱力し、orzしだすギュリギュリ。
 ちょっとマジで泣いてない?
 まあ、旧知の仲の子がこんな残念な感じに変貌してしまったら、ねえ。
 気持ちはわからなくもない。

 1人うんうんと納得していると、復活したギュリギュリが頭を鷲掴みにしてくる。
 ちょ、痛い痛い!?

「元はといえば貴様のしでかしたことだろう?この責任、どう取るつもりだ?」

 ギブギブ!
 責任ったってどうにもできないって!?

「いや、ギュリエなにげに今の私のこと全否定してない?」
「そんなことはない。ただ予想以上の残念さ加減に少し取り乱しただけだ」
「もうちょっとオブラートに包んでくれると嬉しいんだけど?」
「オブラートに包んだ結果が今の言だ」
「酷くね!?」

 ポイッと捨てられる私。
 グフッ!
 思いっきり顔面擦った。
 痛え。
 あー、自動回復しないから手動で回復しなきゃ。

「で?貴様は何をしに来たのだ?」
「いやー、そこの蜘蛛ちゃんと仲直りしようかなーと」

 へ?
 ああ、そういえば前会った時に共闘がどうのって話してたっけ。
 あー、あれはエルロー大迷宮にいたクイーンとしての記憶か。
 あの時は神化が始まっちゃったから中途半端に魔王との会話が終わっちゃったからなー。

 あれ?
 そういえばなんで魔王がここにいるんだろう?
 エルロー大迷宮からこの地下施設まではだいぶ距離があったはずだけど。
 転移でも覚えたのかな?
 あ、あのあとクイーンの体がどうなったのかも気になるなー。

「あー。半分同じものだったとはいえ、こうして実物と相対してみると、何考えてんだかわかんないわ」

 失礼な。
 私は常に色々と難しい考察を重ねているのだよ。

『蜘蛛の思考その1、どうして魔王がここにいるんだろう?』

 おおい!?
 D、あんたホントに私の心読めてないんでしょうね!?
 ホントは読めてるんじゃねーのかこれ!?

「ん?どういうこと?」
『蜘蛛の主観ではエルロー大迷宮でクイーン体として会話をしたのが最後ですが、その後目覚めたら遠く離れたここに魔王が現れたのが不思議なようです』
「え?ああ。目覚めたばっかなんだ」
「ああ。ついさっきな」
「蜘蛛ちゃん、私がエルロー大迷宮でクイーンと会話したのはもう47日前だよ?」

 なんですと?
 マジで?
 ということは、神化にそれだけ時間がかかったってこと?
 おう。
 進化の比じゃねえ。

「ところで、こうやって私が会話をするのは初めてですね。初めまして、D様、今代の魔王を務めさせていただいておりますアリエルと申します」
『初めまして。もっとも、2度目があるかはわかりませんが』

 うん?
 魔王とDって会ったことなかったの?

『思考その2、クイーンの体はどうなったんだろう?思考その3、Dと魔王は初対面だったのか?』

 うん。
 あんた絶対思考読めてるだろ?

「そうだねー。クイーンはあのあと一応生きてるよ。ただし魂の抜け殻みたいなものだから、生きてるだけって感じだけどね。代替となる魂でもぶっ込めば使えるんじゃない?」

 ほう。
 てっきり死んじゃうもんだと思ってたけど、生きてるのか。

「この星でDと出会ったことがあるのは私だけだ。サリエルですら出会ったことはない」
『ちなみにその時の彼は生まれたての子鹿のように震えておりました』

 ギュリギュリが顔をしかめる。
 ということは、マジなのか。

「私のような下位の神では、あなたのような高位の神と対面する機会もそうあるものではないのですよ」

 え、Dってマジもんでかなり偉い神様なの?
 てっきり頭イカレタパッパラパー狂神かと思ってた。

『天誅』

 ゴハッ!?
 ぐおおおおぉぉぉぉ。
 何されたのかは不明だけど、とんでもないダメージを受けたことは確実。
 超痛い。
 どこがって言われてもどこが痛いのかわかんなくて困るけど、どっかが超痛い。
 何これ?
 これが神の攻撃ってやつか。
 お、恐ろしい。

「なんでこの娘は突然のたうちまわってるの?」
『頭が残念なパッパラパーだから仕方がないのです』

 おい。
 何納得した顔してんのさ残念魔王。

「話が全く進まんな」
「そうだね。そろそろ真面目な話がしたいんだけど、蜘蛛ちゃん的には私と仲直りしてくれない?」

 イヤイヤ。
 できればそれでOKですとも。
 元々私が魔王に喧嘩売ったのは、いずれ眷属支配のスキルで支配されるかもしれないって考えたからだし。
 外道無効があったけど、精神に変化がある程度には影響があったしね。
 神化して魂の繋がりが完全になくなった上、力でも私のほうが上回った今、無理して争おうとは思わない。
 というわけで、首を縦に振って肯定する。

「イエスってことね。じゃあ、もう1歩踏み込んで、私と共闘する気はない?」

 あー。
 クイーンとの会話でそんなこと言ってたよね。
 そうだね。

 それには首を横に振る。
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