挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
18/496

17 正々堂々真正面から卑劣な手を使う

《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV2』が『鑑定LV3』になりました》

 あっさりスキルレベル上がりましたー。
 鑑定し始めてからそんな時間経ってないんだけどなー。
 ヒッキーしてなきゃこんな簡単に上がるのかー。
 なんか複雑な気分だ。

 まあ、上がるに越したことはないよね。
 さてさて、レベル3はどんなもんなのかね?
 早速自分に向けて鑑定。

『スモールレッサータラテクト LV5 名前 なし』

 レベル表記が増えましたー。
 わーい。
 はぁ。
 まあ、プラスっちゃプラスだけどさー。
 これ、本当に役立つレベルになるのはいつになるやら。

 むう。
 しかし、私の種族であるところのスモールレッサータラテクトって、このダンジョンの中だとどのくらいの強さなんだろ?
 ふとそんなことを思ったら、予想外のことが起きた。

『スモールレッサータラテクト:劣化タラテクト種の幼体』

 なん…だと?
 え、これはもしや、私の鑑定結果で出た種族名を、さらに鑑定した?
 二重鑑定?
 おお。
 これは結構重要な裏技を発見しちゃったんじゃないか?
 ということはだよ、物は試しにさらにもう一回鑑定。

『タラテクト:蜘蛛型の魔物の一種』

 出来た!
 これすごくない!?
 鑑定して未知の単語が出てきたら、さらにそれも鑑定できるって。
 うは!
 まだ説明文は短いし、情報量としては全然だけど、これスキルレベル上げたらとんでもないことになるんじゃない?
 一回の鑑定から芋ずる式に色んな知識が手に入るかもしれない。
 ふひょい!
 鑑定さん、使えないとか言ってごめん!
 これからは全力でスキルレベル上げることにするよ!



 さて、意気揚々と鑑定しまくるのはいいんだけど、そろそろ2つほど問題が出てきましたよ。
 すなわち、腹減った!眠い!
 というわけだ。
 そりゃね、マイホーム襲撃からこっち、全速力で逃走したあと、こうやってダンジョンの中を徘徊してんだから、お腹も空くし疲れて眠くもなるよね。

 まだ我慢できないわけじゃないけど、そのうちご飯も食べなきゃいけないし、睡眠は取らなきゃいけない。
 両方とも問題となるのは、他の魔物の存在だ。
 ご飯を食べるには魔物を見つけて、倒して食べなきゃならない。
 逆に、寝てる時は魔物に見つからないようにしなきゃならない。
 あちらを立てればこちらが立たず。
 むう。

 まあ、両方を解決する策はあるにはある。
 寝る時は簡易ホームを作って、その中で寝ればいいのだ。
 これなら安全に寝ることができるし、もし仮に魔物が罠にひっかかっていれば、食事もゲットできて一石二鳥。

 ただなー。
 さっき戦うって決めた以上、できる限り食事は自分の手で仕留めたい。
 寝る時はもう仕方ないから簡易ホームを作るとしても、せめて起きてる時に一戦しておきたい。
 あくまで簡易ホームは狩りのためのものじゃなくて、安全を確保する寝床としてしか使わない方向でいこうと思う。
 まあ、引っかかる魔物がもしいたら、遠慮なくいただくけど。

 とりあえず、手頃な魔物を求めて徘徊を続けよう。



 いた。

『エルローフロッグ LV3』

 私が身を隠した先の通路には、因縁深い蛙の姿。
 奴はこっちに背を向けている。
 こちらの存在はまだ気づかれていない。
 このまま奇襲する?
 と、思ったら気づかれた。
 チッ。

 キシャーッ!

 とりあえず威嚇。

 ペッ!

 おわ!?
 ちょっとお前、間髪容れずにいきなり唾液ぶっぱなすこたないでしょうが!
 危うくくらうとこだったじゃん!

 ペッ!ペッ!ペッ!

 連続で吐くなー!!!
 うわ、うわ、おうふ!?
 避けきれるかんなもん!
 痛い痛い!
 耐性があるおかげで初めてくらったときに比べればだいぶ楽だけど、それでも痛いのに変わりはないんだよ!
 というかお前、糸で拘束されてなかったらこんな元気なのか!?

 ペッ!ペッ!ペッ!

 待った待った!
 ピギャー!?
 また1個避けきれなかった!
 まずい、このままじゃ一方的にやられてしまう!
 かくなる上は、特攻あるのみ!

 ペッ!ペッ!ペッ!

 そう何度も同じ手を食うか!
 こんだけやられれば、お前が1度に吐ける唾液は3つが限界だってわかるんだよ!
 韋駄天と呼ばれたゲーマーの観察眼と、避けテクを甘く見るな!
 唾液を回避!
 そのまま蛙に爪を振り下ろす!

 クッ、流石に避けられるか、って、ジャンプして舌を打ち付けてきた!

 ビタンッ!

 イッター!
 舌で叩き潰されるように打ち付けられた。
 しかも舌にも酸が付いてるのか、打ち付けられただけじゃない、ジュウジュウした痛みがある。
 おおう。
 これは重傷ですわ。
 体力ゲージがあったら真っ赤な危険ゾーンに突入してるわ。
 あと一発でも何かを食らったら、やばい。

 けど、そうはならない。
 もう勝敗は決した。
 蛙が飛んだ先には、私の糸が張り巡らされているのだから。

 仕掛けは単純。
 ただ唾液の攻撃を避けてる間に、地面に糸を垂らしといただけ。
 私はどうにも移動中、無意識のうちに糸を地面に垂らす癖があるっぽい。
 今回はそれを利用した。
 無意識のうちに垂れ流していた糸に、粘着性を持たせる。
 あとは蛙をその場所に誘導するだけ。
 わざわざ糸のある場所に飛んでいくように、爪の攻撃を角度から速度まで調節したのだ。
 まさか、空中から反撃を受けるのは予想外だったけど…。

 着地と同時に糸に囚われる蛙。
 私はそこに容赦なく追加の糸を巻きつける。
 あとは決まってる。

 ガブッ!

 初めての実戦らしい実戦は、ギリギリの辛勝だった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ