第07話:薫と瞳
その日、薫はコンビニでアルバイトをしていた。
「あれ、黒崎じゃん」
そう言ったのは、カウンターに240の少年マンデーを置いた黒田だ。
「お前、こんな所で何してんだ?」
「見りゃ分かるだろ、バイトだよ。バ・イ・ト」
「お前がバイトなんて珍しいな」
その言葉に、薫は額にムカつきのマークを浮かべた。
「240円」
それを聞いた黒田は、240円を出した。
薫はレジを打ち、お金を入れると、レシートと少年マンデーが入った袋を渡した。
「それより、時間あるか?」
「時間はあるがお前の為に割く時間は無い」
黒田はその言葉に、グサっと心を痛め付けられた。
「何だよ?渡したい物があるのに・・・」
黒田はそう呟きながら店を出て行った。
バイトが終り、薫がコンビニから出て来た。
「やっと終わったか」
そう言ったのは、裏口で薫を待っていた黒田だ。
「お前、いたのか」
「悪いかよ?」
「言った筈だ。
お前の為に割く時間は無い、と」
「そうか・・・──じゃあこれはいらないな?」
黒田はそう言って、中央にS.Dと書かれた手帳を見せ付けた。
「これ、昨日お前が落として行ったんだぜ」
「それ返せ!」
そう言って、薫は奪い取った。
「これは優秀な探偵にだけ授けられる大事な手帳なんだ。無くしたら大変なんだ!」
と、慌ててしまう薫。
「それを落とすような奴に探偵は務まらないぜ?」
「お前、可愛くねえな」
「・・・・・・オレの何処が可愛くねえんだ!?」
と、薫の言葉でぶちギレた黒田は、薫の胸倉を掴んだ。
薫は黒田を突き飛ばし、
「全てだ」
そう言って、去って行った。
が、黒田はそれを追った。
「待てゴルァ!か弱き女の子突き飛ばしておいて謝りもせずに逃げるのか!?」
「付いてくんな!」
薫はそう言って走り出した。
途中、マンションの前にパトカーが数台、止まっているのを見掛け、薫は急に足を止めた。
その所為で、黒田は薫の背中に、顔を埋める事になった。
「「いってえぇー!」」
二人の声が重なった後、
「急に止まるな馬鹿!」
と、黒田が言った。
「そう言われたって、気になってしょうがねえんだよ」
と、パトカーを指差す薫。
すると黒田、パトカーの方へ近寄って行った。
「何かあったの?」
黒田はKeep outと書かれた黄色いテープの前に立っている警官に聞いた。
「このマンションの管理人が遺体で見付かったんだ。悪いけど、此処は通せないよ」
「S.Dだ、通してくれ」
薫はそう言って、S.D手帳を見せた。
「え、S.Dの方ですか!
失礼しました!」
警官は素早く、黄色いテープを持ち上げた。
薫と黒田は、そのマンションに入って行った。
|