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34話「旅行〜後編〜」

 ボロ旅館で1日を過ごして、ゾロゾロとロビーの方に姿を現すクタビレ荘メンバー。

ロビーには暖炉もソファーもあるし、それなりに設備も調っている。

「う〜ん、まだ眠いピョン」

目を擦りながらスキーの準備をするピョン太。

「がっはっは、スキーじゃスキーじゃ!ロープウェイに乗るぞ皆の衆!」

老人は早起きだ、友蔵は一人でハシャいでいる。

周りからは返事がない。スキーのために集まって旅行に来たのだが……正直な話、みんな乗り気じゃなかったりする。

それを見て、一人落ち込む友蔵。

「僕が付き合うピョン!」

仕方ない……って感じな顔でピョン太が一歩前に出て友蔵の肩を軽くポンっと叩いた。

ガシッ!

スキーウェアを来た友蔵は、ピョン太の耳を掴んで外へ出た。

「がっはっは!」

「ピョョョン!」


さようならピョン太!死んでこい!

俺達も一応着替えてはいたが、スキーは逃れることができた。

ところで昨日のカニ事件はと言うと、腹を満たした終羽里が近くの海で大量に捕ってきたらしい。

おかげで俺達は飢え死にしなくて済んだ。

「そーいえば終羽里、昨日は海でカニを釣ったのか?」

「……手掴み」

……終羽里は嘘をつかない。

割り切れ!コイツなら何でも有りだ!


《旅館前》

俺達が泊まった旅館とは別の旅館にいた客が一斉に山の上からスキーやスノボーで下りてきた。

俺達はソレを見てるだけ、あまりボロ旅館から離れたくない……と思ってたりする。

すると、いつの間にか雪だるまを作って遊んでいる二人の子供。

意外な組み合わせ……いや、ピッタリな組み合わせの終羽里とシュバリエさん。


「そういえば、シュバリエさんは今年で12歳ですね、終羽里ちゃんより年下になっちゃいますね♪」

フワフワ飛びながら寿さんが言った。

確かにシュバリエさんは呪いのせいで肉体的には今年で13歳から12歳になる。

「む……違う、私は今年で28になるのだぞ」

そう言いながら悪魔をイメージした雪だるまを一生懸命作るシュバリエさん。

つい俺は少しカラかった口調でツッコミをいれてしまった。


「まるで子供みたいに楽しく雪だるま作りますね」

「……くっ」

シュバリエさん、精神的にも子供になってきているのではないだろうか?

その時、横で一緒に雪だるまを作っている終羽里がシュバリエさんに声をかける。

「……楽しいね」

恥ずかしそうな顔をしながら返事をするシュバリエさん。

「う……うん」

……お似合いの二人である。


「死を招くクタビレ雪合戦!!」

拳使郎の一言で急遽始まった雪合戦。


Aチーム『拳使郎・恥芽・チャールズ・鈴木』

Bチーム『俺・愛子さん・麗華ちゃん・絵理華ちゃん』


「ちょっと待てぃ!いくらなんでもBチームが不利だろ!つーか俺は別に雪合戦したく無いし!」


俺は激怒した。

「じゃあ私が入ります」

シュパっと手を挙げる寿さん。

「幽霊に要は無い!」

拳使郎が言った。

「ガーン!」

涙を流しながらユラユラとボロ旅館へ帰っていく寿さん。

ちなみに間様と結衣さんは、旅館のロビーにある暖炉の前でソファーに座りながら茶を飲んでいる。すでに観戦モードである。

「つべこべ言わずに開始!」

拳使郎の一言で弟の恥芽が気合いを入れる。

「僕がんばるよ兄ちゃん」

「勝手に始めんな〜!」

ボフッ!

俺の顔面に雪玉が当たる。

「うぐっ!」

チャールズと鈴木の雪玉乱射攻撃。

「ファイヤー!鈴木二等兵ファイヤー!」

「イエッサー軍曹!」

くそっ!こーなったらヤケクソだ!

俺も雪玉を作って応戦するが、4対1じゃ話にならん。

他の3人は何をしてるんだ?

後ろを振り返ると……。

「きぃ〜、また失敗ですわ」

「姉さん不器用ね」


「おだまり!」

何度も雪玉を作り直す麗華ちゃん、麗華ちゃんの雪玉が出来上がるまで待っている絵理華ちゃん。


グッ……ボロ

「あら?」

グッ……ボロ

「あらら?」

雪玉を作っても自分の握力で握り潰してしまう愛子さん。


役立たずばっかりじゃん!


バフッ!

「きゃ!」

拳使郎の投げた雪玉が絵理華ちゃんの頭に当たる。


シャキーン!

「うおぉぉぉ!腐れ外道がぁぁ!」

「だぁぁ麗華ちゃん!刀はダメ!反則だ!」

「姉さん!私は大丈夫だから〜!」

必死に麗華ちゃんを押さえる俺と絵理華ちゃん。

「じゃあ反撃するわよ♪」

愛子さんは考えた。


縦横5メートルの大雪玉を作れば潰れる心配は無いと……。


ヒュッ!

ドシーン!

「ぎゃあああああああ!」

ナイス愛子さん!

……と言いたいが麗華ちゃんを先に止めてほしいかも。

「くっ、おのれオフクロめ」

「さすがお母さんだね」

立ち上がる一撃兄弟…………と、ロケット砲?

チャールズと鈴木が二人掛かりで構えているのはロケット砲。

いくらなんでもソレはやりすぎだ!

「汚ねぇぞチャールズ!」

「すいません兄貴」


謝るならロケット砲を下ろせ鈴木!

「戦場では死は付き物だよ完助ボーイ」


ドキューン!


そんなもの知るかバカヤロ〜!!


ロケット砲の弾は俺達Bチームを大きく逸れて山の頂上へ……。

助かったが軍人目指してるのに命中率無いなチャールズ。


ゴゴゴゴゴゴ……


「ん?」


これって……雪崩か?

周りから猛スピードで下山する人々。


ゴゴゴゴゴ……!


「ぎゃあああああああああ!!」


……雪崩に巻き込まれたクタビレ荘メンバー(他、一般の人々)


ケガ人……0名。

死者……0名。

行方不明者……0名。

……奇跡が起きた。

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