挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
153/499

121 さっさと忘れようそうしよう

 食べる。
 食べる。
 食べる。
 苦い。
 とても苦い。
 苦くて、少しだけ甘くて、そして悲しい味だ。



 おはようございます。
 朝、なのかどうかは知らんけど、今日も無事目覚めることができました。

 とっても役立つ並列意思だけど、残念ながら交代で寝るとかいうことはできない。
 意思がいくつあっても使ってる体は一つ。
 そういうわけで、体が寝れば当然意識も落ちる。
 こればっかりはどうしようもない。

 昨日、Dなる邪神と会話をした後、私はしばらくボーッとしてた。
 叡智を獲得したときに、チラッと存在は確認できてたけど、それがいきなりああして話しかけてくるとは思ってなかった。
 まあ、わかったことといえばあいつがマジキチだってことと、結局は何もわからなかったってことだけだ。
 うん。
 わからないことがわかった。

 むしろ謎が増えた。
 スマホ、流暢な日本語、黒い男。
 黒い男は何者なのか知らないけど、この世界の人間なんだと思う。
 謎言語でDと会話してたし、あれが多分だけどこの世界の言葉なんだと思う。
 けど、そうなると一つ疑問が出てくる。
 Dはなんで日本語をあんなに話せるんだ?

 そもそもスマホの時点でおかしい。
 あれはどう見てもスマホだった。
 この世界の技術レベルがどんなもんなのかわかんないけど、似たようなレベルだったとしても、そっくりそのままスマホがこんな異世界で作られているとは考えにくい。
 だとしたら、あのスマホは、地球産てことなんじゃないのかな?

 そう考えると、Dがペラペラ日本語を喋っていた理由もわかる。
 あいつがいるのは日本だ。
 今もいるのか、前にいたのかどうかは分かんないけど、確実にあいつは日本にいたことがあるんだ。

 考えてみれば、天の声(仮)にせよ、鑑定結果にせよ、全部日本語だ。
 こんな異世界で日本語が当たり前のように使われていることに、もっと違和感を持つべきだった。
 私が日本語しか知らないから、私に合わせてそうなっているんだと無意識のうちに思い込んでいたけど、多分それは違う。
 Dが日本語の設定をしたんだ。

 怪しいのは私の持ってる謎の文字化けスキル。
 このスキル、異世界語を日本語に翻訳する機能でもあるのかもしれない。
 あ、それだと黒い男の話も理解できたはずだから違うか。
 けど、システム関連の音声とか表示は日本語にされるとか。
 それならありそう。
 このスキルに色々と秘密が詰め込まれているかもしれない。

 と、そこまではいいんだけど、それ以上はなんもわからない。
 管理者という存在がなんなのか、あいつは本当に娯楽としてしか私のことを見ていないのか。
 わからん。

 んー。
 ダメだな。
 こんがらがってきた。
 こういうのは私らしくない。
 ここはいつもの私らしく、わかんないことはわかんないで放置しよう。

 邪神だかなんだか知らんけど、覗き見するくらいなら害はないしね。
 見られて困るような生き様はしていないつもりだ。
 あ、ごめんなさい。
 ケツに火が付いたりしたところはカットで。

 まあ、あいつの思惑はどうであれ、私は私だ。
 私は私らしくこれからも生きていけばいい。
 そうだ。
 そうしよう。

 差し当たってはDのことは忘れよう。
 あの黒い男も関わらないって言うんなら忘れちゃっていいね。

 あ、けど、Dは叡智のスキルをご褒美でくれたって言ってたな。
 そこだけはお礼言っといたほうが良かったかもしれない。
 …ま、いっか。
 今度またなんか関わってきたら、その時にでも言おう。
 また、とか言ってたし。

 さて、では探索を再開しますか。

 昨日、私がボーッとしてる間に、体担当が火龍を食べてた。
 味は白身魚と鶏肉を足して2で割った感じ。
 美味だった。
 けど、やっぱ調味料が欲しくなる。
 今までの不味い魔物に比べれば格段に美味しいんだけど、ちょっと物足りない。
 あー、ナマズに始まり美味しいものを結構食べてきたから、欲が出てきちゃったかもしれない。

 美味しさはそんな感じだったんだけど、量はかなりのボリュームがあった。
 火龍との死闘で大分ストックが減っていたSPが満タンになったくらいだ。
 もったいないからSPを熟練度稼ぎついでに消費して残りを食べた。

 空間魔法のレベルが上がればアイテムボックス的な魔法を覚えないかなー?
 最初はいらないって思ってたけど、こう大物が続くと、いちいち食べきるのも大変になってくる。
 お残しはしたくないから、食べきれない分を持っていけたら便利だなー。

 ちなみに、影沈はアイテムボックスの代わりにはならない。
 あれ、もの入れたら動かせなくなるし。
 ホント、使いどころの微妙な魔法だ。
 というか、影魔法自体が結構微妙。
 攻撃力も実用性も微妙。
 レベル6まで上げてようやく使い物になるっていう、遅咲きすぎるのもネックだ。
 しかも遅咲きとか言いながら、咲いた花は微妙っていうね。

 影魔法、レベル10になったら派生か進化して闇魔法になるのかな?
 多分なるんだろうけど、闇の最上位魔法を既に習得しちゃってる私からすると、あんまり魅力を感じない。
 まあ、深淵魔法は威力が高すぎて気軽に使えないっていう弱点もあるし、適度な火力の魔法が手に入るのは歓迎なんだけどね。

 しかし、火龍を倒しちゃったし、いよいよホントに中層では敵なしになったかもしれない。
 この調子で中層を一気に突破しちゃおう。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ