コナンはバイクに追われ逃げる最中、橋の上からバランスを崩して川に落ちてしまった。
しかも落ちるさいに、橋の鉄骨に左足をぶつけてしまい、骨にひび入ってしまった。
──帝丹小学校 1年B組
いつものことだが、担任の小林先生が入ってきた途端、教室全体が静かになる。普段は、このままHRを始めるのだが、小林先生は教室でひとつ空いてる席に気付いた。
「あら?コナン君は休みかしら?」
「せんせー!コナンなら、病院に行ってから来るって言ってたぞ!!」
「あら、そうなの」
コナンは例の怪我のため、しばらくの間、遅刻することになったのだ。
(病院?何があったのかしら?)
小林先生はその事を知らされていなっかたため、とても気にしているのだ。
子供好きなこの性格だ。そう思うのも無理はない。
何だかんだで、あっという間に2時間目の授業が終わり、休み時間をはさんで3時間目の授業が始まった。3時間目の授業は、算数だ。みんな真剣に先生の声に耳をかたむけている。
「ここは、3+2=5になり、さっきたした13から・・・」と、みんなと答え合わせをしていたそのとき
ガラガラ
突然教室のドアが開く音がした。その瞬間、皆が一斉にその音がする方へと顔を向けた。
コナンが来たのだ。
(こわっっ・・・)
皆が一斉に自分の方を見ているので、コナンは内心、少しビビっていた。
「あっ!!コナン君だ!!」
「大丈夫??松葉杖なんかついて、どうしたの??」
「あっ、あの〜ちょっと骨にひびが入ってしまって・・・へへへ」
さすがに何にも支えがないと歩けなかったのか、コナンは松葉杖をつかっていた。ほっそりとした足にギブスをはめられ、包帯をぐるぐる巻きにされている姿は、とてもイタイタしそうに見える。
「コナン君?いつまでそこに突っ立ってんの?早く席に着きなさい」
「あ、はい」
席に着いたコナンに、歩美、元太、光彦が小声で話しかけてくる。
「コナン君大丈夫?」
「あぁ、平気、平気!」
よっぽどコナンが好きなのか、歩美が不安で今にも泣きそうな顔をしていた。
「おい、コナン!次の体育の時間、サッカーだぞ?」
「げっ!マジかよ!ついてねぇぜ・・・」
さっきまで、歩美に見せていた笑顔と裏腹に、今度はがっかりとした顔に変わってしまった。
「その足じゃ色々と不便でしょう?何か僕に手伝える事があったら、すぐに言って下さいね」
「おぉ!サンキュー!!光彦」
コナンは、光彦の優しい言葉に、(少年探偵団は俺がいなくても、光彦がいればやっていけそうだな)と心の中で考えていた。
灰原は、それを見守るような暖かい眼で見ていた。
─4時間目 体育
「はぁ・・・」
皆が楽しそうにサッカーをしている時1人だけ、盛大なため息をついている人物がいた。皆さんもお分かりのように、足を怪我してしまったコナンである。コナンは、唯一楽しみにしていた体育それもサッカーができなくて、とても落ち込んでいるのだ。何歳になってもやっぱりサッカーは楽しいらしい。それが、小学生相手だったとしても。
「あら、自業自得なんじゃない?」
「うっせぇ・・・」
今日は、というよりほとんどいつもであるが、灰原も体育を見学していた。
「もう、無理しないでよね」
「へ?」
「今回は、骨にひびが入っただけですんだみたいだけど、へたしたら命を落としていまうところだ ったのよ?あなたが居なくなったら、私・・・」
「灰原・・・お前・・・」
「なーんて!どう?少しは元気でた?」
「お前なぁ・・・」
(ほーんと、灰原は人をからかうのが好きだよな)
それから、いろいろ他愛もない話をしていたら、あっという間に4時間目が終わってしまったようだ。そして、やっと下校時間になった。いつものように、5人で帰っていた。でも、いつもとちょっと違うのは、やはり歩く速さが遅いことだろうか。
「あのおっちゃん、迎えに来てくれてもいいんじゃんかなぁ」」
「まったくです!!」
「そうだよね、コナン君大変そうだもん」
「しゃーねぇよ。おっちゃんは仕事忙しいだろうからさ」
確かに、小学1年生の身体で松葉杖をついて帰るのは、大変なのだろう。そして、探偵団の3人と別れた。
「じゃーな!!コナン、灰原!!」
「さようなら。灰原さん、コナン君!」
「バイバイ!!コナン君、哀ちゃん!!」
「おう!じゃーな!!」
「また明日ね」
また、2人きりになった。灰原はコナンの少し前を歩いている。それを、コナンが遅れないように必死でついて行っている。いつもなら、逆なのだが・・・。今日は2人とも何も話さずに帰っていた。
しかし、2人が別れる場所に着いたとき、灰原が突然口を開いた。
「体育の時に言ったことほんとだから」
「え?」
「私の前から絶対に居なくならないでよね」
「あっ・・・おいっ!!」
それだけ言うと、灰原は走り去って行った。コナンはそんな灰原の後ろ姿に向かって叫んだ。
「もう、無茶はしねぇよおぉ!!!」
灰原はこの言葉を聞いて、安心した。この一言を、ずっと聞きたいと思っていた。だからなのだろうか、嬉しくて、自然と顔が笑っている。こんな顔を彼に見られなくて良かったと、灰原は、心底思っていた。
後ろ姿ではあるが、彼には彼女の表情がわかっているのだろう。
そして彼もまた、彼女と同じように微笑んで、彼女が走り去っていった方を、まだ何か言いたげに見つめていた。
もう、お前を1人になんかさせない。
お前の前から居なくなったりしない。
オレは、一生お前を守り続ける。
何があっても・・・
絶対に・・・
(この思い、あいつに届いただろうか?)
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