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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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179 暴食の魔王

 魔王が地龍を追いかける。
 地龍たちはその追跡を妨害する。 
 魔王は9体の地龍が発生させた結界をぶち破りながら、追いかける。
 地龍は破壊された結界を再構築し、9体で絶妙なローテーションを組んで魔王の足止めをする。

 一見互角に見える攻防だけど、結果は決まっている。
 この勝負、地龍たちに勝ち目はない。
 だからこその完全な足止め。
 時間稼ぎ。
 そして、遠回りな自殺。

 地龍も強い。
 特に、念話で魔王と話をしていたリーダーと思われる個体はとんでもない強さだ。
 ステータスの数値が全種約18000。
 魔王の鑑定スキルを勝手に使って見てみた結果だ。
 私が見た魔物の中でダントツの強さを誇っている。

 残りの8体も強い。
 なんて言ったって、8体中5体はステータスの平均が万超えの大物。
 残りの3体も一部は万を超えるステータスがあるし、弱くはない。
 一番弱い個体でも平均ステータスが7000くらいだもん。
 これを弱いというのはねえ?
 それでも勝ち目がないのだ。
 この魔王には。

 9体の地龍のうち、神龍結界のスキルを持っているのは6体。
 残りの3体はその劣化スキルである龍結界しか持っていない。
 なので、この6体が中心になって魔王包囲の結界を担当している。
 ぶっちゃけ、威力の低い龍結界では魔王の足止めにもならないのだ。

 神龍結界を持たない3体の役割は、土魔法によって壁を作成すること。
 これで少しでも魔王の足を止めようとしている。
 けど、効果のほどはあまり芳しくない。
 魔王は生成される土の壁をいとも容易く貫き、突き進んで行くからだ。

 何このデタラメな生物は?
 人の姿してるけど、完全に化物だよね?
 女○ーミネーター?
 中身は金属で出来てても驚かないわ。
 そんなのに追われる地龍ズの今の気持ちを思うと、南ー無ー。

 それから、さっきから気になってるんだけど、この人のMPとかSPってどうなってんの?
 ステータスに表記された数字はバカみたいな高さだけど、プラスアルファでストック分が追加されている。
 私の本体も持ってる飽食のスキル、多分その最終進化のユニークスキル暴食。
 その効果によって、魔王のHPMPSPはとんでもない数値のプラスストックがある。
 何さ、プラス99999って?
 どうあがいてもそんな数値削れるわけ無いでしょ?

 けど、私が気になったのはそういうことじゃない。
 彼女のSPが全く減らないのだ。
 それどころか、増えてさえいる。
 HPやMPなら自動回復のスキルがあるから不思議じゃない。
 けど、SPは普通食事でしか回復しないはず。

 その秘密は、魔王が口を動かすたびにSPが回復しているからだ。
 魔王が何かを齧るかのように口を動かすと、地龍たちの結界の一部が消し飛ぶ。
 消し飛ぶ、というよりかは、削り取られるといったほうがいいか。
 そして彼女はモグモグ。
 ゴクリと飲み込むたびに、SPが回復する。
 その種は、暴食の効果にある。

『暴食:神へと至らんとするn%の力。全てのものを捕食可能になり、純粋エネルギーとしてストックすることができる。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』

『暴食の支配者:取得スキル「富天LV1」「昇華」:取得条件:「暴食」の獲得:効果:HP、MP、SPの各能力上昇。ステータス強化系スキルの熟練度に+補正。支配者階級特権を獲得:説明:暴食を支配せしものに贈られる称号』

 つまり、魔王は暴食の効果を使用し、地龍の結界を食っているのだ。
 そしてそれをエネルギーに変換し、さらにSPに還元しているのだ。

 大罪系のスキルはどれもこれもぶっ壊れ性能だけど、その中でもこと戦闘に関して言えばこの暴食はとんでもなくやばい。
 なんせ、擬似的な永久機関と同じようなもんなのだから。

 焦った一番弱い地龍がブレスを放つ。
 全てを破壊するかのような威力のブレス。
 相手が魔王でなければ、その攻撃はきっと有効だっただろう。
 相手が暴食の魔王でなければ。

 魔王が口を開く。
 地龍のブレスが魔王の口の中に吸い込まれていく。
 咀嚼。
 そして、何事もなかったかのように飲み込む。

 全てを食らうとはこういうことだ。
 私の飽食とはスキルとしての次元が違う。
 食べ物だけではなく、石でも土でも金属でも食い、相手の攻撃さえ食い物にする。
 それらを全て己のエネルギーとし、還元できる。
 それが、暴食の力。

 攻防一体どころか、継戦能力すら補う最悪の能力。
 純粋な戦闘能力としてみるならば、私の傲慢よりも恐ろしいスキルだ。

 魔王と地龍の鬼ごっこが再開される。
 神龍結界のおかげで時間稼ぎはできる。
 暴食のスキルを持ってしても、神龍結界は早々に打ち破れるものではない。
 けど、結界を維持し、壊されるたびに修復する地龍はどんどん消耗していく。
 それに対して魔王は食えば食うほど回復していく。
 そんなチート相手に勝ち目なんてあるはずがない。

 大体からして、元のステータスが違いすぎる。
 地龍は強い。
 その地龍でさえ霞むほどの恐ろしいステータス。
 平均90000近くという、バカみたいなステータス。

 魔王の操る糸が食い破られた結界の隙間を通って地龍の1匹に絡みつく。
 その地龍は、最もステータスの低い個体。
 糸が狙っていたのは、最もステータスの高い個体だった。
 それを庇うように、自ら糸の前に躍り出た。

 糸は容赦なく地龍の命を奪う。
 この場では最弱とはいえ、この迷宮の中でも屈指の実力者であろう地龍を、いとも容易く。
 残りの地龍は、8体。
 彼らは勝ち目のない戦いになおも挑む。

 ごめん。
 多分君らが頑張ってる間に魔王を乗っ取るのはムリそう。
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