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夏休み編
  高校最後の夏
   少女は階段を登っていく・・・
#一四 夏休み始まる
 街中では太陽が容赦なく照り付け、家の中ではクーラーがフル回転している。
 学校がある日は目覚まし時計と闘う朝だが、休日は何故か目覚ましが鳴る前に目が覚める。とはいえいつもの起床時間より一時間も遅いのだが…。
 とにもかくにも今日は夏休み初日。今日から夏休みが始まったのだ!しばらくベッドに寝転んでいたかったが、あまりの暑さでジッとしていられなかった。
 泣く泣く体を起こし、自分の部屋を出た。
「あんた、一体何時まで寝てるのよ」
 母親の様な事を言ってきたのは2つ上の姉、ゆかりだった。
「母さんたちは?」
「母さんはショーで今朝早くにロンドン。父さんはゴルフ」
 俺の母親はファッションデザイナーで年中世界中を飛び回っている。父さんはその会社の部長。
「了希、お姉ちゃんもこれから出掛けるから後頼んだわよ!」
 いつもより気合の入った化粧…。おそらくデートだろう。
「分かったよ、男の前でヘマすんなよ!」
「余計なお世話よ!」
 やっぱりデートか。相変わらず分かりやすい姉だ。
「じゃ、行ってくるわ」
 そう言って姉は嬉々として家を出て行った。
「さて…」
 一人になった家の中。俺は朝食にトーストを焼く準備を始めた。
 今日は海の日という事で近くの港で花火大会がある。昨日朝倉と見に行く約束をしたので、夕方に彼女の家へ迎えに行くことになっているがそれまでの数時間はゆっくり出来る。
 トーストを食べながらぼんやりとお昼のワイドショーを観ていると携帯が鳴り出した。
「へ〜い」
 俺が気のない声で言うと、
『何だよその対応は!』
 携帯から少し不貞腐れた様な豊の声が聴こえた。予想通りの豊の言葉に思わず笑が込み上げてきた。
「どうしたんだ?」
『いやー、今日港で花火あんじゃん。行かねぇかなーと思ってさ』
(う!!)
「あーっ悪りぃ。昨日他のやつと約束したんだ…」
『マジかよ!!誰?亜津?トモ?』
「いや…違うけど…」
 俺は言ってから後悔した!
『何だ!!、まさか女か!?』
「あっ!!んなわけないじゃないか!!とにかく、無理なんだよ」
『分かったよ!じゃあ、亜津とか誘うから。じゃーむこうで会おうぜ』
『プッ』
(ヤバイ、ヤバイ…豊はともかく、朝倉と一緒に行くなんて亜津に知れたらただ事じゃないからな。あいつは朝倉のことが好きらしいから…。)

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

 とかなんとかしているうちに早くも午後三時になってしまった。
「そろそろ行くか…」
 自転車で朝倉の家へむかった。
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