表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

バスに乗って

作者: ほみち


まーこはその日、バスに乗った。退屈な日常にちょっと刺激が欲しかったのかもしれない。行き先はどこでもよかったけれど、なるべく遠くのほうが都合がよい。しかし、一番遠くに行くバスの色が気に入らなかった。どうせなら、鮮やかな青がいい。


…ということで、まーこは青いバスに乗り込んだ。


バスの中でまーこは、ずっと窓の外を眺めていた。赤いモノと青いモノの数を数えたり、持ってきた飴を食べたりした。退屈だった。


まーこは会話ができなかった。口にしたことが全て事実になってしまう為、もうかれこれ何年もしゃべっていない。


ことの始まりは、忌ま忌ましいあの記憶。

学校の授業中、「喉から手が出る」と発言した瞬間だった。本当に出たのだ。

あの日からまーこのニックネームは「マーライオン」になり、事あるごとにネタにされた。


辛い青春時代を過ごしたまーこは、自分自身の能力を呪い、就職もせずに家に引きこもっていた。このままではいけないと思った。だから、今日 彼女は自分の人生に決着をつけにきたのだ。


もし、この世がまだまだ美しい素晴らしいものだと分かったなら、私はもう一度頑張ってみよう。そしてこのまま海を見に行こう。身も心も入れ替えて、また一からやり直そう。


その時だった。


「動くなぁ!動くと殺すぞ!おい、このバスを山奥まで走らせろ!…ばばあ!動くと殺すぞ!本気だからな!」


このご時世にバスジャック。ヒステリックにピストルを振り回す男性を見て、まーこはもうどうでもよくなった。

すっくと立ち上がり、まっすぐバスジャック犯と向き合う。


「どいつもこいつも舐めやがって!動くなって言ってんだよぉお!」


ピストルがこっちを向いたが、まーこは怯まない。こんな気持ちになるのは初めてだった。まーこは優しく微笑み、何年ぶりの言葉を発した。


「…バス、ガス爆発」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] そのオチは予想できなかった! [一言] 久しぶりなのによくかまなかったですね
2014/01/08 17:32 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ