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23話「運動会」

翻弄されれば日本一かもしれない男!


此似手完助!


最近、妹に振り回されている俺に試練がやってきた。


妹からの突然の報告。



「……兄さん、明日学校で‘運動会’があるの」




う・ん・ど・う・か・い


普通は楽しい運動会、しかし終羽里が参加すれば何人の死人が出るのか想像がつかん!


「よし!明日は俺が監視……じゃなくて応援に行くからな!」

「……無理しないで、明日は大学でしょ?」

「いや!休んででも行かしていただきます!」


「……?」



《運動会当日》


冷静になって考えてみれば、去年も一昨年も運動会は平和に終わったんだ。


だったら俺、心配して来なくてよかったかも……。

しかし、妹と一緒にクタビレ荘に住み始めてから暴走してるからな……変な方向に。


「ふひゃ〜!いっぱい人がいますね完助さん!すごいです〜」

そして何故かいる寿さん。

よっぽどヒマだったのだろう。

「他の人には見えていないとはいえ、ウロチョロしないでくださいよ寿さん」


「はぁ〜い!」


本当にわかっているのだろうか?

「ところで完助さん」

「なんスか?」

「運動会って、どーいった戦ですか?」



この人なにもかもわかって無いじゃん!


説明するのもメンドクサイ。


先に会場に来ているはずの妹を探していると、俺の目の前にもう一つ試練が現れた。


「おぉ〜完助君!君も来てたのか!?」


ジジィ!?


嘘だろ……何故に一撃家一同がココに?


も、もしかしたら……もしかして!


愛子さんの後ろでコソコソ隠れている恥芽は体操着を着ていた。

クタビレ荘に居て初めて知った……恥芽って終羽里と同じ学校だったのか!

「恥芽!がんばるんだぞ!」

「うん!」

光太郎さんが恥芽に気合いをいれる。

愛子さんはキョロキョロしながら言った。

「完助君も終羽里ちゃんの応援に来たのね、それで本人は?」

「さっきから寿さんと探してるんですけど、どこにいるのか」


……ん?

拳使郎もいるじゃないか、アイツ学校どーしたんだ?

まぁ俺もだけど……つーかドコを見てるんだアイツ?


……まさか。


拳使郎の視線の先には何故か赤いジャージを着た終羽里の姿があった。

残念だったな拳使郎、終羽里の体操着姿が見れなくて。

ってか終羽里のこと諦めてない感じだな。

ジャージを着ている終羽里を教師も生徒もツッコまない。


むしろ馴染んでる。


俺は終羽里のもとへ駆け寄った。


「捜したぞ終羽里、体操着姿の女の子ばかり捜していたから気づかなかった、何故にジャージなんだよ」

「……なんとなく作者のノリよ、気にしないで」


とにかく運動会は幕を開けた。


競技は至って普通に進行していき、一撃家も‘大人しく’観賞。

光太郎さんは恥芽をビデオカメラに録画する。

感心感心、普通の家族だぞ。


寿さんの興奮も治まらない。

朝早くにシートの場所取りをしていない俺は、運動場の隅の方で座って競技を見ていた。

プログラムを見ると、四年生の恥芽が出る競技は『50メートル走』と『大玉転がし』で六年生の終羽里は『組立体操』と『綱引き』。


終羽里は団体競技しか出ないようだが、注意するべきは綱引きかな?

ヘタすりゃ終羽里だけで勝ってしまう。


妹が綱を引っ張って飛んでいく小学生が目に浮かぶ。


それにしても妙な気分だ、アッサリしていて怪しい。

俺は立ち上がり、一撃家のもとへ向かった。

そこで俺は見た!


競技は四年生の50メートル走、恥芽が走り出した瞬間に友蔵は高速で指を動かしている。

その手には小石が大量にあった。


指弾か!?


マシンガンのように飛ぶ小石が、走る生徒の足に当たり次々と転んでいく。

恥芽は楽々と1位になった。


ズルい……。


「おいジジィ、たかが運動会でナンセンスなことしてんじゃねぇよ」

「バカモノ!たかが運動会‘されど’運動会じゃ……1年に1度の晴れ舞台!フッフッフッ、久々に血湧き肉踊るわぃ」


ジジィが興奮してどーすんだよ。


《昼》

親たちが自慢の弁当を披露するなか、俺と妹は愛子さんに呼ばれて一撃家とともに昼食にする。

「しっかり食えよ恥芽」

そう言って光太郎さんは弁当箱を開ける。

肉!肉!肉!


肉しか入っていない一撃家の弁当箱。

栄養が片寄り過ぎだぞ。

「お父様がメニューを肉料理だけにしろって、しつこくて……」

困った顔の愛子さん。

そんななか肉料理を頬張る拳使郎と恥芽。

残念ながら俺が作った弁当は野菜もちゃんと入っている普通の弁当だ。

終羽里は一撃家の肉料理を少し気にしながら俺の弁当を完食した。


《午後》

終羽里は超手加減して綱引きを終える。

ふぅ〜、どうやら目立った問題は起こらなかったようで安心したな。


「……じゃあ兄さん、がんばって」

「はい?」


まだ何かあるのか?


俺は再びプログラムに目をとおした。


『PTA玉入れ競技』


マジかよ、最後になってピンチだ。

「オヤジ〜!オフクロ〜!これで勝てば優勝だぞ〜!」

拳使郎が叫ぶ。


よりによって恥芽が紅組で終羽里が白組とは……。

終羽里は意外と負けず嫌いだからな。


パァ〜ン!


ピストルの音とともに保護者が一斉に玉を投げ始める。

白組の方が若干多く玉が入っているようだ。


シュシュ……ドス!


痛っ!イタタタ!


なんだ?赤い玉が大量に俺目掛けて飛んできた。

「がっはっはっ!いいぞ!光太郎!愛子さん!」

友蔵の声で俺は気づいた、一撃夫婦の襲撃だ。


くそっ!このままじゃ負ける。


シュシュ!


うわっ!また飛んできた!


しかし、赤い玉は俺には届かずに何かに弾かれて地面に落ちる。

よく見ると周りには小石だらけ……また指弾か!?


指弾を撃っていたのは終羽里だった。

ナイスだ終羽里!


妹のサポートもあって白組が見事に優勝。

一撃家は大人しく帰っていった。



《次の日》

アパートに一撃家の姿が見当たらなかった。

「間様、一撃家の人達は何処へ行ったんスか?」

「……ん、修行のために山籠もりだとさ」


そんなに悔しかったのか。

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