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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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100 おや?鑑定様の様子が…?

 今日も今日とて中層を徘徊する。
 うーむ。
 中層に来てからだいぶ経つけど、未だに終わりが見えない。
 流石世界最大の迷宮。
 これ、人間が攻略しようとしたら、一生を捧げる覚悟決めなきゃならないレベルじゃね?

《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV9』が『鑑定LV10』になりました》

 お?
 おお?
 おおお!?

 ついに。
 ついに鑑定様がカンストしたー!
 うわ超嬉しい!
 一番初めに取って、苦楽を共にした鑑定様が、ついに、ついに完全体になった!

 最初はどうしようもないくらい使い物にならなかった鑑定。
 レベルが上がるごとに増える微妙な追加要素。
 段々と使いかってが良くなっていく喜び。
 一皮むけて立派になった鑑定さん。
 ずっと文句を言われながらも、頑張って成長してきたあなた。
 そして、誰もが認める鑑定様に。
 そんなあなたもついに、ついに!
 うおーん!
 ようやくだよ。
 よくやってくれたよ。
 感動した!
 ありがとう鑑定様!
 これからもよろしくな鑑定様!

 けど、進化とか派生はなしかー。
 いや、いいんだけどね。
 鑑定様がカンストしただけでもすごいことなんだけどね。
 こう、叡智を司る者的な進化を少し期待してはいたんだよねー。
 ないのかー。
 鑑定様ならあるいはって思ってたけど、ないのかー。
 ショックだわー。
 …本当にないの?

《ザ、……ザー、…ザ、ザー、ザー、……》

 …何、このテレビの砂嵐みたいな音?

《ザー、要請、ザー、…上位管理者権限かく、ザー、……》

 え?
 何何?

《ザー、…理者サリ………ザー、…却下、ザー》

 なんかやばい。
 何がどうやばいのかわかんないのに、やばい。

《ザー、ピン!》

 それまで聞こえていた音に対して、やたら明瞭に聞こえたそのピンという音に、私は思わずビクッと体を震わせた。

《要請を上位管理者Dが受諾しました》
《スキル『叡智』を構築中です》
《構築が完了しました》

《条件を満たしました。スキル『叡智』を獲得しました》
《『鑑定LV10』が『叡智』に統合されました》
《『探知LV10』が『叡智』に統合されました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV7』が『禁忌LV8』になりました》

《条件を満たしました。称号『叡智の支配者』を獲得しました》
《称号『叡智の支配者』の効果により、スキル『魔導の極み』『星魔』を獲得しました》
《『MP回復速度LV4』が『魔導の極み』に統合されました》
《『MP消費緩和LV3』が『魔導の極み』に統合されました》
《『魔量LV9』が『星魔』に統合されました》
《『護法LV4』が『星魔』に統合されました》

 は?
 はあ?
 はあああああ?

 イヤイヤ。
 おかしい。
 これは流石にいろいろおかしい。
 どうなってる?
 どうしてこうなった?
 どうすればいい?

 落ち着こう。
 体担当、まずは深呼吸だ。

 ひ、ひ、ふうー。

 よし。
 順番に整理していこう。
 まずはよくわからん音が聞こえ始めたあたりからだね。
 あれは何?
 わからない。
 いつもならわからないものをあれこれ考えても仕方ないって切り捨てるところだけど、今回ばかりはちょっとそうはいかない。
 だって、これ明らかに異常事態だもん。

 異常、そう、異常だ。
 今までそういう世界だって認識でスキルとか取ってきたけど、日本だったらスキルなんてもんは存在してない。
 日本だったらスキルがあることのほうが異常なんだよ。
 そんな当たり前のことを、この世界はそういう世界、なんて安直な考えで受け入れて良かったのか?

 さっきまでなら良かった。
 けど、今は違う。
 さっき確かに聞こえた天の声(仮)はこう言っていた。

《要請を上位管理者Dが受諾しました》
《スキル『叡智』を構築中です》
《構築が完了しました》

 この言葉、まるで誰かが私のこと(・・・・・・・・・・)を監視していて(・・・・・・・)私の愚痴に合わせてス(・・・・・・・・・・)キルを作ったかのよう(・・・・・・・・・・)じゃないか(・・・・・)

 もし本当にそうなら、犯人は管理者Dなる人物だ。
 そして、上位という言葉が表すことを考えれば、管理者という存在は、このDだけではないはずだ。

 じゃあ、管理者とは、一体何を管理しているんだ?
 決まっている。
 スキルだ。
 この流れで考えるのなら、それしか考えられない。
 要は、この世界のスキルとは(・・・・・・・・・・)管理者を名乗る連中に(・・・・・・・・・・)与えられたものだった(・・・・・・・・・・)んだ(・・)

 何のために?
 どうやって?
 それは流石に分からない。
 分からないけど、これだけは言える。

 この世界は、何かが、おかしい。

 背筋に冷たいものが走る。
 地龍やマイマザーに遭遇した時とは違う、別種の恐怖が私のことをジワジワと侵食する。

 管理者とやらは、こんな慌てふためく私の姿を見て、ほくそ笑んでいるんだろうか?
 怖い。
 今まで頼ってきたスキルが、今は理解しがたい異形の何かのように思える。
 私は、このあと、どうすればいいんだろう?
 どうすればいい?
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