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8話「ピョン太の部屋」

‘カレー’を食べ、腹痛で入院した俺は3日後に退院した。


妹は入院中に毎日見舞いに来てくれて住民達からの見舞いの品を持ってきてくれた。


何故か住民達は直接来てくれなかった。


もはや見舞いではない。


チャールズからは手榴弾……もちろんいらない。

麗華ちゃんからは名刀コレクションNO.36『魅頭妖感みずようかん

この刀を握ると、どんな病も治るらしい……何度握っても腹痛は治らんし、普通に水ようかんをくれた方がマシだ!

そして自分のコレクションを易々と他人に渡すな!

恵理華ちゃんは花束、普通かと思ったがギャグなのか本気なのか菊の花束は縁起が悪い……死んでないぞ俺。

うっかり間違えたことにしておこう。

一撃家一同からは

「筋トレ特別メニュー」

の本……悪いが俺は普通の人間だ!入院中にできねーよ!


ピョン太からは大量の特性頭痛薬……はじめから期待してなかったし俺は腹痛だ!


……唯一まともだったのは間様が作ってくれた折り鶴くらいだな。


クタビレ荘に戻って……まずは妹に料理を作ることを禁止した。

趣味をもつことは素晴らしことだが、とりあえず料理以外の趣味を見付けてもらうことにしよう。

「そーいえば」

「ん?」

「兄さんが退院したら203号室に来てくれってピョン太さんが言ってた」

「ウサギが?」

嫌な予感がする……。

よりによって一番会いたくないヤツに。


俺は渋々203号室へ向かった。


……ピンポ〜ン

「入っておいでピョン」

……ガチャ

……シュシュシュ


「だぁぁぁ!」

無数のメスが飛んできた……避けるのは少しばかり慣れてしまった俺。

「いきなり何すんだ!」

「ちぃ……」

「あ!今舌打ちしやがったなウサギ!」

「まぁまぁ今のは忘れてくれピョン」

危うく実験体として捕獲されそうになって簡単に忘れてたまるか……。

「こっちは病み上がりなんだからな」

そして部屋の奥へ入ると薬瓶や謎の機械、魔法の本など俺には到底理解できない物が散乱していた。

「少しくらい片付けてたらどーなんだ?足の踏み場の無い」


部屋中を見回していると、部屋の隅にもう一人の俺が立っていた。

「俺?」

「あぁ……コレはクローン人間だピョン、前に君が挨拶に来た時に髪の毛を一本抜いておいたピョン……髪の毛一本で君のクローンは簡単にできたピョン」

世界の平和のために今ココでコイツを殺しておくべきか?

「ちなみに君の妹さんの髪の毛も取得済みピョン……これで強くて無表情、冷静かつ残酷な君の妹が作れるピョン」

「テメェ人の妹で何企んどんじゃ!」

「でも君と違って拒絶反応がヒドくて妹さんが全然作れないピョン」

よくわからんが俺は妹に負けているということか……いろんな意味で。

とりあえず妹は作らなくていいぞ。

「いいから本題に入れ」

「うむ……本題はコレだピョン」

ピョン太が手にしているのは目も口も無い一羽のフクロウ。


「なんだソレ?」

「このシメフクロウは人間の魂を吸う貴重なフクロウだピョン、今朝やっと宅配で届いたピョン」

たぶん東野さんだな。

「このフクロウと完助君を合体させて鳥人完助を作るピョン」

やっぱりきた!

ふざけるな!実験体になってたまるか!


しかも何故シメフクロウなんだ?他の鳥でも作れそうだが……。


俺は玄関の扉を開けて逃げようとした。


「逃がさないピョン!飛美ピョン太の名の下に!いでよ!不思議の国のア〇ス!」

「そいつは今ケガしてるんじゃねぇ〜のかよ!」

「う……そーだったピョン!……ならば」

ピョン太は杖を手にした。

「くらえ!大魔法ファイアショット!」


やばい!燃やされる!

俺はその場にしゃがんだ。

……ん?燃えない?つーか体が動かないぞ?

「ヒョヒョヒョ引っかかったピョン……実はファイアショットは相手の体の自由を奪う魔法だピョン」

くっ……紛らわしいうえにムカつく!

「さてと、実験を開始するピョ……?アレ?シメフクロウは?」

部屋を探し回るピョン太。

「そーいえば玄関から出ていくの見たぜ」

「うがぁぁ僕のシメフクロウが!」

外へ出て走り回るピョン太。


《一方201号室》


「やった……フクロウ捕まえた、小腹が空いてきたし兄さんにバレないうちに鍋にして食べよう」


説明しよう!妹は何故に魂を吸われないのか、それは妹がシメフクロウの頭部を掴んでいるからだ……シメフクロウは頭部を掴まれると魂を吸うことができないのだ!


……ザシュ!グチャグチャヌチャブチュ!


《あまりにグロテスクなため203号室へ》

「クソッ!こーなったら予定変更、完助君をミイラにして黒魔術の生贄になってもらうピョン」

その件が残っていたか!

……ん?体が動くぞ?

「しまったピョン!魔法の効果は2分15秒で消えてしまうんだピョン!」

微妙な魔法だな。

とにかくコレで逃げれる!

「逃がさないピョン!くらえファイアショ……!」

「させるか!」

ピョン太が魔法を唱える前に俺はピョン太の机の上にある黄色い液体の入ったフラスコをピョン太に投げつけた。

……ガチャーン!

「ぎゃああ!」

ピョン太は見る見るうちに小さくなり、消しゴムほどの大きさになった。

コイツこんなのまで作ってたのか。

俺はピョン太を掴んで瓶に入れてフタをした。

「だ……出してピョ〜ン」

「拒否する!」

そして俺はピョン太の部屋を出た、二度と203号室には行かないことを心に誓いながら。


※夜……結衣さんがピョン太を瓶から出した。

そして間様は実験の件でピョン太に注意したらしい。

とりあえず一件落着だな。

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