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#一三 夏が来る
 教室の外では蝉が待ってました!とばかりに鳴いている。吹き込んでくる風も熱を帯びていてもうすっかり夏だ。
 期末テストも終わり授業も午前中で終了。三日後には夏休みが待っているということでクラス中が浮き足立っている。
『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン〜』
 そんなこの二日間、俺はというと放課後は夏休みのキャンプの予定を決める話し合いで盛り上がっていた!
 しかしこの二日間で決まった事といえば、参加者と、部活が終わっているであろう8月の上旬に決行するということくらい。
 参加者は男五人に女六人の計十一人!俺の予想をはるかに上回る人数になった!ちなみに朝倉ももちろん参加する。
「もー!今日中に全部決めようよ!」
 先陣を切ったのは月島だった。
「よし、じゃーこの場所だ。最終候補地はこの三ヶ所」
 豊がキャンプ場のパンフを机の上に並べた。この件の実権を握っているのは月島と豊だ。
「ここは駅から遠いからなぁ〜」
「ここはシャワーがあるから、ここでいいじゃん!」
「川がある所がいい!」
 等々、並べられた三冊のパンフレットを見て各々好き勝手言っている。
「今日も決まらないね」
 朝倉が俺につぶやく。
「良いんだよ、皆でワイワイやるのが楽しいんだから」
「ウフ、そうよね」
 結局、朝倉の言うとおり今日も具体的な事は決まらなかった。



 翌日。
「お前ら!!昨日オレがネットで探してやったぜ!見ろっ」
 言って豊は一枚のコピー用紙を差し出した。
「駅から近い!川がある!コテージ付き!山に囲まれている!シャワーどころか露店風呂まである!どうだ!!」
「「うお〜〜」」
 一同が声を揃えて歓喜した!
「ちょっと遠くて、値段が高いんだけど…」
 豊は言うが。
「いや、それで決定だ!!」
「じゃあ、いつにする?」
 誰も豊の言葉には耳を貸さず、それぞれ口々に話が進んでいく…。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

「あー、三日も掛けて決まらなかったのに、いざ決まればたった30分かー。この三日間は何だったんだ?」
 下校途中、俺はぼやいた。
「ウフフフフ、いいじゃない。皆でワイワイ出来たんだから」
 俺の横で朝倉が言った。続けて、
「でも楽しみだなぁ〜。こんな事できる夏なんて最初で最後だろうから…」
「…そうだな」
 朝倉の言葉に感慨深く俺は答えた。
 俺にはこの夏休みの間にやらなければならない事が山ほどある!一日たりとも無駄には出来ない。そう思いながら隣で並んで歩く朝倉を見た。
 すると、その視線を感じたのか?振り向いた朝倉と目が合った。何故か少し照れる…。
「楽しみね、8月10日…」
「あぁ」
「あと、夏休みもね…」
「そうだな…」
 二人はそのまましばらく黙って歩いた。
「じゃあ、ここで」
 朝倉が言う。
「あぁ」
「明日は終業式か。夏休みも会えるよね?」
「あたりまえだろ」
「そうよね。ごめん…じゃ」
 そう言って、朝倉は帰路について行った
(明後日から夏休みか…学園最後の夏休み…一体どんな事が起こるのだろうか?)
 そんな事を考えながら俺も家路を急いだ。途中、ふと空を見上げた。
 済んだ青空に、雲が一つ浮んでいる。



 そして、学園生活最後の夏休みが始まる…。
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