挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
179/487

140 蜘蛛VS地龍アラバ③

 思考加速のスローモーションの世界の中、予見が見せる未来の映像を捉える。
 アラバが魔法を発動させる未来を。

 このクラスの魔物ともなると、普通に魔法を使ってくる。
 アークもそうだったし、それだけの知恵を持っているってことだ。
 当然、そんな知恵を持った存在が、考えなしにブレスよりも効率の悪い魔法を使うわけがない。

 回避。
 さっきまで私のいたところに鋭い土の槍が生えてくる。
 暗黒槍の土バージョンってところかな。
 たしか、大地魔法レベル3の魔法、大地槍だったかな。
 けど、暗黒槍が相手に向かって射出するタイプなのに対して、大地槍は目標地点の地面がいきなり槍に変化する。
 あのままそこにいたら、串刺しになるところだった。

 大地魔法の厄介なところは、土属性の魔法効果に加え、物理的な破壊力もあるということだ。
 一見、火や水に比べると地味に見えるけど、その実態は物理と魔法の混合攻撃。
 抵抗の高さで言えば、私は並の魔法ではダメージを受けない。
 けど、そこに物理的破壊力が伴うと、話は変わってくる。

 アラバは私が回避するのも見越していたのか、次々と新たな大地槍を出現させる。
 さすが、精密魔力操作のスキルを持つだけあって、魔法の構築スピードが半端ない。
 まあ、私には劣るけどね。

 思考加速と予見を駆使した私に、そんな魔法は当たらない。
 けど、そんなことはアラバもわかってる。
 アラバの真の狙いは、私の逃げ場をなくすこと。

 魔法を避け続け、巧みに誘導されたどり着いた場所には、既に三方を囲むように土の壁が立ちはだかっていた。
 さらに、私が逃げ込んできた入口にも壁が瞬時に生える。
 大地魔法の大地壁。
 四方を囲まれた私の逃げ場は、上しかない。

 そして、その上には、既にブレスを吐き出しているアラバの姿。
 着弾までは刹那の時間しかない。
 回避は不可能。
 普通ならね。

 転移。

 再び私はアラバの頭上に転移。
 2度目となる、ブレス中の頭部への暗黒弾。
 命中。

 さっきと同じ光景が真下で展開される。
 さっきと違うことといえば、アラバは空中に飛び上がっていたということだ。
 落ちるアラバ。

 追撃の暗黒槍。
 けど、アラバは地面に追突する直前に体勢を立て直し、軽い感じで地面を蹴って迫る暗黒槍を避けた。

 その避けた先に、毒の滝が降り注ぐ。

 生成量を最大にした毒合成を、さらに連続発動させて作り上げた毒の滝。
 猛毒と麻痺の滝を、アラバはブレス一発で吹き飛ばす。
 飛び散る毒の水。
 ダメージを期待してたわけじゃないけど、軽く吐いたブレス一発で吹き飛ばすとか、ないわー。

 アラバは上空にいる私に向けて、ブレスを連続で吐き出してくる。
 その対空砲火を空間機動を駆使して避ける。
 ついでに万能糸で網を作り、射出のスキルで飛ばす。

 ふふふ。
 そうです、私念願の射出スキルをゲットしたんです!
 ていうか、投擲のスキルカンストさせたら派生した。
 まあ、MP消費するしレベル低いからあんま速度でないし、ぶっちゃけ普通に投擲使って投げたほうがいいんだけど、気分の問題だね。
 球のように丸く固まって射出された糸を、アラバの目の前で操糸の力を使って網状に広げる。

 アラバは、さっき糸で傷つけられたのを覚えていたのか、警戒心丸出しで大袈裟にその網を避ける。
 その反応は間違ってない。
 さっきの糸には攻撃能力を付加していたけど、蜘蛛の糸の本質は相手を捕えるためのもの。
 今回使った糸には、たっぷりと粘着性を持たせてあった。
 アラバといえど、私のこの糸に捕われたら、脱出するのは容易じゃない。

 糸をそこまで警戒してくれるのなら、逆に好都合。

 上空から糸を拡散させる。
 アラバはそれを嫌がり、避けたりブレスで弾いたりし、その大元である私を排除しにかかってくる。
 空間機動で私の元まで迫って来るアラバ。

 はい、いらっしゃい!

 無計画にばら撒いたように見えていた糸。
 それらは目では見えにくいほどの細い糸によって全て繋がっている。
 その根元となる糸は、私の足の中。
 操糸で一気に糸の束を手繰り寄せる。
 それと同時にアラバに放つ暗黒弾。

 背後から迫る蜘蛛の糸。
 前方から迫る暗黒弾。
 暗黒弾を避ければ糸に追いつかれる。
 暗黒弾を避けなければダメージを負う。
 アラバが選ぶのは、どっち!?

 アラバは選んだ。
 そのどちらでもない選択を。

 ブレスが暗黒弾を相殺する。
 その余波を無視して突っ込んでくる。

 マズッ!

 かろうじて迫り来る牙の攻撃を避ける。
 ちょっとかすってHPの飽食ストックが減る。

 あぶねー。
 糸持ってるせいで回避し損なうとこだった。
 こんだけの量の糸を引っ張ってんだから、そりゃ行動に制限もかかるわな。
 転移も、あらかじめ術を先出しで作っておかないと間に合わないし、今みたいなとっさの状況だと実は使えない。
 私が相手の攻撃を転移で簡単に避けているように見えるのは、思考加速と予見を最大限活用しているからだ。
 予見で相手の行動を先読みし、思考加速で瞬時に魔法の構築に取り掛かる。
 咄嗟に転移しているように見えて、実は前もって準備しているのだ。

 さっきのアラバの行動はちょっと予想外だった。
 糸か暗黒弾か、どっちかは有効になるって踏んでたんだけどな。
 まだまだ私はアラバを過小評価していたっぽい。

 気合いを入れ直す。
 まだまだ私もアラバも余裕がある。
 戦いは、まだ続く。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ