表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/38

26話「自衛隊体験」

ある日101号室の鈴木から突然、チャールズと一緒に買い物に付き合ってあげてほしいと頼まれた。

なんでも母親が危篤状態らしく、付き合えないらしい。

まぁ買い物くらいなら……と、俺はチャールズと一緒に。






日本特殊自衛隊基地に着きました。


軍の訓練1日体験ができるらしく、チャールズに忠誠を誓ったはずの鈴木も去年……死にかけたらしい(後にチャールズから聞いた話)


はい、そーです。

鈴木に騙されました。

え〜、銃が大量にあります。

まさに軍の危地(基地)です。


終羽里……お兄ちゃんを助けておくれ。



「1年に1度の自衛隊体験の日に母親が危篤とは鈴木二等兵は実に残念ダ」

残念だなチャールズ、ヤツは逃げたんだよ。

あ〜、俺も逃げたい。

落ち込む俺、そんな俺の気持ちを知らずに近づいてくる一人の男。

コイツが教官か……。

いきなり腕立てとかさせられるんだろうな、いや……その前にストレッチかな?


「1周、約1キロあるグラウンドを20周してもらおうか?」



いきなりグレード高くねぇかオイ!?


せめて最初は軽くランニングだろ?

これが軍のウォーミングアップなのか?


「サッサと行かんか!」


くそっ!行けばいいんだろ、行けば……。


スタタタタタタッ


俺を一瞬で追い越すチャールズ。

そんなハイペースで体力持つのかよ?


《30分後》


持っとる。


つーか走り終えとる。

俺はまだ10キロも走っていない、すでにヘバッている。


「はぁはぁ……無理、もぅ走れん」

俺はその場に倒れ込んだ。

汗の流しすぎで、もはや汗も出なくなっている。

「だらしないヤツだな、仕方ない……次の腕立てを千回から千五百回にするから走らなくていいぞ」



すでにヘロヘロの俺には意味の無いオマケだな。

鈴木のヤツは俺より体力無いからな、確かに死にかけたのが納得できる。


「さぁ休憩無しだ!はじめ!」

「イエッサー!」

意気込むチャールズ。

「イ、イエッサ〜」


「情けない声を出すんじゃない此似手完助!」


ドスッ!


容赦ない鬼教官のボディーブロー!

「ぐはっ!」


「ヘイ、完助ボーイ!教官に逆らわない方が身のためで〜ス」

そう言って俺に駆け寄るチャールズ。

くっ、チャールズに慈善されるとは情けない。


俺とチャールズは横に並んで腕立てを始める。

すでにボロボロな俺は半泣き状態、一方チャールズはペースよく腕立ての回数を増やす。

俺が50回を終えたときには200回を超えていた。


「完助ボーイ、運動不足にも程がありますヨ」

「うるせぇよ、俺より運動不足なのは203号室のウサギだろが!見る度に太りやがって……この訓練を受けるべきなのはアイツだろ」

「言われてみれバ、そうですネ」

すると、教官は俺とチャールズの間に佇み叫ぶ。

「私語を慎め!」


バシッバシッ!


持っていた竹刀で俺とチャールズの背中を叩く。

「ぐっ!」

「ぐオッ!」


「この後に腹筋や戦闘訓練があるんだぞ、気合いを入れていけ!」

マジで生きて帰れるのだろうか?

間様や皆が居るアパートに帰れるのだろうか?


「すみませ〜ん『やりすぎ宅急便』で〜す」

あれ?東野さんだ?


空豆店長もいるぞ?


「おや?完助さんにチャールズさん」


「東野さん、どーしてココに?またロボットになって暴れたりしないでしょうね?」

「ははっ、大丈夫ですよ」

肩を弾ませて笑う東野さんの後ろから、空豆店長が声をかける。

「東野、早く要件を済ませるんだ」

「あ……そうですね、教官どうぞ」

東野さんは教官に一通の手紙を渡す。


その手紙には極秘と書かれていた。

封を開けて読みだす教官。


「なにっ!?日本が戦争を始めるだと?」


えぇぇぇぇぇ!?

何で?

平和な国じゃないのかよ日本!

「ついに来たか……時代ガ」

お前は黙れチャールズ。


「よしっ!訓練体験生のチャールズ!そして此似手完助を正式に我が軍の兵士として勧誘しよう!」


「イエス!ありがとうございまス!」

興奮するチャールズ。

「ふざけんなコラァ!イヤに決まってるだろ〜!」


狂いだす俺に向かって拍手をする東野さん。

「よかったッスね完助さん」

俺に握手をして涙を流す空豆店長。

「おめでとう完助君!」


意味がわからん!


い〜や〜じゃ〜!!




……


「……さん」


「……兄さん」


「……起きて兄さん」

終羽里の声で目覚める俺。

周りを見ると201号室の布団の上だった。

外はまだ夜中、さっきのは夢だったのか?

「……大丈夫?すごく魘されてたわ」

「あぁ、大丈夫だ……夢でよかった」


リアルな夢だったな。


《午前7時》


ピンポーン


誰だ?こんな朝っぱらから?


ガチャ


ゲッ!……鈴木。


「兄貴、ちょっと頼みたいことがあるんですが……」


あれ?夢で見たときと同じ状況だぞ?


あれれ?


……まさか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ