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偽・竹取物語
作:白山菊理



策略!庫持の皇子の陰謀!!(三)


 お爺さんは、二人の寝床の準備をしながら、庫持の皇子の話を聞いて…と言ってもでっち上げの旅話ですが、ころっとそれに騙されてしまい、庫持の皇子に歌を詠みました。

『くれ竹のよよの竹取り野山にもさやはわびしきふしをのみ見し(訳*竹ばかり昔からとってきた私ですが、そんな辛い目は野山でも合いませんでした。決して仕事をサボっていたわけではなくて)』

この歌を聞いた、庫持の皇子は「いやいや、どんな苦しみも、かぐや姫を妻に出来るこの日を思えばどーってことありませんでした。」と、散々苦労話をしておいてからそんなことを言って

『わがたもとけふかわければわびしさのちぐさの数も忘られぬべし(訳*苦しんで流した涙もすっかり乾いてしまったようです。そんな事はいいからかぐや姫をよこしなさい)』

と返歌しました。
こんな和やかなムードで、うふふ、あははとやっていたその時です!!

六人の男達が庭に現れました。
お爺さんは突然のことに驚いて「誰だ!」と声を上げました。
その一声を待っていたかのように男六人組は決めポーズをとり、

「六人合わせて、給料欲しいんジャー!」

と言いました。
きっとこの人たちは日曜日の朝にやっている戦隊モノの見過ぎなんでしょう。 
この‘給料欲しいんジャー’のレッド的存在の人が前に出てきてお爺さんと庫持の皇子に言うことには

「私の名は内匠寮の細工人、漢部の内麿と言うものです。そこの皇子様にお仕えし、玉の木を作っていました。飲まず食わずで急いで作り上げたというのに、低賃金どころか一文もくれません。こんな人が高い役職にいるから日本の未来はお先真っ暗なのです、と言われたくなければとっとと仕事に見合う給料を下さい。もう心も体もボロボロです。」

だそうです。
心も体もボロボロの割には決めポーズしたりと元気が有り余っているようにも見えますが、とにかく給料を払わずに働かせるのはけしからんことです。
漢部の内麿はさらにポケットから文を取り出して差し出しました。

「これはどういうことなのかのぅ?」

頭にクエスチョンマークを浮かべ、首を傾げ、庫持の皇子の顔はみるみる青ざめていきます。

そこへ、かぐや姫がやってきて文を受け取りました。
手紙を広げてみると

『庫持の皇子は千日の間、私達と一緒の家に住み、ごろごろしながら私達を監視し、玉の枝を作らせました。出来上がったら官職を与えようなどと言っておきながら一文もくれません。今考えると作った玉の枝は、貴女が求めていたものかと。あの人が給料をくれないのなら、もう身内同然になった貴女から給料を頂戴したいと思います。』

と、書いてありました。
かぐや姫はこの手紙を見て、にっこりと爽やかな笑みを浮かべ

「えぇ。とーぜん高い給料は支払われるべきでしょう」

と言って、鬼の首を獲ったかのように庫持の皇子に向ってにやりと笑い、お爺さんに

「ねー、じじぃ。こいつ偽物で私のことだまそうとしたよー。オレオレ詐欺とかキャッチセールスとか霊感商法よりたち悪いー。もう最悪って感じー。こんな人に嫁がせる気?きっと最初は良い顔してても、後々わかんないよ?こんな嘘つきは。」

と言いました。
お爺さんも納得して、懐から玉の枝を出し

「人に作らせたやつなら値打ちは低いし、ちょっともったいない気もしますが、返すのは本物よりたやすいのぅ。」

そう言いながら玉の枝を投げて返しました。
かぐや姫の心は晴れ晴れし

『まことかと聞きて見つれば言の葉を飾れる玉の枝にぞありける(訳*結局偽物じゃん。ちょーウケるんですけど。残念でしたー。危うく引っかかるところだったけどー、マジ危なかったけど、どんでん返しみたいな?言葉を飾ったような玉の枝なんていらないっつーの。)』

と返歌しました。
庫持の皇子は、目でお爺さんに助けを求めましたが、あれほど意気投合していたお爺さんも今まで自分が騙されていたことを恥ずかしく思い、寝たふりをしていました。
かぐや姫はかぐや姫で、庫持の皇子の方を向いて勝ち誇った顔をしてにやにやしてますから、どうすることも出来ません。 庫持の皇子は、暫くどうすることも出来ずに座っていましたが、辺りが暗くなるのに乗じて逃げ帰ってゆきました。

…あれ?6人の給料は?












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