#一六 バレた関係
三人でゆっくり歩いて30分ほどで花火大会の会場に到着した。
「すごい人…」
「浴衣着てる人結構居て良かったねお姉ちゃん」
浴衣姿の朝倉に対して舞衣の服装はカジュアルだ。この美人姉妹にすれ違う男共の視線は釘付けになっている。
「早く始まらないかな…?」
朝倉は俺の左手を軽く握りながら言った。おそらく周囲の視線を感じ取ったのだろう。そう考えると離れて歩いている舞衣のことが心配になってきた!
「妹、大丈夫かな?」
「何が?」
「その…ナンパとか…」
「そう?何で?」
「何でって、こんなにカ…」
俺は慌てて言い掛けた言葉を止めた!こんなかわいい子をと言い掛けた…。
「…そうね、面倒になる前にね」
そう言って、朝倉は舞衣に注意を促がした。
ポーン!! ポーン!!
少しして花火大会開始の合図である白煙弾が薄暗くなりかけた空に打ち上げられた。
「お、始まるぞ!」
「うん」
二人で空を見上げていると、
「柊〜見付けたぞ!」
突然背後から豊の声がした!
振り返りたくなかったが思わず振り返ってしまった!!同時に朝倉も一緒に振り返った!
「え!あ、朝倉ぁ!」
豊は朝倉の方に驚き、鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしている。
豊の声で少し離れた所にいた舞衣も何事かと振り返る。
遂にバレてしまった…。
「お前ら、付き合ってるのか?」
当たり前だが、豊が訊ねる。
「違うわ!今そこで会ったのよ。で、ちょっと話してただけよ」
朝倉が懸命に言い訳をする。
「朝倉、もういいよ。そうだ、俺は朝倉と付き合ってる」
これ以上朝倉を傷つけない!そう決めたんだ。
「いつからだよ?」
「先月からだ!」
それを聞いた豊はニッコリしながら、
「い〜な〜。お前、朝倉を落としたのか!」
「そんな言い方するな!」
「悪い悪い、そーかー、良い夏休みになるな〜」
豊は俺と朝倉を交互に見て頷いている。
「心配するな。亜津にはだまっててやるよ」
「お前も…」
「おう、がんばるよ!じゃあな。邪魔しちゃ悪いよな」
豊は颯爽と去って行った…。
俺は月島のことを言おうとしたのだが…。
「ねぇ、亜津君がどうかしたの?」
不思議そうな顔で朝倉が問う。
「あ…んー、アイツ朝倉のことが好きなんだよ…」
「ウソ!!亜津君が私のことを…!」
俺の言葉に朝倉は狐に摘まれた様な顔をしている。
「朝倉はモテるんだよ…」
そう言われて、朝倉は初めて気付いた様だ。
舞衣は俺たちのやりとりを複雑な表情で見ていた。
『ド―――ンッ!!』
その時、最初の花火が薄暗くなった夜空を彩った。
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