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22話「TVゲーム」

窓からは灰色の雲が見える。

今日も、また雨が降るらしい。

最近は雨が続いている、妹も俺も今日は外に出ないことにした。


ガチャ


「……兄さん、東野さんから小包が届いたわ」

「東野さんから?本人が持ってきたんじゃないのか?」

俺は終羽里から小包を受け取り開けてみた。

中にはTVゲームのソフトとゲーム機本体が入っていた。

普段ゲームをしない俺にとって、ゲーム機本体まで送ってもらうのは嬉しいことなのだが……怪しい。

小包の中から手紙も発見した、『空豆店長と一緒に作ったゲームです、妹さんと楽しんでプレイしてください』と書かれていた……ますます怪しい。

「やってみるか終羽里?」

「……別にいいけど、ゲームは苦手かも」

俺はソフトをセットして本体を起動させた。


『完助の冒険(体験版)』


あきらかに俺専用ゲームだな……

しかも何故に体験版?


ゲームのジャンルはRPGロールプレイングゲーム


どうやら二人で世界を救うために魔王を倒す冒険ゲームらしい。


有り勝ちながら、これがまたハマるんだよな。


最初にキャラクターの名前入力画面になった。

慣れない手つきでコントローラーを操り、俺は

「カンスケ」

妹は

「オワリ」

にした。

次にクラスを決める、俺は平均的に強い剣士、妹は攻撃力と防御力がない代わりに魔力が高い魔術師に決まった。


決定ボタンを押してゲームスタート。


ピロリロリロリン


『では頼んだぞ!勇気ある者カンスケ、そしてオワリ!』


王の命令により魔王城へ向かう。

スタート地点である街を出て森へ向かうらしい。

その前に俺はメニュー画面を開いてステータスを見ることにした。


【カンスケ】

クラス・剣士

レベル・1

体力・10

攻撃力・8

防御力・7

すばやさ・5

魔力・0

武器・戦士の剣


【オワリ】

クラス・魔術師

レベル・計測不能

体力・計測不能

攻撃力・計測不能

防御力・計測不能

すばやさ・計測不能

魔力・計測不能

武器・ありとあらゆる武器




待て待て待て〜い!


ふざけてるのか!オワリのステータス!


計測不能……俺は強すぎて計測ができないと解釈した。

冒険の始まりから俺はバケモノと旅をするのか!?

つーか魔王と旅をする方がマシだ!

武器もなんでも持っていやがる!

俺と比較するのが恥ずかしいわ!


このステータスを見ても終羽里の表情は変わらない、冷静な顔で画面を見つめている。

とりあえず俺はキャラクターを操り、森の中へ入った。

RPGの定番であるモンスターが‘オワリ’から逃げる。


気迫か?

モンスターの気持ちが痛いほどわかるぞ、オワリに近付く=死!……みたいな。


しかし、イノシシのようなモンスターが1匹、俺のキャラクターに向かって突進してきた。


ドシーン!


「がはっ!」

カンスケがダメージを受けると、プレイヤーの俺にもダメージが!


まさか!

‘体験版’なのか!?

痛みが伝わるなんて、東野さんと空豆店長め……世界中のゲーム業界もビックリするような物を作りやがって。

しかし、それならオワリのステータスにも納得がいく、プレイヤーが終羽里だからな。


くっ腹が痛い!もう1発ダメージを受けたらヤバいか?


ゴゴゴゴ

ジュワーン


でもご安心あれ、ピョン太を遥かに超えるオワリの魔法詠唱スピード。


ドカーン!


超高等魔法でモンスターどころか森を消滅させた。


俺は笑うしかできなかった。


カンスケとオワリは一直線で魔王城へ……。

度々モンスターが現れるが、すべてオワリにまかせてしまう。

「……めんどくさい」

と言った終羽里、するとゲームの中のモンスターがバタバタと倒れた。


でた!!

シメフクロウの魂を抜く能力!

終羽里の手に掛かればゲームのモンスターの魂も抜けるようだ。


なんやかんやで魔王との対決、プレイ時間はたったの1時間……全国のゲームファンに怒られそうだな、武器もアイテムもセーブポイントもストーリーのイベントも全て無視。

結局、カンスケのレベルも1のままである。

なんか情けない。


「いよいよだな、ドキドキするな終羽里」

「……そう?」


すると、テレビの画面が消えた。

ゲーム機が変形していく。


ウィーン

ウィーン

ガチャーン!


ゲーム機は、チャールズが喜びそうなマシンガンなどを搭載したロボットになった。

「うおおっ!なんじゃこりゃ〜!」


どうやらコレが魔王ラスボスのようだ、要するに空豆店長は新しいロボットを俺に自慢したかっただけなのだろう。


俺は慌ててゲーム機のコンセントを抜いた。

しかしロボットは動いている。

「コンセントを抜いても無駄なのか?」


ロボットは俺に狙いを定めて右ストレートパンチ!


パシッ!


ロボットのパンチを止める終羽里。

「……兄さんに手を出さないで」


助かったぞ妹よ!


ロボットは透かさずマシンガンを終羽里に向ける。

しかし、弾が発射される前に終羽里のデコピンがロボットに炸裂。ロボットはバラバラになった。



その後、ゲームロボットを粗大ゴミに出したことは言うまでもない。

ますますゲームに縁が無くなったな。

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