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25話「恋愛会議」

女です!


201号室に女性陣が大集合です。

部屋中に女性陣の姦しい声が響いてます。



俺は耐えきれずに外に出ようとするが、晶子ちゃんに引き止められた。

「ドコ行くん完助君?」

「うるさいから外に出るんだよ」

「アカン!部屋の主が出て行ってどないすんねん!」

そう言われて仕方なく部屋に戻る俺。


どーやら女性陣が集合して、会議をするらしい……なんの会議なんだろうか?


「見て下さい完助さん!」

寿さんと愛子さんが洗面所から出てきた。

「じゃ〜ん!」


二人に背中を押されて、ひょこっと現れたのは白いカッターシャツに赤と黒のデニムスカート姿の終羽里だった。


「えええええっ!」


俺は妹のスカート姿を見るのは産まれて初めてだった。

いつもジーパンとかだからな。

「私が中学生の時に着てた服なの、終羽里ちゃんに似合うと思って……どーかしら完助君?」

愛子さんが頬に手をあてて聞いてきた。


「い、いいんじゃないっスか」

「ほんと!?よかったわね終羽里ちゃん」

終羽里はコクリと頷いて俺を見つめる。


なんだか気に入ってるようだ、俺は女の気持ちをわかっている方なのだろうか?


この場に居ると、つくづく思う。

つーか何やってんだよ三人とも……。



「完助!」

麗華ちゃんの怒鳴り声が俺の耳の鼓膜を突き破る。

「な、なに?」

「結衣は話になりませんわ、コレクションNO.79『満斗火氷まんとひひ』という世界に数本しかない希少な火と氷の属性刀の素晴らしさ……完助ならわかりますわよね?」


結衣さん同様まったくわからん!

一つ言えるのは火と氷は相性悪すぎってことくらいか。

「すいません、俺にもサッパリわかりません」


「なんですって?」


すでに麗華ちゃんの疼く右手は刀を抜こうとしていた。

「わかりますわよね?」

「……いや」

「わかれ!」

「……はい」


「よろしい」

魔性のような麗華ちゃんの笑み、本当にムチャクチャな女子高生だな。


「完助殿、完助殿」


間様はニコニコした顔で手招きしている。

今度は間様か……。


「見てくれ、私が一番好きなアネモネという花じゃ……綺麗じゃろ?」

「……はぁ」

我が家のテレビの上に間様によって突如置かれた赤いアネモネの花、確かに綺麗な花だけど。俺が今、気になっているのは花よりも女。

コイツら……個人の趣味を部屋に持ち込んで遊んでるだけにしか見えん。

結衣さんも部屋の隅で忍具を一つ一つ丁寧に磨いてるし、恵理華ちゃんとシュバリエさんは勝手にキッチンを使ってチャーハン作ってるし……ついでに言うと、シュバリエさん意外と家庭的だし。

「みなさん食事ができました」

「手を洗ってから食べなさいよ、特に結衣」

なんで私まで部屋に呼ばれたんだ?という顔をしながら、ちゃかりしてるシュバリエさん。


「会議の前に腹ごしらえですね」

寿さんの一言で、俺の堪忍袋の尾が切れた。

「うがぁぁ!あんたらいい加減にしやがれ〜!!」


寿さんは誰よりもビクッと反応して驚いた。

「怒鳴らなくても完助君のはあるわよ」


「ちが〜いますよ愛子さん!俺は何で会議のために201号室を使うのか知りたいんですよ!」


「なんや、そんなことかいな」

呆れた顔で晶子ちゃんが言った。


「私も詳しく知らないが、何なの結衣?」

シュバリエさんが腕組みしながら結衣さんに聞いた。

「……それは」



シュバリエさん以外の全員が一斉に俺の方を見て一斉に答えた。

「主人公だから」


くっ、俺がいないと始まらないからか……好きで悲劇の主人公になったんじゃないのにな俺。


「というのは冗談でして」

冗談ですか恵理華ちゃん……メチャクチャ凝った冗談だね。


「皆さんには私のことで集まって頂いたんです」

俯く恵理華ちゃん。


いったい何だろう?


「じ、じつは……私。好きな人ができたんです!」


なに〜!?


俺か!?


ハハッ、モテる男はツラいね。


「おっ!誰じゃ恵理華殿?」

間様は興味津々な顔で恵理華ちゃんに耳を傾ける。

恵理華ちゃんは顔を赤くして答えた。


「良平さんです」



チャールズの唯一の部下の鈴木か〜!!


なんでだ!?

なんでヒョロッとして頼りなさそうな鈴木なんだ?


「恵理華、あんたってあんなのがイイの?」

ナイスな質問だ麗華ちゃん。

「はい……なんだか支えてあげたくなるというか、見守ってあげたくなるというか」


「とりあえず食事が済んだら早速告白じゃな」

ウキウキとした間様が言った。

「え……そんな、今日ですか?」

「当然だ恵理華、こーいうのは早い方がいい」

結衣さんも顔には出していないが、かなり知りたいようだ。


「この手の話が好きだからね、フェノは」

あまり興味の無さそうなシュバリエさんは両手の肘をテーブルに付いて言った。


「楽しみね、若い時に光太郎さんから告白されたことを思い出すわ」

「がんばりや恵理華!」

「は、はい」

ちょっと自信なさげな恵理華ちゃん。


「私が生きてた時には、いろんな人に告白して‘付き合ったりフラれたり’したもんですよ恵理華さん」


どうせ寿さんのことだから道端にいたカエルとかカタツムリとかと付き合っていたのだろう。


《101号室前》


「なんでしょう恵理華さん?」

「あの……その」


ちょっと離れた場所で見守る俺達。


恵理華ちゃんが好きな人が俺じゃなかったのは悔しいけど、がんばれ恵理華ちゃん!


「す、好きです良平さん。私と付き合って下さい!」


さぁ!鈴木の返事は?


「はは……そーいうことはお断りします」


うそっ!!


「俺が愛する人は軍曹ただ一人ですので」


バタッとショックのあまり恵理華ちゃんが倒れた。

チャールズに負けた恵理華ちゃん。

同時に鈴木に斬りかかる麗華ちゃん!


「悶え死にやがれ軍人気取りがぁぁ!!」


しかし麗華ちゃんの刀は、あっという間に燃えて溶けた。


「満斗火氷〜!!」



あっさりと恵理華ちゃんの恋は終わり、女性陣が恵理華ちゃんを慰める。


結果……ますます麗華ちゃんがチャールズ家を嫌いになっただけに終わった。

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