#一六八 大晦日の夕食
「いや~、しかし朝倉お手製のスープは美味いなぁ~」
月島は朝倉と一緒に夕食の準備のためにキッチンへ行ったが、豊はそんな事構わず朝倉のコーンスープを貪り食っている。
「あ、まだ残ってる!全部食ってやろ」
鍋の中に残っているコーンスープを見付け、自分の皿に掻き入れる豊。
(コイツ…)
「麻梨子の技術を盗すまないとね」
「それで佐久野君に作ってあげるのね」
「あのバカ、なにかとキャンプの時の麻梨子のカレーを引き合いに出すのよ!もう、頭くるのよ!」
「あはは、見返しってやらないとね」
キッチンでは朝倉と月島が話しながら準備している。豊はまだ食ってる…。俺一人何もする事がない…。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「お待たせー」
三〇分ほどでテーブルには四人分の親子丼が並んだ。
「早かったな」
「うん、ご飯は前もって炊いといたから」
手際の良いことで。
「由実は何したんだ?」
「ほとんど手伝ったわよ!」
「まぁまぁ」
怒る月島を宥める朝倉。
「美味そう」
出来上がった親子丼に俺は率直な感想を述べた。
「でも、改めて麻梨子の凄さを実感したわ」
「何が?」
豊が訊いた。
「この出汁、麻梨子オリジナルなのよ」
「オリジナルって!そんな大袈裟なものじゃないわよ。ただ市販の出汁にひと手間加えただけなのよ」
「それが凄いのよ」
「まぁ由実なら市販のままを使って終わりだもんな」
「いちいちうるさいのよ豊は!」
「ささ、冷めないうちに早く食べましょ」
慌てて朝倉が言った。
「「「「いただきまーす」」」」
朝倉と月島が作った親子丼は凄く美味かった。
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