#四八 ドッキリ
「本当ですか?」
「本当だよ、この前の料理凄く美味かったよ」
「ありがとうございます」
という会話をしていると朝倉の…舞衣の家に着いた。
「ただいま~」
家に入るなり舞衣が元気よく言った。
「どうぞ、先輩」
言って、舞衣は来客用のスリッパを差し出してくれた。
「おじゃまします…」
もう何度もおじゃましている朝倉の家だが今日は凄く緊張した。まるで初めて来た時のような感覚だ。いや、初めて来た時より緊張しているかもしれない…。
靴を脱いでスリッパに履き替えた瞬間、
「舞衣、遅かったじゃない!何してたの?」
玄関を入ったすぐ左手にある階段の上から朝倉の声がした。
「お姉ちゃんごめーん、買い物してたら遅くなったのー」
舞衣が二階へ向けて言った。
『トンットンッ』
その舞衣の声を受けて、階段を下りてくる足音がした。
「先輩っ早くリビングへ!」
「え?え?」
舞衣が悪戯な笑顔で俺をリビングへ通した!
『ガチャッ』
何も知らない朝倉がリビングへと入って来た…。
「今日のメニューな!」
言い掛けていた朝倉が俺と目が合った瞬間、まるで幽霊でも見た様な表情をした。
「や、やぁ…おじゃましてます…」
苦笑いしながら俺は挨拶した。舞衣はそんな朝倉を見て笑っている。
「何してるの?」
普段目にしないインナー着を着た質素な朝倉。俺はそんな彼女に新鮮さを感じていたが、当の朝倉の表情はあきらかに強張っている…。
「帰りに会ったの、で、今日の夕食一人って聞いたから一緒にって…」
「そ、そういう事…」
舞衣の説明についつい乗ってしまう自分…。
「あっそう」
そっけない言葉とは裏腹に表情は引きつっている…。
舞衣は何気ない気持ちでの悪戯心からだろうが、朝倉は…。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「いただきます…」
料理が出来て最初に口を開いたのは朝倉だった。
先刻より幾分か表情は和らいではいるが、まだ機嫌は悪そうだ…。
(この空気をなんとかしたいなぁ…)
そう思いながら舞衣のつくってくれたエビフライを一口食べた。
「うまい!」
思わず率直な感想が口を吐いて出てしまった!
「そうですか!よかった~」
嬉しそうに返答した舞衣…だが、朝倉の表情は…。
「舞衣の料理はおいしいからね」
朝倉がトゲのある言い方で言った。
(うわぁ~、もうここに居たくねぇ~)
俺はそう思ったが、あきらかに不機嫌な朝倉とは逆に舞衣は嬉しそうにしている。
朝倉の不機嫌な表情を作った責任の一端は俺にもある…。その罪悪感を感じながら食事を進めた…。
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