#二八 キャンプ・驚きの関係
「朝倉…今の聴こえた?」
「うん…」
恐る恐る朝倉に訊いてみる。彼女も恐る恐る頷く。二人同時に同じ声を聴いたことで一瞬にして場が凍り付いた!
「もしかして、お化け…?」
朝倉が真顔で言う。
「そんなわけないじゃん」
幽霊の類は信じないのだが、二人が同時に声を聴いたという事は茂みの奥に誰か居るということは確かだ。
恐怖心はあるがそれ以上の好奇心に負けて俺たちは声のした方へ歩み寄った。
『あ…ぅ…』
今度は完璧に聴こえた!近付いて行くにつれ、その声はよりクリアになる。
『あぁ…』
(なんか色っぽいなぁ…)
腰の高さほどの草を掻き分けると、とんでもない光景が飛び込んできた!
月光の中、男女の絡み合う姿が浮んでいる。
(ったく、中でやれよ!)
俺はそう思いながら、朝倉が気になり彼女を確認した。
朝倉はその光景をまじまじと見つめながら言った。
「由実…佐久野…くん…」
「え!」
朝倉の声で俺も再度確認した!
たしかに豊と月島だ!二人とも全裸で、月島は前かがみになり木の幹を抱きかかえる様にして掴んでいる。豊は月島の腰を持ち、自分の股間を月島のヒップに密着させている。いわゆる後背位の体勢だ!
目の前で演じられているのは知人の情事!見てはいけないと判っているが、俺たち二人はその場を動けずにただ見入っていた…。
『ん、あぁ〜』
控えめだった月島の喘ぎ声が徐々に大きくなる。多分月島は初めてではないのだろう…。
俺は朝倉に小声で、
「行こ」
言って、朝倉を連れてその場を離れた。
「ビックリしたー!」
テニスコートまで戻って来たところで、堰を切ったように朝倉が言った。
「由実って佐久野君と付き合ってたのね!」
まだ落ちつかないといった口調で朝倉が言う。
「いや、少なくとも夕食の時にはまだ付き合ってなかったよ…」
「え!!」
「夕食前に月島とそんな話しをしたから…」
朝倉は理解出来ないという顔をしていたので、夕方の出来事を話した。
「そうだったの…」
「どっちかがコクって、直ぐにああなったって事かな?」
さっきの事がフラッシュバックして、俺は少し複雑な気分になった。
「それって凄いこと…よね」
「え、なんで?」
朝倉の一言で正常な思考に戻れた。
「だって、告白してすぐにああでしょ…私は…キスだって二回しかしてないのに…」
途中言葉にしなかったが、朝倉が何を言いたいのか解かった。
赤くなりながら落ち込む朝倉を俺はきつく抱きしめた!
「きゃっ!」
突然の事に驚き、朝倉は声を上げた。今の朝倉を見ているとたまらなく愛しく感じて抱きしめてしまった。
「朝倉…キスしていい?」
俺が訊ねると、彼女は軽くうなずき瞳をとじた。
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