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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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23 調子に乗りましたごめんなさい許してください!

 今日も今日とてゲジ狩りに精を出す。
 いやー。
 ゲジ天国ですな!
 見た目キモいのに目をつぶれば最高の獲物っすな。
 ま、そんなもん気にするような繊細な神経してないし、今はあのワサワサした姿に愛着がわきそうよ。
 ゲジ最高!

 麻痺耐性も3レベルに上がったし、そろそろ私のレベルも8に上がるんじゃないかな?
 まったく、ゲジ様様ですわ。

 さっき思い切って2匹同時に襲ってみたんだけど、割とあっさり勝つことができた。
 1匹目を奇襲で拘束して、2匹目とガチバトル。
 改めて普通に戦ってみると、ゲジは意外と素早いことがわかった。
 まあ、私ほどじゃないけどね。
 それに、どうもゲジは攻撃手段が噛み付きしかないっぽい。
 多分その噛み付きに麻痺が付いてるんだと思うけど、当たらなければどうということはないよねー。
 噛み付きにさえ警戒してればあとは余裕だった。
 私より種族的に弱い魔物を初めて見たよ。

 そういうわけで、奇襲でも、正面切ってもゲジには負けないことがわかった。
 ふひゃははは!
 私TUEEEEE状態。
 笑いが止まりませんな。

 あと、ゲジは手軽に食べられるのもいいね。
 見た目ワサワサしててボリュームありそうに見えるけど、実際食べてみると身は案外少ない。
 1匹じゃ小腹を満たすくらいで、満腹にはならない。
 だから乱獲しても残さず食べ切ることができる。
 もったいないの精神を持つ私にとって、お残しは許されざる罪だ。
 だから残さず食べきれるゲジはとてもいい。

 いたれりつくせりとはまさにこのこと。
 ゲジは私に狩られるために生まれてきたかのようじゃないか!
 うえへへへ。
 マイホームから出て今まで、結構危ない橋を渡りまくってきたんだし、たまにはこういう楽しても罰は当たらないよねー。



 鼻歌交じりに探索探索。
 まあ、頭の中で音楽流してるだけで、実際に鼻歌なんかでないんだけどね。
 むしろ私の鼻ってどこよ?
 まあ、気にしなーい。

 お?
 道が途切れてる?
 けど、行き止まりじゃないっぽい。

 この迷路、とんでもなく広い上に、行き止まりというものがない。
 今まで進む道は必ずずっと続いていて、袋小路というものがなかった。
 逃げる時とかは追い詰められるってことがないから良さそうだけど、全部の道がこんなふうにずっと続いてるのかと思うと、どんだけ広いんだよって溜め息を吐きたくなる。

 もしかしてこの世界は、このダンジョンがすべての地下世界なんじゃないか、とか考えちゃうわ。
 それはない、と思いたいけど、実際私はこのダンジョンから出たことがないし、外の景色を見たこともない。
 真面目にその説もあり得るかもしれない。

 仮に外の世界がちゃんとあったとしても、下手すれば私はこのダンジョンで一生を終えるかもしれないしね。
 その時はできれば寿命で天寿を全うしたいところだけど、その前に死ぬ確率の方が高そう。
 そもそも前にも思ったけど、私の寿命ってどんくらいなんだろ?
 大きさから考えて、犬と同じくらいは生きられるかな?
 できれば前世と同じかそれ以上長生きしたいとこだけど。

 ま、益体もない考えは置いとこう。

 目の前の道の途切れは、どうやら崖っぽくなってるっぽい。
 途切れた道の奥に、広い空間が見える。
 これは、ついにこの狭い迷路ゾーンを抜けたのかな?
 となると、次はどんなところだろう?
 できれば私が生まれた巨大通路ゾーンみたいな、死ぬの前提の高難易度の場所は遠慮したいなー。
 共食いに巨大蜘蛛に魔物の大群に。
 あそこにいたら命がいくつあっても足りない。

 さて、この先はどうなってるのかな?
 チラッと崖の淵に立って下を覗き込んでみる。

『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』
『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』
『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』
『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』
『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』
『エルローフェレクト LV2 ステータスの鑑定に失敗しました』×いっぱい。

《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV4』が『鑑定LV5』になりました》

 うぐえ!
 頭痛い!
 鑑定の情報がドバっと流れ込んできて、頭をぶん殴られたみたいな衝撃が来た。
 うおあ、一瞬意識が飛びかけた。
 危ない危ない。
 そっか、鑑定って、一度にやりすぎると、情報量が多すぎて頭が痛くなるのか。
 気を失いかけるとか相当だよね。

 ………、気を失いかけるほどの、情報量?

 ソローっと崖下を見る。
 崖下って言っても1メートルくらいしかない。
 そのすぐ足元に、広々とした空間が広がっている。
 けど、広いはずの空間が、そうとは感じられなかった。
 そこを埋め尽くすように、ゲジが溢れかえっていた。

 ほうあ!?

 なにこれなにこれなにこれ!?
 見渡す限り、ゲジゲジゲジゲジゲジゲジ!
 うっわ、これはさすがに気持ち悪いわ。
 キモいじゃなくて気持ち悪いわ。

 あれれ?
 ゲジさんたち、何を見てるのかな?
 私?
 私見ても何もいいことないよ?

 …。
 逃げよう。
 私は今、風になる!
 反転して来た道を逆走。

 ガサガサガサガサガサガガサガサガサ!!!

 ひいぃぃぃぃ!?
 追っかけて来たー!?
 ごめんなさい調子ぶっこきました!
 だから許してマジムリです!

 黄色のスタミナゲージがなくなる。
 うぐ、苦しい。
 けど、今止まったら死ぬ!
 死なないために死ぬ気で走れ私!
 黄色ゲージの代わりに赤ゲージがゆっくり減り始める。

 結局、私は赤ゲージが半分を切るくらいまで走り続けて、ようやくゲジ軍団を撒くことができた。
 あー、死ぬかと思った。
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