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蜘蛛ですが、なにか? 作者:馬場翁
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K1 苦労性な公爵令嬢

「先生、今日のはやり過ぎだったんじゃない?」
「そうでもないですよぉー」
「スーのあれは殺気と言うにはお瑣末だし、シュンだって悪気があって鑑定発動させたわけじゃないじゃん」
「カティアちゃんもなんだかんだ箱入りですからねぇー。知ってますぅー?危険領域では威嚇で済めば御の字なんですよぉー?」
「そんななのかよ…」
「特に鑑定は無闇に使わないほうがいいんですぅー。同じ鑑定持ちとかぁー、勘のいい人には鑑定したってことがわかっちゃうんですぅー。ポティマスと初めて会った時に変な感じしませんでしたぁー?」
「ああ、あの嫌な感覚な。あれ鑑定されてたのか」
「その通りですぅー。場合によってはそれだけで敵対の意思ありとみなされることもありますぅー。まぁー、本当に危険な領域では仲間以外の人間はすべて敵だと思ったほうがいいですからぁー、あんまり関係ないですけどねぇー」
「場合によっては、問答無用で殺すってか?」
「そうなりますぅー」
「先生は、」
「その先の質問はお互いに益がないのでやめましょぅー。と言ってもぉー、察しのいいカティアちゃんにはこれが答えになっちゃうでしょうけどぉー」
「そうか。先生はそれだけのことをしてきたってことなんすね」
「そうなりますねぇー」
「で、そこまでしてかき集めたクラスの連中に、俺たちはまだ会っちゃいけないんですかね?」
「ダメですねぇー」
「その理由は?」
「それも教えられませんー」
「なあ、先生。本当に、12人も保護できてるのか?こんだけ広い世界で、どうやって見つけたんだ?それがわからないと、俺は本当にみんなが生きてるのかさえ疑問に思えるんすよ」
「そこは先生嘘ついてたら針千本飲んでもいいですよぉー。方法は秘密ですがぁー、保護した数と発見した数に嘘はありませんー」
「じゃあ、未発見は?先生、正直に答えてくれ。未発見と言われてる6人のうち、本当に発見できてないのは何人なんだ?」
「…2人です。残りの4人は死亡が確認されてます」
「…そうか」
「すいません」
「先生が謝ることじゃないでしょ。聞いていいですか?死んだ奴らの名前」
「林康太くん、若葉姫色さん、小暮直史くん、桜崎一成くん。その4人です」
「…そうですか。けど、それならもう捜索はほぼ打ち切るっていうのも、納得っす」
「残りの二人も一応捜索は続けますけどねぇー」
「なあ、なんでエルフがそんな捜索を手伝ってくれるんだ?先生はエルフに事情を説明してるっぽいけど、エルフは信用できるのか?」
「それは先生を信じてくださいとしか言えないですねぇー」
「こんなに隠し事が多いのにか?」
「そこも含めてですぅー」
「俺はシュンみたいに人を直感で信じきることなんかできないんですよ。先生のことは信じたいけど、先生が隠し事をし続ける限り、俺は先生のことを心の底から信用し切ることはできません」
「それがむしろ正しいと思いますけどねぇー。シュンくんは真っ直ぐすぎるんですよねぇー」
「それは同感っすね。あいつ俺がいなきゃダメなんじゃないかと思うときがあるからなー」
「お?おやおやおやー?これはぁ、芽はまだにしても種くらいはあるぅ?そうなったら面白そうですぅ」
「え?なんて言った?先生、なにその気持ち悪い笑み。先生今は見た目美幼女なんだからそんな気持ち悪い笑顔浮かべてるとすんげー嫌なんだけど」
「天誅ですぅー」
「がはっ!?」


*************************


「カティア」
「なんですか?」
「カティアと兄様の関係は何?」
「何って、お友達ですわよ?それがどうしまして?」
「嘘。ただの友達じゃないでしょ?あのセンセイとかいうエルフもそう。聖女候補とか次期剣帝とかもそう。あなたたちは一体何なの?」
「それは、私の口から聞くべきことかしら?」
「どういう意味?」
「あなたが本当にその答えを聞きたいのは私なのかしら?」
「それは…」
「そういうことは、シュン本人に聞きなさい。私の口から聞いてもあなたはきっと納得しませんもの」
「そう、かもね」
「あなたが今どういう感情を抱いているのか、少しはわかるつもりです。だからこそ、その感情は本人にぶつけるべきなんじゃないかしら?」
「…わかった。ごめん。それから、ありがとう」
「どういたしまして」


「完全に丸投げだけどこれくらいいいだろ。ていうかあいつら兄妹の問題だし。俺関係ないのに巻き込むなっての。そう、関係ない。関係ないんだ。………明日シュンにちょっと言っとくか」


*************************


「大島くん、なんで堂々と女子の着替えに混じってるの?」
「え?…ああ。すまん。もうこっちの暮らしが長かったからそういうの意識してなかった。長谷部さんが気にするんだったら俺だけ時間ずらすか、別の場所で着替えるようにするけど?」
「え、あ、うん」
「いや、何きょどってんの?」
「ああ、うん。こんな冷静に返されると思ってなかったから。こういう時って普通もっと慌てたりして弁明すべきなんじゃないの?」
「いやー、俺生まれ変わってからっていうもの、女子の体に魅力を全く感じなくなっちゃってさ。男だった時あんだけ夢中になったのが嘘みたいにさっぱりとね。だから女子の体見ても何も感じないの。おかげで罪悪感とかそういうのも感じなくてさ」
「へー。ちょっとは恥ずかしいとか思わないの?」
「公爵令嬢なんて身分に生まれると、着替えから風呂の世話まで全部侍女にやらされるんだぜ?羞恥心なんてどっか飛んでったよ」
「そ、そう。それはそれで大変そうだね」
「ああ。だからそれから解放された寮生活は快適だわ。むしろ他のお嬢様連中が侍女がいなくて不便って愚痴ってんのが逆に信じられねえ」
「ああ。それはあたしも思う」
「あ、で?俺はやっぱり別の場所で着替えようか?」
「あ、うーん。なんか、今の大島くんの話を聞くと大丈夫そうかな?いずれ慣れなきゃならないだろうし、このままでいいよ」
「いいのか?」
「うん。女としては先輩だからね。人を導くのがあたしの使命。任せておいて!」
「お、お手柔らかにな」
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