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11話「花火大会〜前編〜」

もうすぐ夏も終わる。

……夜。

都会から少し離れた場所にある、お墓の密集地に集合することになったクタビレ荘メンバー。

今日は花火大会の日である。

一番最初に俺と妹が到着した。

「俺達以外は誰もいないな?」

「……うん」

待つ間に近くの自販機で俺はお茶、妹はオレンジジュースを買って飲む。

「ジュース零すなよ、間様から借りた浴衣だからな」

「……うん」

今日は間様が子供の頃に着ていたらしい浴衣を妹が借りて着ている。

間様の子供時代、かなり……いや!超気になる!

想像をふくらます俺に近付いてくる双子の姉妹。

「ここから花火を見れば十分じゃない?わざわざ人の多い出店とかに行くと妹の身が心配ですわ……」

相変わらずだな麗華ちゃん。

……おや?

今日は一人多いぞ?


「初めまして〜!この双子の2つ年上の友達で大坂晶子おおさか・しょうこって言うねん、よろしくな〜」

「……ども」

関西弁を喋る元気な女性だな……浴衣も似合っていて美人だ。

「学校で仲良くしてる友達を連れて来ちゃいました、よかったですか完助さん?」

「うん……全然いいよ恵理華ちゃん」


《10分後》

「待たせたの」

間様と結衣さんが到着。

紫色が魅力的な浴衣の間様とスーツの結衣さん。

暑くないのかなスーツ?

しかし結衣さんの浴衣姿も見たかったな。

「私の浴衣の着心地はどうじゃ終羽里殿?」

「大丈夫、色も好き……」

「それはよかった」


間様と終羽里……並ぶと‘最強’の文字が二人の背後に見えてくるようだ。

そろそろ花火が上がる時間なのに他のメンバーは遅いな。

俺は間様に聞いてみた。

「間様、他のメンバーは?」

「……ん、さっき愛子殿から連絡があっての……宴会の場所取りをしてくれてるそうじゃ」


「じゃあ私達も早く移動しましょ、虫が多くてかないませんわ」

文句を言う麗華ちゃんを先頭に俺達は花火大会へと向かった。

「麗華ちゃん、なんだか今回の刀は違うね」

いつもガンガンにオーラが出ている刀ばかりなのに今回は少し短くスゴく綺麗な刀だった。

「これはNO.1『咲夜華さやか』……家宝ですわ」

「家宝!?気合い入ってるね、折れたりしない?」

「心配無用、コレは特別ですの」

「なんで家宝の刀を持ってきたの?」

「今日は私達姉妹の誕生日ですのよ」

へぇ……そーなんだ。

「だからプレゼントの代わりに一人くらい狩ってもいいかな〜と思いまして特別に持ってきましたの」

やっぱり理由は殺戮系か……。

「とりあえず二人とも誕生日おめでとう」

なんだか今夜は事件の臭いがプンプンするな。

《川沿い》

木の下にブルーシートを敷いて友蔵とピョン太が騒いでいた、近くにビールの缶が大量に転がっている。

「お!来たか完助君!こっち来て一緒に飲まんか?」

「僕と一緒に魔法について語ろうピョン」

「まだ未成年なんで遠慮しときます、魔法にも興味ありません」

なんだ?ジジィとピョン太は飲み仲間なのか?意外だな。

「妹さんはスゴく興味を持ってくれたピョンよ?」

「何!本当かよ終羽里!」

「うん、ピョン太さんが2年かけて覚えた魔法の数々を2日で覚えたわ……」


その瞬間ピョン太は口からアワを吹き出して倒れた。

妹の才能に相当ショックだったらしい。



「飲み過ぎですよ」

愛子さんが友蔵を心配して言った。

「大丈夫じゃよ愛子さん、大体ワシは酔わないように体を鍛えてあるんじゃ!」


ベロベロに酔いながら言うセリフじゃないな……しかも前回のプールの件で捕まったハズのジジィが何故にココにいるんだ?

一方、間様は……。


「では頼んだ結衣、期待してるぞ」

「おまかせください……では行って参ります」


結衣さんはカメラを片手に闇へと消えた。

「間様、結衣さんに何を頼んだんスか?」

間様はニコッと笑って話し始めた。

「私は花火大会に来る人々や景色の絵を描くのが好きでな、結衣に頼んで毎年いろいろと写真に撮ってもらってるのじゃ」

「へぇ……」

「特に子供の笑顔を描くのが好きじゃな」

やっぱり間様は清らかな一面もあるよな〜。

……ん?なんか人が増えてきたぞ。

人だかりに近付いて見ると、何かを囲むように人が円になっていた。

中心には拳使郎と恥芽が喧嘩をしていた。

どーやら恥芽の綿菓子を拳使郎が奪おうとしているらしい。


間様が求めている子供の絵は決してコレではないのは事実だな。

「ヒドいよ兄ちゃん!さっきも僕の林檎飴を食べたじゃないか……焼きそばも」


「うるせぇ!いいから寄越せ!」

一方的に拳使郎に殴られる恥芽。

馬乗りにされてボコボコになる……周りで見ている人達からは悲鳴などは聞こえるが喧嘩を止める者は誰もいない。

なんとなくわかる気もするけど……バトルオーラが漂ってるのが見える。

すると光太郎さんが拳使郎の拳を止めた。

そして恥芽を無視して拳使郎に暑苦しい抱擁。

「ナイスファイトだ拳使郎!」

次男に対しては歪んだ愛情だな。

マジで恥芽が可哀想だ。


「整列だ!鈴木二等兵!」

「ハッ!チャールズ軍曹!」

あ〜忘れてた、チャールズ達も来ていたんだな。

つーか一人しか隊員がいないのに整列はどうかと思うが。

「今回の任務は花火とやらを奪うことダ!打ち上げられる前に全ていただク!アレは我が軍にとって必ずや戦力になる武器ダ!」

「ボードの用意は出来てあります軍曹!」

「よシ!行くゾ!」


二人はボードに乗って川を渡り花火強奪作戦を開始した。

いつまで子供の心を持っているんだ、あの二人は……。

バカ二人を見送った俺に駆け寄る晶子ちゃん。

「なぁなぁ完助君、君もウチらと一緒にに行こうや」

晶子ちゃんと立花姉妹は出店の方へ行くようだ。

「そーだなぁ、終羽里も来るか?」

「……うん」

「間様はどーします?」

「私は遠慮しておく……楽しんでくるとよい」

ちょっと残念だな。


「本堂の近くで御輿がやってるらしいねん、行ってみよ!」


賑わいを増す出店の方に向かおうとした瞬間。


……ドーン!ドーン!


花火が始まった。

同時にチャールズ達の任務は失敗したようだ。

しばらく俺達は花火を見とれていた。

……あ!そうそう、今回の「クタビレ荘の生活」は初めて後編があるのです。

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