ある冬、この街に男が越してきた、
まだ、若い男が、
男は、散歩が好きだった、
だが、日々の忙しさで、男は散歩ができなかった、
ある日、男は散歩に出掛けた、
時は夜十時、回りは暗く、街灯さえ、たまにしか見掛けなかった、
しかし、男は満足した、
久しぶりにゆっくりできた、と、思った、
やがて、ある角を曲がった先に街灯が見えた、
そこには若い女性が立っていた、
死装束みたいな恰好で、まるで、葬儀の最中のような空気を発していた、
とりあえず、男は不気味に感じつつも、挨拶をした、
だが、返事は無かった、
男は不安になり、急いで歩いて行った、
女が、笑った、気がした、
翌日も、男は散歩をしていた、
昨日と同じ時間に、
また、昨日、女がいた所に着いた、
また、女は同じ場所に、同じ服装で、同じ空気を醸し出していた、
男はまた、挨拶をした、
挨拶はしないと失礼だ、
男の根底には幼いころの躾が染み付いていた、
だが、やはり、返事は無かった、
男は足速に立ち去った、
翌日、また、散歩をした、
今度は時間を変え、二時間遅く、散歩した、
女は同じ場所にいた、
男はまた、挨拶をした…
女の返事は、また、無かった、
男は、家に帰った後、考えた、
あの女は何なのだろう、と、
男は幽霊の類いは信じていなかったが、さすがに不気味に思えた、
翌日、また、散歩をした、
今度は午後五時に、
五時なら幽霊は出ないだろうと、
女は、いた、
男は、少し安心しつつ挨拶をした、
女の返事は、また、無かった、
男は、聞こうか迷った、
何故、いつもここにいるのかと、
だが、聞くことはできなかった、
失礼だから、と、
また、翌日、散歩をした、
今日は夜十時に、
女は、相変わらず、いた、
男は考えた、
遠回りになるだろうか、別の道は無いだろうか、と、
また、翌日、散歩をした、
今度は、いつもの場所を通らないようにと、
男は歩いた、
一時間、
ほかの道は、結局一時間かかった、
男は思った、これなら、あの道を歩いた方がマシだと、
また、翌日、散歩をした、
そして、あの場所に差し掛かった、
女はまた、いた、
男はまた、挨拶をした、
女の返事は、また、無かった、
男はまた、過ぎ去ろうとした、
だが、女が、初めて喋った、
何故、昨日は来なかったのか、と、
男は不気味になった、
とりあえず、昨日は、用事があったと、嘘をついた、
女は、そう、と一言言った、
男は足速に去った、
翌日、昼、いつもの道を通った、
今日は一人では無く、友達の女性と一緒だった、
夜、また、散歩をした、
そこには、また、女がいた、
ただ、女の顔には憤怒のの表情が浮かんでいたように思えた、
女は問いた、
昼の女は誰か、と、
男は、恐怖した、
昼に女はいなかった筈だと、
友達だよ、と、
そう、震える声で言うと、男は急いで逃げ出した、
女は冷たい目をしていた、
最後に、逃がさない、と冷たい声で言った、
翌日、男は家で冷たくなっていた、
その死はとても不自然な死に方だった、
顔は恐怖で歪み、体のいたる所から血が吹き出し、死んでいた、
ある日、私は、死んだ、
それから、誰にも認識されなくなった、
長い日がたった、
だれも、私に気付いてくれなかった、
だが、ある日、私に話し掛けてくれた人がいた、
私は嬉しかった、
泣きたいくらい、嬉しかった、
だが、私はなにも言えなかった、
嬉しすぎて、泣きたくて、
…なにも言えなかった、
翌日、また、彼は来てくれた、
とても嬉しかった、
翌日、彼は来なかった、
とても、悲しかった、
だが、二時間遅れ、彼は来た、
私は嬉しかった、
私は思った、
彼は、私に会いに来てくれているのだと、
翌日、彼はいつもより早く来た、
私は、ただただ、嬉しかった、
無理して、私に、早く、会いにきて、くれたのだと、
そう思った、
翌日も、男は、私に会いにきた、
私はとても嬉しかった、
いつまでも、この時間が、続けば良いと、思った、
翌日、彼は、来なかった、
私はとても悲しくなった、
何故彼は来ないのか、
ほかに女がいるのでは無いか、と、思った、
翌日、彼が来た、私は嬉しかった、
そして、私は初めて、話し掛けた、
彼の声は、私の全てを、癒してくれた、気がした、
翌日の昼、
彼が現れた、
ただ、私は隣には、女がいた、
憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、
あの女が憎い、
あの女を連れていた、男が憎い、と、思った、
夜に男はぬけぬけと、まだ、来た、
私は、聞いた、男は、答えた、
友達だと、
私にはわかった、
それが嘘だと、
私は、女を、男を、怨んだ、呪った、憎んだ、
男は逃げた、
私は、呟いた、逃がさない、と、
私は、やつを、殺した、
徹底的に恐怖を味合わせて、
徹底的に苦しむように、
徹底的に、殺した、
次は…
あの女だ…‥ |