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18話「麗華 VS 結衣」

グッドモーニング!


今日も平和な1日でありますように……と、俺は願いをこめてカーテンを開けた。


……ドン!ドン!


「完助さん大変です!姉さんが……姉さんが!」

願いは虚しく散りそうです。

メガネをかけて201号室の戸を開けると、そこには恵理華ちゃんが立っていた。


「どーしたんだい恵理華ちゃん?」

「姉さんと結衣さんが今にもケンカを始めそうなんです!」


ははは……助けを求める相手を間違えたね恵理華ちゃん。

あの二人を俺が止めれるわけがないでしょうが!


外に出て庭を見ると麗華ちゃんと結衣さんが向かい合って肩で息をしている。


麗華ちゃんの両手には刀、結衣さんの両手にはクナイが握りしめられていた。

周りには手裏剣やクナイが散らばっている。

すでに戦っていたのか!!

「ケンカ……というより殺し合いの原因は何なのさ?」

「姉さんが自分勝手なんです、チャールズさんと良平さんが海外へ旅行中の間に101号室に転居させろって間様に頼んだんです」


麗華ちゃん、まだ101号室の座を狙ってたのか。


《戦場の庭》


「しつこいですわ結衣、いつまでも101号室の軍人気取りが部屋を譲らないから頼んだだけでしょ!」

「俺が怒ってるのはそんなことじゃないんだよ麗華、キサマの頼み方に文句があるんだ!」

「軽く脅しに刀を抜いただけよ」


二人の全身の血が沸騰しているかのように湯気が出ている。


「結衣、麗華殿……とりあえず武器を置いて冷静に話し合わんか?」

「申し訳ありません間様、その命令には従えません」

「そーですわ!この猛りを静めるには斬るしか方法はなくってよ」

なんとも愚劣である。

それにしても麗華ちゃんが101号室を狙う理由がわからないな、1の数字が好きなだけとか?


有り得る……彼女は何より1番になりたいのかもしれない。


俺と恵理華ちゃんは1階に降りて間様のもとへ。

「間様……なんとかならないんスか?」


「麗華殿の頼みはチャールズ殿の了承がないと無理じゃ」


そりゃそうだ、旅行から帰ってきて部屋が変わってたら暴れて銃を乱射するだろうな。


「二人を見守るしかないのぅ……」

間様は大きくため息をついて言った。


「今回の刀は自信あるのかよ麗華?」


「NO.23『舞蹴流錠弾まいけるじょうだん』……そしてNO.4『鬼鈴きりん』はバリバリの戦闘タイプですわ、この刀で斬られた者は決して天国には逝けないのよ!」

恐ろしい!

……が、その刀を使った麗華ちゃんも決して天国には逝けない気がする。


「いくわよ結衣!」


「来い!」


……キン!キン!

… ガキィン!


二人の動きが速すぎて姿がまったく見えない。


「立花流奥義!香埋太薙!(かまいたち)」


……ドス!


麗華ちゃんが投げた鬼鈴を結衣さんは避けてクタビレ荘の壁に刺さる。

ついに刀を投げるのかよ……。

「忍法!火炎手裏剣!」


……シュシュシュ!


「……くっ!」


ギリギリで手裏剣を避ける麗華ちゃん。


恵理華ちゃんは地面に刺さった燃える手裏剣を消火器で消す。

二人の戦いがヒートアップするなか、終羽里がランドセルを背負い2階から降りてきた。

「……兄さん、そろそろ学校へ行かないと遅刻してしまうわ」

今はそれどころじゃない、学校へ行く前に二人を止めないと町に被害が及びかねん!

「このままじゃヤバいッスよ間様!」


「仕方がない……終羽里殿にまかせよう」

えぇ〜!なんでそ〜なるの!?

「……私にメリットが無いわ」

……そう!そうだぞ!

すると間様が袖から1枚の券を取り出した。

「阿修羅商店街にある人気焼肉店の割引券じゃ!」

「……二人供殺していいの?」


ぎゃぁぁぁ!

妹がやる気満々になってしまった!

「終羽里!絶対それはダメだ!」

「……心配しないで兄さん、少しだけ私のをあげるから」


違う!焼肉のことじゃない!

「死なない程度に手早く頼むぞ終羽里殿」

「……そのつもりよ、遅刻したくないもの」

妹は皆勤賞を狙ってます。

「ま……待て終羽里!この戦いを終結させる方法を思いついたんだ!焼肉は諦めてくれ!」

俺は終羽里の前に立って止めた。

「……いくら兄さんの頼みでもそれは聞けない」

俺は必死になって妹を止めながら恵理華ちゃんを手招きして耳元で伝えた。

「えっ!?それで姉さんが止まるんですか?」

「君が一番よく知ってることだろ……それしかない!お金は後で俺が払うからさ!」

「……わかりました」

恵理華ちゃんは戦う二人に近づき、今までにないくらい大きな声で叫んだ。


「姉さん!新しい刀買ってあげるからやめて〜!」


……ピタッ!


殺人鬼はおとなしくなった。


そして間様のもとへ歩み寄ると一礼して何もなかったように102号室へと戻っていく。


「一件落着……かな?」

俺は大きくため息をした。

「結衣もこれでよいな」

「はい間様……アイツがお辞儀をするなど滅多にありませんし、許すことにします」


しかし、これで安心はできない……いつまた麗華ちゃんが101号室を狙うかわからないのだ……。


‘戦い’は始まったばかりなのかもしれない……。


ちなみに焼肉店の割引券は終羽里が間様からちゃ〜んともらいましたとさ……

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