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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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144 蜘蛛VS地龍アラバ⑦

 お互い睨み合ったまま時間だけが過ぎていく。
 アラバはMPの回復待ち。
 私は毒が効いてくるのを待つ。
 お互い時間が過ぎれば有利になる。
 ただ、私の毒よりも、アラバのMPが回復する方が早い。

 アラバが動く。
 ただし、ブレスは吐かないで。
 アラバもさっきと同じでは、私にブレスが当たらないことを理解している。

 アラバが駆ける。
 壁面の上を。
 その壁面が再び炎に包まれていく。

 上空、私のいる真横までアラバが来る。
 炎を纏った土の壁が、壁面から垂直に隆起してくる。
 土の壁はそのまま反対側の壁面まで到達し、空中に橋を作り上げる。

 アラバは壁面を駆け回り、次々に橋を建造していく。
 私の逃げ場をなくすように。
 空中が、燃える大地に塗りつぶされていく。
 そのさまは、まるで蜘蛛の糸のようだ。
 まさか、敵に自分と似たようなことをされるとは思わなかった。

 完成した無数の燃え盛る橋の上を、アラバが高速で駆け抜ける。
 引斥の邪眼で重力を加えているっていうのに、その動きには衰えが感じられない。
 橋を駆け抜け、跳ねる。

 迫る爪。
 狭くなった空中で、その爪を避ける。

 アラバは別の橋に音もなく着地。
 また駆ける。
 別の場所からまた飛びかかる。
 避ける。
 着地、MPが回復したのを見計らって、さらに橋を増やす。

 このままじゃ、逃げ場を徐々になくされてジリ貧になる。
 さっきから暗黒弾で橋を壊しにかかっている。
 暗黒弾の方が、暗黒槍よりも破壊力という点では優れている。
 暗黒槍の真骨頂は、突き刺さった状態での継続ダメージ。
 対生物相手には有効だけど、対物に関して言えば暗黒弾のほうがいい。

 けど、橋を壊そうとすれば、アラバが妨害してくる。
 それだけならいい。
 暗黒弾を撃つ瞬間の隙を突いて、アラバが襲いかかってくる。
 咄嗟に標的をアラバに変更して、牽制。
 同時に回避。

 私が橋を壊すよりも、アラバが新しい橋を作るほうが早い。
 暗黒弾一発で橋が落ちないのが痛い。
 もっと、威力のある魔法が欲しい。

《熟練度が一定に達しました。スキル『暗黒魔法LV3』が『暗黒魔法LV4』になりました》

 思いが通じたのか、暗黒魔法のスキルレベルが上がる。
 早速新たに追加された魔法を構築する。

 発生した暗黒魔法が、橋に直撃、破壊する。
 切断して。
 暗黒魔法レベル4の魔法、暗黒刃。

 あ、ダメだこれ。
 切っても壊れないから意味ないや。
 これじゃ、アラバにもすぐ修復できちゃうし。

 暗黒刃は引っ込めて引き続き暗黒弾で橋を壊す。
 けど、追いつかない。
 というか、もうかなり逃げられる範囲が狭まってきてる。

 アラバの跳躍。
 未来視が迫るアラバの爪と、爪を避けた先に待ち構えている尻尾の姿を映す。
 これは、今逃げられる範囲でギリギリ避けようと思ってもムリだ。

 ええい。
 仕方ない。
 アラバの攻撃を大きく避け、炎が立ち上る橋の上に着地する。
 あっつい!

 すぐに離脱。
 薬合成で薬の水を作り出し、体についた火を消す。
 同時に薬の効果でHPが回復する。
 ふ、いつまでも毒を引っ被ってHPを減らしていたままだと思うなよ。

 今ので分かったけど、橋の上に着地しても、一瞬だけならHPの減りはそこまでじゃない。
 薬合成で消火と回復を兼任させれば、傷はほぼ無視できる。

 問題は、次もアラバが消火するまでの一連の流れを許してくれるかどうかってこと。

 アラバが再び襲い掛かってくる。
 今度も無傷では避けきれない。
 アラバの攻撃を避け、橋に着地する。

 その瞬間、アラバが橋ごと私にブレスをお見舞いしてきた。

 避ける。
 背後で橋が破壊される音が響く。
 けど、そんなことを気にしていられない。

 火炎が体を容赦なく焼く。
 高速回復があっても、かなりのスピードでHPが減っていく。
 すぐに消したいところだけど、ここぞとばかりにアラバが追撃してくる。
 アラバの追撃を躱しつつ、薬合成、が、アラバのさらなる追撃。

 やばい。
 焦る。
 薬合成、ダメだ。
 アラバの攻撃を避けるので精一杯で、薬合成をしている余裕がない。
 そんな状況で転移が発動できるわけもない。
 まずい。

 HPが減る。
 飽食のストック分がなくなる。
 まだ、アラバの追撃は止まらない。
 HPが0になる。
 忍耐が発動する。
 MPが少しずつ減っていく。
 忍耐が発動したことによって、HP高速回復と魔導の極みのMP回復効果、その両方がダメージを減少させてくれているおかげだ。
 それでも、徐々にMPも減っていく。

 やばい。
 けど、ギリギリ間に合った。

 アラバの動きが急速に悪くなる。
 纏っていた強化スキルが解ける。
 さっきまでの勢いはもはやなく、弱々しく動きを止める。
 私の毒が、ついにアラバの命に王手をかけた。

 私の毒、それは怠惰。

『怠惰:神へと至らんとするn%の力。自身を除く周辺のシステム内数値の減少量を大幅に増加させる。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』

 つまり、私以外の存在は、HPとMPとSPの減りが大きくなっていたのだ。
 HPとMPは自動回復がある。
 けど、SPにはそれがない。
 私と戦えば戦うほど、全力を出せば出すほど、その減りは大きくなっていく。
 闘神法で常にSPを消費していれば、怠惰の格好の餌食だ。

 鑑定を持たないアラバにこれに気付く術はない。
 もはやどうしようもないくらいの段階になって、ようやく自身を蝕む飢餓に気付くことができる。
 今のアラバには、SPがほとんど残っていない。

 勝負はついた。
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