起きたら異世界
※8/13 改変 句読点の修正をしました。まだおかしいところがあると思います。
今は、コレが精一杯です。
※8/9 改変 感想で指摘があったので全体的に改変しました。魔法の詳細と文章の書き方を勉強して前よりかは、何とかなったかなと思いたいです。まだまだ荒いですが頑張って書いてくので良かったら見てやってください。
木漏れ日が差し込む。
穂のかに暖かく、土の香が鼻孔を擽る。
「なんや……。寝てもうたんかいな」
手の甲で目を擦りながら起き上がる。
まだ瞼が重く、周りが霞んで見える。
だんだんと、周りの景色がハッキリと見えてくる。
辺りは大草原で、地平線まで綺麗に見えてしまう位に絶景であった。
「なんや、まだ夢の中かいな……。もう一眠りでもするか」
静かに瞼を閉じ、太陽の光が心地よい。
また、意識を手放そうとしていた
「っ!!!!? いやいや、おかしいやろ! なんで草原なんや? どこぞのドッキリ番組やねん!」
土の感触といい、風が吹き肌に撫でる感覚があまりにもリアル過ぎる。
こんな夢は、あるわけがないと思いとツッコミを入れてしまった。
頬をつねり痛みを確かめる。
携帯電話を取り出すが圏外だった。
夢であってほしいと願ったが、それはすぐに砕かれつつあった。
「おいおい……。ありえへんやろ。まさかとは思うけど、いやまだや! まだ、そうと決まったわけやあらへん。人が居る所に行きたいが、360°地平線とかどんな拷問やねん!」
溜息を吐き一人ごちる。
だが、ここでじっとして居ても始まらない。
しぶしぶ、地平線の向こうを目指して歩き出す。
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歩き始めて3時間経った頃だろうか、周りに森が出現する。
始めはポツポツと見えていたが、近づくとかなり大きな木が密集した森だった。
「腹が減って、死にそうや。昨日は、酒しか入れてへんの忘れとったわ……」
空腹のせいで足取りが重くなる。
周囲を見渡す。
ふと目の前の木に実った。
みかんのような果実があった。
空腹で限界が近かった。
食べられる物のなら、何でも良かった。
急いでそれを木から採り、皮をむき口に運ぼうとした。
「おい! 兄ちゃん、それは毒があるから食っちゃいけねぇ。あと、そこを動くなよ」
後ろから声がして、口に入れようとしていた行動を止め振り返る。
そこには、シルバープレートを着た聖騎士の様な格好した男が立っていた。
かなり重装備で、動きにくそうにも見えた。
その姿を見て、どこぞのコスプレイヤーかと思う。
その男は、大剣を引き抜きこちらに走ってくる。
その行動に、薫の表情が引きつる。
どこからどう見ても真剣。
切られれば死ぬと思わせるそれで、薫の真横に剣を振り下ろす。
身体は強張り、動く事さえ出来ず棒立ちになっていた。
ぶしゃっ! と音を立て、何かが転がる音がした。
薫は冷や汗を背中に掻き、ゆっくりと音のした方を見る。
そこには、体長150cmの蜘蛛が真っ二つに斬り裂かれていた。
緑色の液体を、身体から吹き出しながらビクビクと痙攣していた。
「あぶねーところだったな。兄ちゃん、これはグラシアスパイダーだ! 猛毒を持ってる。こいつに噛み付かれれば一瞬で麻痺して、あとは食われてあの世行きだったぞ!」
聖騎士コスプレをしたおっさんが、いい顔をして薫に言ってくる。
「ああ、助かったわ……」
若干、呆けたような表情の薫。
「ここ、一帯にある。そのオレンの実は、猛毒で食えねぇのは……知ってるよな?」
カインは、オレンの実を指差し言う。
「いや、すまん。ここには、今さっき来たんや。やから、コレに毒があるとか知らんかってん」
「ほう……そうなのか? いや~、よかったよかった。そのオレンの実は毒がある。知らないで食ってたら、毒がまわって死ぬからなぁ。もし、俺がここを通らなければ兄ちゃんは死んでたな。あっはははは」
豪快に笑う聖騎士コスプレをしたおっさんに、薫は苦笑いしながらここが何処なのか聞いてみた。
自分の考えが正しいかの確認も兼ねてだった。
「ん? ここは、【ササラ大草原】だ。ここから、東に森を抜ければ【大迷宮都市グランパレス】だぞ? 知らんのか?」
コレを聞き、内心溜息を吐く。
ここは、日本でも海外でもない。
異世界だと思い知らされる。
表情には出さずに、作り笑顔で言葉を返す。
「すまん、よく知らんねん。空腹も相まって脳が回らんし」
頭を掻きながら言う。
「だったら、この先に俺のパーティーがいるから合流するか? 飯もあるぞ」
「おお! ほんまかいな、めっちゃ助かるわ」
「困った時はお互い様だろ? 俺は、イルガ・オルクス。兄ちゃんの名前は?」
「芦屋薫や。よろしゅうな、イルガのおっちゃん」
薫は笑顔で言うのである。
あいさつもそこそこに二人は歩き出す。
イルガは薫の格好をジロジロと見て、不思議そうな表情で言う。
「変わった格好をしておるな」
「ん? そうか? コレが、普段着やしなぁ……」
上は、アロハシャツに下は半パン。
シャツの上に白衣を着ている。
そして、靴ではなくサンダルを履いているのだ。
「探索者じゃねえな。どっちかといえば、治療師か?」
「ん? 探索者、治療師? なんやそれ、職業にそんなのあるんか?」
薫は、クエッションマークを頭の上に出し首を傾げる。
その表情を見て、イルガは溜息を吐きながら答えてくれた。
この世界には幾つもの迷宮がある。
その中でもっとも難易度が高い場所が、この地にある【大迷宮都市グランパレス】の迷宮だ。
それを攻略する事を探索者は目指している。
迷宮の制覇は国から多大な報酬が貰える。
地位、名声、領土、金など様々な物が手に入る。
俺には、関係ないなぁと思う薫なのである。
だが、迷宮でモンスターを倒し、ドロップした物を売って生計を立てる者の方が多いらしい。
小金を稼ぐ分には、問題ないかなと思うのであった。
治療師は、迷宮で怪我をして帰ってくる者を治療を行ったり、一緒に迷宮に入りサポートをしたりすると教えてくれた。
「ようわかったわ。イルガのおっちゃんも、グランパレスの迷宮に挑むんかな?」
「ああ、その下準備でこの【ササラ大草原】に来たんだ」
「そのおかげで、俺は助かったわけやな」
二人はわいわい話しながら歩く。
「遅いぞ! イルガ! って、そっちの人は誰?」
イルガに、いきなり話しかける少女がいた。
艶やかな赤毛でショートヘア、藍色のローブを羽織り、ちょっと目元がつり目でぷんすかと怒っていた。
それを、じっと薫は見る。
薫は、「へー、結構美人やなぁ」と、小声でつぶやく。
歳は、二十代前後かなと心の中で思うのであった。
「遅くなって悪かった。この兄ちゃんは、【ササラ大草原】の森で出会った。薫だ」
「どうも、芦屋薫って言います。よろしゅう」
薫は笑顔でそう言う。
「あ……どうも。リリカ・アーノルドといいます」
リリカも、軽い会釈をする。
軽い挨拶をして、ここまでの経緯を話す。
「よくそんなんで、ここまで来れましたね」
リリカは、ジト目で薫を見る。
薫は、「運が良かったんや」などと言って誤魔化していた。
「薫は、ステータスとか見てないの?」
「ステータス? なんやそれ? どうやって見るんや」
「「……」」
薫の言葉を聞いて、こいつはよくそんな事も知らないで、今まで生きてこれたなという目で見られるのであった。
「知らんもんは、知らんしな……。教えて貰えると有難いんやけど。多分、まだまだ知らん事があると思うんやわ。詳しく、教えて貰えんかな?」
この通りと言った感じで、両手を合わせ拝む。
そんな薫に、やれやれといった感じで教えてくれた。
馬車に乗って、【グランパレス】へと向かう道中の暇な時間にである。
「なるほど……ねぇ」
顎に手を当て頷く。
薫の目の前には、ステータス画面が現れていた。
念じれば出んのんかい! って、ツッコミたくなると心で思いながら見ていた。
芦屋 薫
Lv1
職業 外科医
HP 1500
MP kjdlfja@¥&?@
スキル 異空間手術室、医学の心得、薬剤錬成、医学錬成、医療魔法・全、回復魔法・全、診断、解析、合気道
「(これ……寝る前に、あのサイトで書いたやつやん。面白半分で、書いたがどこでも手術できるオペ室とかほしいなぁとか書いたやつまんま反映されとるやん。しかもHPは、まだ見てられるが……。MPは、一杯あった方がでも良いからマックスでええやろとかで書いたせいで文字化けしとるし)」
心の中で、マジで頭が可笑しいんじゃないかと、ツッコミたくなった。
もう一つ気になったのは容姿だ。
そう、あのサイトで作ったのは、ステータスだけではなかった。
アバターも一緒に作っていたのだ。
18歳くらいの頃の自分をイメージして、作ってしまった事を今思い出したのだ。
こっそり携帯を鏡のように使い顔を確認する。
そこには、銀髪のオールバックで、瞳が緑、目は少しつり目であったが、顔立ちも良くイケメンに仕上げられていた。
一瞬、思考が止まる。
慌てて、脳を起動させてもう仕方がないかと思う。
考えるだけ無駄とお手上げ状態にしたのであった。
「イルガのおっちゃん、もう一つ聞きたい事あるんやけど……」
「ん? まだあんのか?」
苦笑いしながら薫は言う。
「HPとかって、平均いくらくらいなん?」
「ん? 初めは100とかだろ? 熟練者で、4桁5桁とかって聞いたことあるな」
自身のぶっ壊れ性能に溜息を吐く。
色々わかった。
次は、金銭面だなと思うのであった。
ぎゅーっと、腹の虫がなく。
薫は、忘れていたと言わんばかりに、恵んでくれとまた二人を拝むのであった。
イルガは、やれやれといった感じで薫に干した肉とパンを渡した。
薫は、恵んでもらった食べ物をむしゃむしゃと食べるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
腹も満たされ、気分も良くなった。
薫はステータス画面を開き、スキルの欄の文字にカーソルを合わせ説明文を見ていた。
『異空間手術室』
自身が望む手術室を、異空間に創りあげる。一人で、手術をするための補助効果あり、医療道具一式、医療機器、輸血パックなどなど、全てが使える。異空間手術室を展開している時は、常にMPを消費する。
消費MP 1000000
1分消費MP 100
『医学の心得』
医学補助、人体の構成補助、薬剤の構成補助、
『薬剤錬成』
無から有を生む。薬剤の構成を知っていれば、それを何でも生み出す事ができる。理解できない物は、錬成できない。
消費MP 1000
『医学錬成』
無から有を生む。人の構成を知っているなら、身体ならどの部位でも、創りあげる事ができる。理解できない物は、錬成できない。
消費MP 10000
『医療魔法・全』
医療に関わる、全ての魔法を使う事ができる。特殊なものは、ステータス画面でモニタリングできる。
例)全身麻酔、エコー、レントゲンなど
消費MP 100~10000
『回復魔法・全』
回復魔法の全て、下級から最上級まで扱える。
消費MP 10~500
『診断』
手で肌に触り、病気などの原因を探し、自身の脳に情報を流す事ができる。
消費MP 500
『解析』
知らない物、先の事を全て知る事ができる。
消費MP 500
『合気道』
合気道は、任意でオン・オフができる完全カウンタースキル。
発動中は、間合いに入って攻撃してきた相手の力を利用して、倍返しのカウンターを発動する。
自動で体が反応する。
カウンターが発動できるのは人型のみ。
自身の持つスキルと魔法に溜息を吐く。
「(この異空間手術室ってのは、手術に必要なもんを、全部思い描けば出てくるんか……。消費MPとかもう関係ないし。どんくらい、保有してるかしらんけど。まぁ、異世界やし。それに、医療も日本みたいに規制はないやろ。金額も自分で設定できるし。なんや、荒稼ぎできそうな気がしてきたわぁ。それに、どの程度の医療技術がこの世界にあるかも知っとかんとなぁ)」
そんな事を思いながら悪どい表情でニヤリと口角を上げる。
「おい、薫もうすぐ着くぞ」
悪どい表情を裏に隠す。
作り笑顔で、イルガの言葉に返事する。
馬車から身を出し、【大迷宮都市グランパレス】を見る。
そこには、巨大な城壁が街を囲むように、建てられていた。
高さ20メートル位で、高く難攻不落の要塞のようにも見えた。
薫は、息を呑む。
日本には、大都市一つまるごと城壁で囲まれた街など無いからだ。
映画とかでしか見たことがないのだから仕方が無いと思う。
薫は、その城壁に魅了されていた。
「男のロマンをくすぐるなぁ。ええでこれ」
薫は、肩を震わせ子供のようにはしゃいでいた。
「あははは、だいたい初めて、【大迷宮都市グランパレス】に来た者は、この光景に心踊るだろうな」
中に入ると、中世ヨーロッパのように石畳の道があり、不規則に並ぶ店がまた味が出ている。
周りには色んな種族がいる。
角の生えている者、耳や尻尾が生えている者、数えきれないほどの人の数で賑わっている。
街の中に入ると、薫は二人と別れる。
二人共、笑顔で手を振っていた。
「さぁーて、俺も色々調べてこうかな。とりあえず、医療系の店にでも行こうかねぇ。情報がほしいからな」
口角が上がり、「これから面白くなるでぇ」と思いながら、人混みの中へと消えて行くのであった。