挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
172/494

134 蜘蛛の天敵

 蜘蛛の天敵をご存知だろうか?
 あ、もちろん火は除く。
 自然界に普通に存在してる蜘蛛がわざわざ火元に行くことなんかないし。

 で、話戻って蜘蛛の天敵だ。
 私もそこまで詳しくはないんだけど、蜘蛛には確か2種類の天敵がいる。
 なんかのドキュメンタリー番組をネトゲしながら眺めてた時に知った。
 今思うと、あの番組もうちょいちゃんと見とくべきだった。
 自分がまさか蜘蛛になるなんて夢にも思わないっしょ。
 蜘蛛の生態とかもっと知ってれば、いろいろ役立ったかもしれないのに。

 また脱線した。
 蜘蛛の天敵の1種、それは、蜂だ。



 上層にあるマイホームから転移して向かった先は、懐かしの縦穴。
 上を見上げればあの時と変わらない蜂の群れ。
 またここに戻ってくるとはなー。
 ちょっと前なら考えられないわ。

 この場所にはいろいろなトラウマがあるからなー。
 最大のトラウマはやっぱ地龍に巣ごと爆散させられたことだけど、それ以外にも危機的な状況に陥ったしなー。
 思えばこの場所が生まれて初めて死を意識した場所かもなー。
 蜂にブスッと刺されて、そこから死へのカウントダウンが始まったんだよなー。

 ブスッ!

 そうそう、こんな感じで。
 って、ほぎゃあ!?
 刺された!
 ちょ、おま、なに人が感慨に耽ってる時に不意打ちかましてんの!?
 空気読めよ!?

 背中に乗っかって私に毒針をぶっ刺している蜂を、昔と同じ要領で糸で拘束し、そのまま一本背負いで投げ飛ばす。
 ゴシャッ、という鈍い音がして、それだけで蜂のHPが7割くらい減る。
 止めには、糸に斬属性を付加して細切れに。

 あー、やってくれるぜ。
 まさか探知の能力を持つこの私に不意打ちかますとは。
 まあ、HPほとんど減ってないし、自動回復ですっかり回復してるけどさ。

 昔はこれで瀕死になったこともあったなー。
 背中に風穴空けられて、そのときはHP自動回復も持ってなかったから、レベルアップの脱皮をしなきゃ、死ぬって状況だったからなー。

 ブスッ!

 またかよ!?
 痛覚大軽減があるからほとんど痛くはないけど、鬱陶しいことに変わりはないんだよ!

 もう投げるのも面倒くさいから、操糸で操った糸でそのまま斬殺。
 あー、2度あることは3度あるってか?
 よくもまあ、私の危険感知に引っかからずに背後を取れるもんだ。

 あ、もしかして危険だって認識できないとか?
 確かにダメージなんて実質ないようなもんだし、危険かって言われると微妙なところ。
 あー、そう考えると今の蜂って、敵とも認識されてないってことか。
 まあ、実際餌としか認識してないから間違ってないんだけどね。

 ブスッ!

 いい加減にせいや!

 いや、流石におかしくね?
 なんで隠密とか持ってないくせに私の背後をこんな簡単に取れるのさ?
 ちょっと私が間抜けなのを差し引いてもおかしいでしょ?

 そういえば、蜘蛛の天敵って蜂だっけ?
 もしかして、システム外の隠し相性みたいな補正でも働いてる?
 いや、ないっしょ。

 とにかく、ダメージないとは言え鬱陶しい。
 私の威圧プラス恐怖を齎す者のコンボに、恐れをなさずに立ち向かってくる勇気は認めるけど、相手が悪かったな。
 そういうわけで、殲滅開始じゃー!

 空間機動で空中を跳ねる。
 目に付く蜂に魔法をぶち当て、近付く蜂を切り裂く。
 わお。
 昔はホームがあれば倒せるっていう感じだった蜂相手に、無双状態でっせ私。
 フハハハハ!
 見よ!
 まるで蜂がゴミのようだ!

 お?
 なんか見たことのない蜂が出てきた。
 どれどれ?

『ジェネラルフィンジゴアット LV4
 ステータス
 HP:371/371(緑)
 MP:299/299(青)
 SP:366/366(黄)
   :301/361(赤)
 平均攻撃能力:200(詳細)
 平均防御能力:160(詳細)
 平均魔法能力:139(詳細)
 平均抵抗能力:143(詳細)
 平均速度能力:215(詳細)
 スキル
 「毒針LV9」「貫通強化LV3」「毒強化LV3」「高速飛翔LV2」「連携LV6」「統率LV6」「暗視LV7」「毒耐性LV6」
 スキルポイント:900』

 ほほう。
 隊長蜂のさらに上の上位種ってところかね。
 うん。
 ステータスの低さの割に、スキルが充実してるね。
 同じくらいのステータスの魔物の中じゃ、結構強い方なんじゃない?

 まあ、はっきり言ってステータスが低すぎて、私の敵じゃないけどね。
 私、初めてこの縦穴に落ちてきたときは、ほとんどのステータスが2桁の前半しかないくらいだったんだよねー。
 その時にコイツに出くわしてたらマイホーム使ってもやばかったかもしれない。

 しかーし。
 今の私の強さはあの時の比ではない!
 具体的に言うと100倍くらいの差があるのだ!
 マジでステータス的に見ただけでそのくらい強くなってるから困る。
 スキルまで考えたら100倍どころじゃ済まないかも。
 我ながら凄まじい成長速度だな!

 というわけで、もったいぶって登場してきてくれたところ悪いけど、サクッと将軍蜂にはご退場してもらった。

 と、思ったら同じ種類の奴がワサワサ出てきた。
 あー、いよいよ本格的に蜂の巣に近いってことか。
 確かにそれらしい物体が上の方に見えるもんなー。
 物体っていうか、もはや建物?
 さすが3メートルクラスの蜂の住処。
 でかいわー。

 うん。
 だいぶ蜂を狩って食料も貯まったし、今日はこの辺にしておこう。
 全滅させるよりも、またしばらく放置して増やしたほうが効率いいしね。
 というわけで、地上に落ちていった死骸を回収しに撤退。

 襲いかかってこようとする将軍蜂の群れを空中に残して、地上へと落下していく。
 空間機動を使って忍者みたいにシュタッと着地。
 決まった。

 けど、私は危険感知が発動するのを察知した。
 蜂、じゃあない。
 あいつらでは危険にはならない。

 私はその危険の元を見る。

 蜘蛛には天敵が2種類存在する。
 それは、蜘蛛を専門に狩る、蜘蛛。

 私の目に、蜘蛛の魔物が、その姿を現していた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ