挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

212/529

163 我を崇めよ、我を讃えよ

 なぜこうなったし。
 私の目には、ホームの前で祈る人たちが映る。
 中にはお供え物を置いている人もいたりする。
 中身は甘味が多い。

 なんか崇められてます。
 もう扱いは土地神的な。
 なぜこうなったし。



 順を追ってくと、まず盗賊狩りがいけなかった。
 この近辺の盗賊はあらかた狩り尽くしたんだけど、その時に偶然にも冒険者にかち合っちゃったことがあった。
 盗賊退治の依頼でもあったんだと思う。
 もうね、私が盗賊狩りしてるのバッチリ見られちゃったよ。
 おかげで冒険者の間であそこに居る蜘蛛の魔物は盗賊を倒すっていう噂が広まっちゃったんだと思う。

 私は街に密かに細い糸を忍ばせてる。
 この糸、目にはほとんど見えないくらいの細さなんだけど、頑丈で切れにくい。
 この糸を伝って街の音なんかを糸電話の要領で拾ったりしてる。
 いっぱい会話を聞いてればそのうちこっちの世界の言語とかわかんないかなーと思って始めてみた。
 まあ、まだ全然わからんけどね。

 で、その糸から伝わって来る会話の中にやたらと頻繁に出てくる単語があった。
 主に冒険者とか兵士の皆さんがこっちの方向を見ながら言ってるやつが。
 多分その単語が私のことを指してるんだと思う。
 聞いてるとどうも盗賊狩りを目撃されて以降、妙な尊敬というか、信仰みたいな感情を抱かれ始めてるっぽかった。
 この時点でやばいなーと思ってた。

 さらに追い討ちをかける形で、とある冒険者一行が街を訪れた。
 なーんか見覚えがあると思ったら、迷宮で蛇に襲われてるところを助けた連中だった。
 街の近くにでかい蜘蛛の巣があるって言うんで見に来た、な感じで私のところまで来たわけよ。
 私あの時から進化して姿多少変わってるはずなんだけど、どうも冒険者たちは私だって認識したっぽい。
 感謝の言葉っぽいのをひとしきり言ったあと、あの時私が掻払っていったクリクタの実をまたくれた。
 喜んでもらいましたとも。

 なんかその噂が街の中で広がったっぽい。
 度胸試しなのか冒険者が私に甘いものを食べさせに時々来るようになった。
 喜んでもらいましたとも。

 決定的だったのが、子供の治療をしちゃったことだ。
 冒険者の話で私が治療魔法を使えることは広まってたらしく、病気の子供を抱えた母親が私のもとに来た。
 泣いて縋る母親。
 しばらくは無視してたんだけど、延々お願いします的なニュアンスの言葉を大声で叫ばれ続けて、うんざりして折れた。

 鑑定してみたら子供はかなり重い病気に蝕まれてた。
 普通に治療しただけじゃ、治らないような病気だ。
 そりゃ、このファンタジー世界にガンを治す技術なんかないでしょ。
 子供の病気は、肝臓ガンだった。

 子供で肝臓ガンなんかなるのか?
 そう最初は思ったんだけど、子供のステータスを見てたらなんとなく察した。
 称号に悪食があった。

 貧民だったんだろうね。
 食い扶持に困って毒物とかいろいろ食べてたんでしょ。
 消化器官の方は称号の効果のおかげで守られたんだろうけど、肝臓は貯まる毒物に耐えられなかったんだと思う。
 それは母親の方も同じで、体中結構ボロボロになってた。

 別に治してやる義理なんかなかったんだけど、暇だしまあいっかーてな感じで親子共々治してやった。
 普通に治療魔法かけただけじゃ治らないから、かなり強引な方法で。
 眠らせて臓器くり抜いて治療魔法で新しい臓器再生させるっていうね。
 地球の医療の人が見たら卒倒しそうなやり方だよね。
 さすがファンタジー世界。

 しかし、軽い気持ちでやっちまって、後から後悔した。
 次の日から治療目的で私の所に来る怪我人病人がいっぱいになった。
 もうなんかここまで来ちゃうとどうにでもなれーって感じになって、片っ端から治療してやった。
 おかしいな。
 当初の予定と真逆のことしてるぞ?

 結果、めっちゃ崇められてる。

 けど、これはこれでいいわー。
 お供え物は私の好物ばっかり貰える。
 夢にまで見た甘味パラダイスがここに実現したのだ。
 あー、幸せ。

 治療するのなんか私からすると片手間で終わるしねー。
 最初の方の重病者はちょっと苦労したりもしたけど、別に失敗したからって私は失うものなんかないし。
 甘味がお供えされなくなるかもしれないけど、そもそもそういうこと想定してなかったから元に戻るだけだし。
 まあ、なんだかんだ全部成功したからこそ今のこの土地神ブームなわけだけど。

 しかも、私にもちゃんとメリットがあった。
 なし崩し的に始めた慈善行為だけど、続けてたら称号もらった。
 「救う者」「薬術師」「聖者」「救世主」「守護者」。
 なんと5個も称号ゲットしちゃいました。

『救う者:取得スキル「治療魔法LV1」「光魔法LV1」:取得条件:一定数の浄罪ポイントを取得する:効果:治療の効果が上昇する:説明:救いを齎すものに贈られる称号』
『薬術師:取得スキル「薬合成LV1」「治療魔法LV1」:取得条件:薬を一定量使用する:効果:薬の効果を強化:説明:薬を使いしものに贈られる称号』
『聖者:取得スキル「奇跡魔法LV1」「聖光魔法LV1」:取得条件:一定数の浄罪ポイントを取得する:効果:治療の効果が大幅に上昇する:説明:多くの救いを齎すものに贈られる称号』
『救世主:取得スキル「救恤」「勇者LV1」:取得条件:一定数の浄罪ポイントを取得する:効果:光属性の素養が大幅に上昇:説明:あまねく救いを齎すものに贈られる称号』
『守護者:取得スキル「鉄壁LV1」「盾の才能LV1」:取得条件:多くの人を守る:効果:防御、抵抗の各能力上昇:説明:守護者たるものに贈られる称号』

 なんと言っても救世主の称号がやばい。
 なんでぶっ壊れスキル入ってんのさ。
 しかも、勇者かよ。
 私、魔王で勇者です。
 笑える。
 当たり前のように「救恤の支配者」の称号もおまけに付いてきたよ。
 これで称号6個。
 もうね、笑いが止まりませぬ。

『救恤:神へと至らんとするn%の力。自身を中心に味方と認識するものすべてにHP超速回復LV1相当の効果を及ぼす。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
『救恤の支配者:取得スキル「奇跡魔法LV10」「献上」:取得条件:「救恤」の獲得:効果:MP、魔法、抵抗の各能力上昇。支援系スキルの熟練度に+補正。支配者階級特権を獲得:説明:救恤を支配せしものに贈られる称号』

 アホか!
 一気に奇跡魔法カンストしちゃったよ。
 これ、治療魔法の上位版だけど、死者蘇生一歩手前まで出来ちゃうとんでもない回復魔法なんだけど。
 ていうか、救恤の効果もやばいよね。
 私ボッチだからあんま意味ないけど、これ軍団の指揮者とかが持ってたらお手軽不死身軍団の出来上がりじゃん。
 ていうか、このスキルにポイント使わなくてよかったー。

 いやはや。
 情けは人のためならずだね。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ