第09話:自殺か他殺か
401号室入り口。薫と瞳はそこにいた。
「押すぞ」
そう言って、インターフォンのボタンを押す薫。
ピンポーン!
──高い音のチャイムが鳴り響いた。
が、返事は無く、人が出て来る気配すら無い。
瞳はドアノブに手を掛け、ドアをそっと開けた。
キイィーン──と、嫌な音が鳴る。
「誰もいねえな」
そう言って靴を脱ぎ、奥まで行く瞳。
「うわっ!」
瞳が驚いた。
「マジかよ!?」
後から来た薫も、やはり驚いた。
その理由が、目の前に男の首吊り死体があるからだ、と言うのは言うまでもない。
「お前、下行って知らせて来い」
そう薫に言ったのは、オレっ娘の瞳。
「そんな事より簡単な方法がある」
「言ってみろ」
「悲鳴をあげる事だ。
無論、あげるのはお前だ」
と、瞳を指差す薫。
「何でオレが?」
「なんとなく」
「しゃあねえな・・・」
瞳はそう呟くと、甲高い悲鳴をあげる。
「きゃああああああ!」
その悲鳴を聞き付け、一階の管理人室にいた刑事が駆け付けて来た。
「どうしたんですか!?」
「ひ、人が死んでるんです!」
と、遺体を指差す瞳。
その時、瞳は思った。
(恥ずかしい・・・)
瞳の言葉に、刑事は遺体を見た。
「警部ー!」
と、刑事は401号室を飛び出して行った。
「おい、遺書があるぞ」
そう言ったのは瞳だ。
薫は瞳から遺書を受け取った。
┌─────┐
│ │
│ 遺 │
│ │
│ │
│ 書 │
│ │
└─────┘
薫は遺書と書かれた封筒の中身を取り出した。
┌──────┐
│ すたし私│
│ .のては│
│ でし管│
│田 自ま理│
│中 殺い人│
│ しまを│
│力 まし殺│
│ │
└──────┘
(自殺か・・・)
「おかしくないか?」
「何が?」
「部屋の様子だ。
首吊りなのに、何故かそれに使った椅子が立っている」
「確に・・・。
と言う事は他殺か」
「おい、こいつまだ温かいぞ!」
そう言ったのは、遺体に触れた瞳だ。
「殺されて間も無いと言う事か」
「ああ、それで間違い無いだろう」
二人の意見が一致した時、先程の刑事が警部を連れてやって来た。
「あっ、お姉ちゃん!」
と、薫は叫びながら、警部であるお姉ちゃんに抱きついた。
「お姉ちゃん、何時警部になったの?」
その問いに姉、小百合はこう言う。
「昨日だけど。
ってか、何であんたがいるの?」
「たまたま通り掛かったんだよ」
「それで、遺体を見付けたって訳ね?」
「流石お姉ちゃん、飲み込み早い!」
「伊達に探偵の孫やって無いわよ。
それより、遺体の状況説明して」
薫は遺体の状況を説明した。
「成る程・・・って事は、他殺って訳ね。
亀田君、周辺の聞き込み宜しく」
「了解!」
さっきの刑事、亀田は素早く行動した。
「おい」
と、薫の背後から声がした。
空耳だろう──薫はそう思った。
「おい!さっきから呼んでんだから返事ぐれえしろよ!」
瞳はそう言って、無理矢理薫の向きを変えた。
「お前、いたのか」
「いたのかじゃねえ!」
瞳はそう言って、薫の腹に米利堅を叩き込んだ。
「うっ!」
薫の腹に激痛が走った。
「俺・・・──何かしましたか?」
「トボケんじゃねえ!」
と、瞳は再び米利堅を腹に叩き込んだ。
「うっ!」
薫の腹に再び激痛が走った。
「た、体力にモノ言わせんなアホ!」
「アホって言ったな」
瞳はそう言うと、もう一度米利堅を腹に叩き込んだ。
「ぐはっ!」
一瞬、薫の意識が半分飛び掛けた。
「何すんだよ?」
と、額にムカつきマークを出して顔をあげる薫。
「自分の胸に手当てて聞け」
薫は自分の胸に手を当てたが、思い当たる事等何も無かった。
「警部!」
と、亀田が慌ててやって来た。
「どうしたの?」
と、小百合。
「聞き込みをした結果、405号室の人が、この部屋から出て来る怪しい人物を目撃したと言う事が分かりました。
話によると、部屋に入ろうとした時、401号室からいきなり男の人が飛び出して来て走り去って行った、と言う事です」
亀田は手帳を見ながらそう言った。
すると薫がこう言った。
「ねえ、管理人室の前に、監視カメラあったよね?
あれにその男性が映ってるかもよ?」
「そんなものあったか?」
瞳は首を傾げて言った。
「あるわよ」
そう言ったのは小百合だ。
「じゃあ見に行こうよ」
「そうね」
こうして、薫一行は管理人室に向かった。
1階、管理人室。
薫一行はそこで監視カメラが捕えた映像を見ていた。
「停めて!」
そう言ったのは薫。
亀田はそれに従って、映像を停止する。
「これ」
と、画面中央に映った覆面をした人物を指差した。
「覆面してますね」
と、亀田。
「時間、オレ達があそこにいる時と、同時刻だな」
「でも、僕が駆け付けた時、覆面をした人物なんて見ませんでしたよ?」
「きっと、どこかに身を隠していたのでしょうね。
それより、405号室に行くわよ。聞きたい事があるしね。
それと亀田君、捜査員呼んで、401号室の遺体を運んで貰って」
解りました──亀田はそう言うと、携帯を取り出し、警視庁に電話を掛けた。
その間、亀田を除いた薫一行は、405号室に向かった。
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