5話「回覧板・飛美家編」
さぁ最後のお宅へ参ります……
このアパートの住民達に翻弄される哀れな男、此似手完助19歳!
回覧板は最後まで俺の手に……もぅゴミ出しとかどーでもいい感じがする。
203号室
飛美家
ついに恐怖のあまり妹を盾にチャイムを鳴らす。
……ピンポーン
「僕に何か用ですかピョン?」
二足歩行で紳士の格好をしたウサギ……
身長約2メートルが俺の隣に立っていた!
「うぉぉ!いつから居たんですか!?」
オーバーリアクションに慣れてしまった俺。
「ん?お嬢さん迷子?家出?それとも駆落ですかピョン?」
「いいえ、あなたを殺しにきたの……」
主旨間違ってるぞ妹よ!話をややこしくするな!
「え、え〜と俺は201号室に引っ越してきた此似手完助、そして妹の終羽里です」
「ふ〜ん、僕は飛美ピョン太だよ……化学者として大学の教師をしながら最近は黒魔術にハマってるピョン」
最後の最後まで変なヤツばかりだ……。そしてウサギの授業を受ける大学生が目に浮かぶ……。
「ところで完助とやら……今、僕はミイラを生贄に人を呪い殺す黒魔術を研究中なのだが……協力して欲しいピョン」
「俺にミイラになれと……絶対にお断りです!」
まったく……まともなヤツはいないのか。
「じゃあ……妹さんにお願いするピョン」
ぶっ殺すぞウサギ!
つーか妹に手を出すとテメェの方が死ぬわ!
…………落ち着け俺、平常心だ。
「冗談やめて下さいよ……はいコレ」
そう……回覧板をコイツに渡して終わりだ。
「コレは何ですかピョン?」
ピョン太は回覧板を見て顔色が徐々に変わっていく。
「僕は今、黒魔術のことしか頭にないピョン……ゴミ出しは黒魔術に関係ないピョン、僕をバカにしないでくれピョン」
……ガッ!!
ピョン太の投げた回覧板が見事に俺の額に当たった。
「コラァ!ウサギてめぇぇ!」
俺はピョン太の耳を掴んで言った。
「あーーー!僕を怒らしていいのかピョン!黒魔術の恐ろしさを教えてやるピョン!」
ピョン太は両手を掲げて叫んだ。
「飛美ピョン太の名の下に!いでよ!不思議の国のア〇ス召喚!」
あ〜やっぱり……ドアの周りの飾り付けは不思議の国のア〇スをイメージしてたのか……。
何もない地面から約10センチの扉が現れた。
……ギィィ。
扉は開き、中からドレスを着た小さなブス女が出てきた。
……グチャ
いきなりブス女を踏み潰す妹。
「アーーー〇ーーースーーー!」
見事だ!妹よ!
「待っていろア〇ス!今すぐ回復術で治してやるピョン!」
慌ててピョン太はア〇スを掬い上げ、しばらく沈黙……。
そしてピョン太は気づいた。
「しまったーー!僕は回復術を覚えてないピョン!完助君!ア〇スのために今すぐ生贄に!」
「近寄るなウサギーー!」
逃げる俺!
追うウサギ!
そしてウサギの耳を掴む妹!
「兄さん、今晩はウサギの肉鍋ね……」
ピョン太はアッサリ肉片と化した。
読者は心配しなくても、次回までには再生してる…………はず。
もちろん食べてません、てか食べれません。
ここまでなると逆にピョン太に同情します……。
こーして俺と妹のクタビレ荘での初日は幕を閉じた……いつの間にか回覧板も見当たらない。
後から聞いた話によると結衣さんが回収したらしい。
ハァ…………くたびれそう。
☆プロフィール
203号室
飛美ピョン太
年齢……不詳(本人は一応‘永遠の20歳’と主張)
※化学者。大学教師。黒魔術にハマる。不思議の国のア〇ス全治2ヶ月。